紙類海外動向レポート
2026年第11号 2026年2月
Contents
海外動向トピックス
北米市況(12月度)
欧州市況(12月度)
中国・香港・東南アジア市況(12月度)
【統計】11月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】1-10月 米国紙・板紙輸入
海外情報トピックス
UPM/Ettringen工場(ドイツ)を永続的に閉鎖
UPMのEttringen工場(新聞用紙・非塗工印刷用紙、年産27万トン)は、従業員側との難航していた交渉が調停を含む枠組みの中で決着し、2025年末もって生産を停止し工場を閉鎖することが決定した。欧州市場では新聞・中質系印刷用紙の需要減少は長期化しており、各社は継続的に設備削減を進めてきたものの、需要減のスピードに追い付かず、欧州の中質系印刷用紙の平均稼働率は65%以下にとどまり、生産過剰が解消されていない。UPMはこの2~3年で、ドイツSchongau工場6号機およびオーストリアSteyermühl工場4号機の生産を削減し、ドイツ・フィンランドの残存マシンで中質系印刷用紙180万トン体制を整えたが、なお需給バランスの軟化は続いている。このためUPMは、Sappiと印刷情報用紙分野での効率的な供給体制を構築・安定化するための合弁会社設立に合意しており、フィンランド、ドイツ、英国、オーストリア、オランダ、米国の計12工場が対象となる見込みである。しかしEttringen工場はその対象リストには含まれておらず、今回の閉鎖は合弁事業とは別枠の措置であると見られる。
欧州議会 改正EUDRの最終案を可決
2025年12月17日、欧州議会と欧州理事会は、欧州委員会と合意した改正EU森林破壊防止規則(EUDR)の最終案を可決したものである。改正案では、デューデリジェンス(DD)手続きの簡素化に加え、大規模事業者の適用開始日を2026年12月30日、小規模・零細企業については2027年6月30日までとし、いずれも1年間延期することとした。
また、デューデリジェンスステートメント(DDS)の提出義務は、最初にEU市場に製品を投入する事業者に限定され、下流の製造業者、商社、販売業者などには課されないこととなった。さらに、低リスク国の小規模事業者については、一度限りの簡素化された申告が認められ、ITシステムにより参照番号を維持することで、サプライチェーン全体のトレーサビリティを確保する仕組みが導入されている。
もっとも、実務負担の大きさに対する懸念は各業界からなお強く示されている一方、書籍・新聞などの印刷製品(ただし欧州域内で印刷されるものは規則対象)は適用除外とされたことについて、印刷業界からは環境保護上の「抜け穴」であるとの批判も出ている。改正EUDRの正式な発効には、今後、理事会による採択と官報掲載が必要であり、その後、欧州委員会は2026年4月までに簡素化に関するレビューを実施し、報告書を提出する予定である。
ブラジル/Suzano ユーカリを原材料としたフラッフパルプの新ラインを増設
ブラジルの紙パルプ最大手Suzanoは、サンパウロ州Limeira工場で、100%ユーカリ材を原料する衛生材料用フラッフパルプの新ライン増設計画を発表した。投資額は4億9千万レアル(約9千万ドル強)で、同原料を使用したフラッフパルプの増産としては約10年振りとなる。商品名は「Eucafluff」で、年産能力は現在の10万トンから44万トンへと拡大する見通し。従来フラッフパルプは原材料としてNBKPが主流であるなか、ユーカリ材のフラッフパルプは、柔らかさや再湿潤性、水分拡散性に優れる等の点が特徴であり、まずブラジル国内での低価格帯製品(動物用パッドなど)の普及を図り、その後海外市場へ展開する方針である。
カナダ政府/中国製輸入サーマル紙に対するアンチダンピング税等の暫定税率を見直し
カナダ国境サービス庁(CBSA)は、中国製サーマル紙(感熱紙巻取り)について、廉価販売および中国政府による実質的な輸出補助が行われているとの国内メーカーからの申立てを受け、ダンピングの実態を調査してきたが、その結果、2025年11月に導入した暫定関税(AD税率55.2%、CVD税率43.8%)を見直し、暫定税率を大幅に引き上げる決定を下した。新たな暫定税率は、アンチダンピング税(AD)が282%、相殺関税(CVD)が77%で、合計約360%に達する。また調査において、2024年1月から同年12月31日までに、カナダへ輸入されたサーマル紙の約45%が中国産であったことも認定された。本件の対象は、巻取り幅15cm以下、米坪70gsm以下の感熱ロール紙であり、粘着加工品は含まれず、HSコードは4811.90.00.90である。現在、カナダ国際貿易審査裁判所(CITT)が別途、国内産業への損害の有無について調査を進めており、1月中に報告書が提出される見通し。CBSAおよびCITTの両方でダンピングの実態が最終的に認定された場合、今回のADおよびCVDが正式関税として確定する。
インドネシア政府/韓国、マレーシア、台湾からの輸入白板紙に対しアンチダンピング課税の方向で検討
インドネシア政府のアンチダンピング委員会は、韓国、マレーシア、台湾から輸入される白板紙に対し、4.04%~29.06%のアンチダンピング税を課す方針を勧告した。韓国についてはHansol Paperに4.04%、その他メーカーに26.52%、マレーシアはXSD Int’lをはじめとする全メーカーに7.79%、台湾は全メーカーに29.06%を賦課するとし、財務省が近く正式な導入命令を発出する見通し。調査は大手製紙メーカーIndah Kiat Pulp & Paper(IKPP)の申立てを受けて2024年9月に開始された。対象はHSコード4810.32.90および4810.92.90
に分類され、米坪210~450gsmの裏面グレー(裏ネズ品)多層抄き箱用白板紙としている。これに対し韓国およびマレーシアの一部メーカーは、自社の輸出製品は主にバージンパルプを使用したアイボリー・カード類であり、当該品には当たらない。またFSC認証も取得していて、これはインドネシアの主要メーカーでも代替が困難な製品であるとして、今回の決定に反論している。これについてインドネシア側は、他国からもFSC品の手当ては十分可能である、と逆反論している。
北米市況(12月度)
[新聞用紙]
Domtar/Grenada工場、White Birch/F.F.Soucy工場が永続的生産停止となり、北米新聞用紙の供給力が低下し、輸出も減少した。需給に引き締まりが見られたことから、北米市場では11-12月で$25-ずつの値上げとなったが、市場は未だ供給過多で、本年も輸出の回復及び更なる生産削減は必要である。
[上質紙]
11月の需要は年初来最低水準となったが、在庫からの荷動きは比較的堅調だった。過剰在庫にもある程度メドがつき、改めて値上げ可能な環境が整ってきた。上質紙メーカー各社からは、1月末以降の出荷分に対し値上げの動き(6-9%)が出始めた。北米は市況が世界的にも高水準であり、今年も年間通じて、輸入・国内品ともに堅調に推移することが見込まれる。
[コート紙]
11月のコート紙は需要・出荷とも非常に低調な数字で表れたが、年末需要には在庫からの対応が行われ、荷動きは例年通りそこそこの堅調さであった。11月の上質コートの値上げ($20-40)は輸入関税主導で行われ、今後末端ユーザーへの浸透は課題である。今後の価格・市況動向は、トランプ関税への最高裁の判断次第といえよう。
[中質紙]
低調な荷動きが続いており、2Q以降続いている在庫調整で、11月も需要は依然大幅な減少となった。本年末の北米メーカー稼働率も75%程度と予想されている。需要に占める輸入紙比率が低いため、北米メーカーは、今後も必要に応じた生産調整を余儀なくされると予想される。
[段原紙]
コロナ禍以降、段ボールの需要は減少が続いており、昨年度も前年比で▲2%前後となると見込まれている。段原紙メーカー各社は、昨年から今年初にかけて合計400万㌧近くの生産削減を実施しており、今年1月出荷分以降で、一部メーカーが中芯の価格で、$50-程度の値上げを発表した。
欧州市況(12月度)
[新聞用紙]
12月の新聞用紙価格は、現契約期間中のため前月から持ち越しとなった。供給過多は変わらず、生産コスト圧迫でサプライヤーは値上げを必要としているが、今年も需要は前年比▲10%程度の減少を予想しており、大幅な生産削減なしには状況の打開は難しいと見られる。
[非塗工上質紙]
12月度の価格は、前月横ばいとなった。1月出荷分でNavigator等が、欧州域内市場で5-8%の価格修正を打ち出し、強い姿勢でユーザー側との交渉に臨んでいる。アジアからの安値流入が引き続き懸念されるため、依然として、値上げを支える環境としては脆弱である。
[塗工紙]
12月の塗工紙の価格は、一部のスポット取引で値崩れも見られたが、表面上の契約価格は前月横ばいとなった。依然として、アジアからの安値品流入が懸念されており、欧州メーカーからはこれまでのところ、上質コート紙では値上げの動きは出ていない。UPM/Sappi両社の印刷用紙事業統合の動きについて、先ず今後の進捗状況(合弁設立の時期、具体的な計画、事業概要等)を注視し、市況への影響を慎重に見極めたい との声が関係者の間からは聞かれる。
[段原紙]
TLBは南欧市場で一部スポット取引による値崩れも見られるが、欧州全地域では、概ね前月横ばいで推移している。KLBは需要が低調なドイツ・ブランスで▲€20程度の値崩れが見られるほか、イタリアでは依然として北米品が安値流入しており、この先も軟調な市況の展開が予想される。需要面ではKLB離れが徐々に進んでおり、供給面では昨年度の増産により、TLBが特に供給過多となっている。市場価格の回復には、もう暫くの時間を要すると予想される。
中国・香港・東南アジア市況(12月度)
[印刷用紙]
*中国市場では、12月のコート紙・上質紙ともに、出版物向けの納品需要が高まり在庫から対応、在庫は減少となったものの、新規の需要は概ね低調であったため、市場価格は前月比横ばいとなった。1月は年末決算時期に伴って、紙商の在庫整理が急がれ、価格は更に軟調で推移することが見込まれる。
*香港市場では、中国メーカーが12月に上質紙の$30-値上げをアナウンスした。メーカーによって対応は様々であるが、APRILは$20-程度の値上げを実行、APPは1月分で$50-の値上げを打診し続けている。パルプ価格は上昇基調にある一方、春節前の不需要期を控えて、値上げの浸透には時間がかかると予想される。
*APPはコート紙についても、1月から$50-の値上げの協議を始めている。、しかしながら、上質紙と同様、不需要期を前に紙商が受注量の確保のため値下げに応じるケースも見られ、当面ユーザーへの価格転嫁は難しい状況と予想される。
[板紙]
*中国市場の12月の段原紙市況は、月前半は大手メーカーが値上げを継続、在庫補充による荷動きも見受けられたが、中旬以降は原料費の下落と需要の急減で、一転して調整局面へ入った。これにより、川下の段ボールメーカーでは、原紙の購買に急速に慎重になり始めており、原紙メーカー側の在庫も再び増加し、負担が大きくなっている。
*今後、2026年1月上旬に春節前最後の荷動きにより、一時的な反発も期待されるが、月中旬以降は再び需要が停滞し、市況は軟化することが予想される。
*春節後の需給動向に注目が集まるが、全体としては、緩やかな下落トレンドが継続すると見込まれる。
*香港市場では、アイボリーにつきこれまでメーカー主導で強気の値上げが進められてきたが、出版関連需要のピークは既に過ぎ、市場では在庫増加傾向が見られており、今後は値上げ要求の動きも次第に静まっていくと予想される。
*香港向け塗工白板紙(裏ネズ)については、1月初には小幅な値上げが実施された一方で、メーカーは在庫調整を進め、市況の回復を図っている状況である。古紙価格の下落が始まっていることから、先行きは原材料安を背景に、市況弱含みとともに、ユーザー側からの値下げ要求が強まることが予想される。
【統計】11月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
2025年11月の紙・板紙合計輸出は15万5,258トン(前年比9.0%増)、輸入は5万8,012トン(同5.6%減)となった。国内需要は150万2,518トン(前年比7.0%減)となった。
主要品種が軒並み前年比減。

リンク Japan Pulp and Paper Apparent Consumption | Tableau Public (ブックマークをお薦めします)
【統計】1-10月 米国紙・板紙輸入
2025年1-10月の米国紙・板紙合計輸入は587万1,881トンで前年同月比3.3%と減となった。金額は64億1千3百万ドル(同4.7%減)となった。欧州諸国で大幅に減少。

出典:Data Web(USITC)
米紙 関税がインフレを招くか?
過去のデータをさかのぼると関税がインフレに与える影響はわずかであると複数のレポートが示した。
一方でエコノミストらによると、関税が最終的には徐々に企業の値上げをもたらすが、名目上の関税率が27.4%なのに対し実質的には14.1%にとどまるとしている。
トロント大のOstry氏は、過去の関税率がインフレに対して大きな影響を与えなかったことは、現在の状況にはあてはまらないと述べている。(WSJ Jan. 6,2026)
2025年11月 紙類通関統計月報(組合員限定)
2025年11月 紙類通関統計速報
2025年11月 紙類通関統計原本等(組合員に限る)
紙類紙類海外動向レポート
2025年第10号 2026年1月
Contents
海外動向トピックス
北米市況(11月度)
欧州市況(11月度)
中国・香港・東南アジア市況(11月度)
【統計】10月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】1-9月 米国紙・板紙輸入
海外情報トピックス
フィンランド/Metsaグループ、UPM各社がリストラを含め生産体制の調整を検討
Metsaグループ: フィンランドMetsa Groupは法定交渉を終了し、グループ全体で約3億ユーロ(3億5千万㌦)のコスト削減と収益改善の一環で、最大440名の解雇を含む520名の常勤職員の削減を行なう。傘下Metsa Board社は、約150名の従業員削減が対象。これにより1千2百万ユーロ(約3千2百万㌦)のコスト削減を見込むとする。Metsa Boardは引き続き2026年もKemi, Kyroskoski、Simpele、Aanekoski、Kaskinen、Joutseno等の工場で最大90日の時限的レイオフを実行。低迷する紙板紙需要に見合う生産体制をとる意向。
UPM :フィンランドのKymi 、Pietarsaari、RaumaCellの各工場で、2026年第1四半期に最大90日の一時的レイオフを行なうべく、労使間交渉を開始。現段階では、永続的な工場閉鎖や生産休止は行わない意向で、交渉は11月末をメドに完了予定。Kymi工場はNBKP・LBKP(計87万㌧)を生産。Pietarsaari工場はNBKP(バーチ80万㌧)、RaumaCellはフラッフパルプ(10万㌧)を生産。この他、Kaukas工場(NBKP 70万)では、永続的なレイオフの可能性も排除せず交渉が11月初より開始。世界的なパルプ市況・需要の低迷、木材価格高騰などへの対応に迫られている。
北米;低迷する段ボール需要に 段原紙、段ボール工場は大幅な生産削減で対応
最近の段ボール需要の低迷に伴ない、段原紙メーカー各社、及び段ボール一貫メーカー中心に、段ボール工場が生産削減を進めている。
コロナ禍発生以降、需要回復の一局面を経たのちも、依然として出荷数量は減少基調にある。コロナ禍発生以降、本年度末までに段ボールの実出荷数量は▲7%の減少が見込まれている(内本年度の需要は前年比▲2%の減少)。これは世界的に広がるインフレ圧力、今年に入ってからはトランプ関税等に起因する不透明な市場環境で、景況感・消費者マインドが低下していることに起因するものと見られている。
このような市場環境を受けて、北米の段原紙メーカー各社は、今年9月までの間に大規模な生産削減を実施、大手一貫メーカーを中心に年産350万トン、北米の段原紙生産能力のおよそ9.5%にあたる規模での生産削減が既に実行された。さらに直近では、PCA/Wallula工場2号機のクラフトライナーの生産停止(2026年第1四半期)も発表され、以上に加えて、25万トンのクラフトライナーと、パルプ処理設備が永続的な停止となる。
また、段ボール製造一貫メーカーは、2024年以降International Paper (IP)、Smurfit WestRock(SW)は、北米で(予定も含めて)15カ所以上の段ボール工場の整理を行なっており、川上から川下までの供給体制の再構築を進めている。両社ともに2024-25年にかけて北米-欧州にまたがる大型合併により、世界レベルでの供給販売体制を構築しているが、両社は他のメーカーの先陣を切るかたちで、供給のスリム化と効率性の向上により、主要市場における需給のバランスと市況の安定を図ろうという姿勢を示している。
中国製の輸入サーマル紙に対する各国のアンチダンピング、相殺関税等の強化の動き
*カナダ政府は、中国製の感熱紙巻取りに対してダンピングおよび補助を受けていると判断し、2025年11月に暫定的関税を導入。AD(アンチダンピング)税率55.2%、CVD(相殺関税)は43.8%、合計税率は99%に達する。2024年に中国からの輸入が急増、国内産業への影響が懸念されたことを受けて調査が行われてきた。
*米国商務省は、2008年以来適用している中国製軽量サーマル紙に対するAD(115.29%)およびCVD(13.63-138.53%)を、さらに5年間延長することを決定した。これは3回目の延長となる。課税措置の撤廃により廉価販売が再発し、国内市場への多大な損害が懸念されるとした。北米市場ではDomtarが主要サプライヤーであり、輸入品は主にドイツと韓国からのものが主流である。
*欧州委員会は、中国からの軽量感熱紙輸入に対する反補助政策(Anti-subsidy)の調査を開始した。調査対象は米坪65gsm以下の軽量感熱紙とあり、調査期間は2024年10月から2025年9月までとする。欧州感熱紙協会による申し立てを基に、中国政府の補助金政策がEU市場の産業に損害を与えていると主張している。最終結論は13か月以内に出される予定。現在欧州は韓国製の軽量感熱紙にもダンピング税を適用している。
欧州;UPM・Sappi両社が印刷情報用紙分野の合弁事業形成に合意
UPMとSappiは、印刷情報用紙分野での合弁企業設立につき、非拘束的な基本合意書に署名した。この合弁事業には、UPMの情報用紙事業全体とSappiの欧州市場における印刷用紙事業が含まれ、両社それぞれが50%ずつ出資する独立の会社が運営することとなる。この提携取引は、各種規制および株主の承認等の条件が承認されることが前提となるが、2026年前半に正式契約、同年末までの完了を予定している。合弁事業には、UPMとSappiのフィンランド、ドイツ、イギリス、米国、オーストリア、オランダにある合計12の製紙工場が対象となる見込み。印刷用紙市場はデジタルメディアの進展による広告収入の低下、発行部数の減少で、持続的な衰退に直面している。この合弁では、効率的で適応力ある、持続可能な印刷用紙事業を創造し、コスト競争力と供給の安定を目指す。年間約1億ユーロのシナジーが期待され、製品ポートフォリオの改善、物流、企業運営の効率化が見込まれる。この提携でUPMとSappiは、長期にわたる優位な業界の地位を確保でき、顧客に安定した供給体制を提供することを期待するとした。また中期的には、負債の削減にもつながるとしている。両社のCEOは、この合弁事業が紙業界にとってプラスとなり、持続可能な未来を生み出すことに繋がる、との見解を示している。
北米市況(11月度)
[新聞用紙]
*10月度は需要(見かけの消費)、メーカーの生産及び出荷ともに極めて低調であった。前年は大統領選関連の需要が増加、今年はメーカーの大幅生産休止等で生産稼働率も69%に留まった。輸出も前年半分程度に留まったが、需要自体の低迷大きく、出荷に占める輸出の割合は52%と依然半分以上。
*Domtar/Grenada工場(▲23.5万㌧)が9月に生産停止。Kruger/Corner Brook、White Birch/F.F.Soucyも現在生産休止中で、供給はタイトとなっている。
*北米メーカー各社は、11/12月でそれぞれ$25-の値上げを実施。輸出向けは、White Birchがインド向けに、1月以降$75-の値上げ。
[上質紙]
*10月度の需要は前年比▲2.4%であるが、追加関税導入後の影響が注目の輸入は、10月度は+44.9%で、追加分関税適用前の駆け込み船積分が纏まって到着、未だ大幅な増加である。北米メーカーの生産、出荷は▲9-10%と低調。
*IP/Georgetown(昨年末)、Pixelle/Chillicothe工場(8月)の生産停止で供給はタイト。(稼働率95%)。需要も回復しており市況は堅調である。輸入品等の在庫がいまだ多く、北米メーカーは値上げを一旦棚上げし、値上げの時機到来を待っている。さらにIP/Riverdale工場16号機(▲35万㌧)の生産停止(段原紙へ転抄)予定あり(来年3Q)、市況は暫く堅調に推移を予想。
[コート紙]
*10月度の需要は上質コート紙前年比▲5.5%、上質軽量コート紙同▲6.9%で、依然として低調。輸入はそれぞれ同+9.3%、横ばいであり、主要輸入国の多くに課される計15%の関税の影響が出る前に契約・発送された分が纏まって到着し、増大となった。関税の直接的に及ぼす影響度は11月度以降改めての検証となる。
*欧州・韓国等輸入紙サプライヤーは、10月以降関税分の一部(7⁻15%)を価格転嫁した。北米メーカーも4-5%の値上げで追随。価格修正は概ね受け入れの方向。メーカーから紙商への出荷価格は徐々に浸透(11月頃から)、しかし、川下ユーザーへの値上げは未だ。価格修正後の輸入品が到着するのも12月以降となり、価格修正の本格的浸透は、年明け以降になると予想。
[中質紙]
*2Q以降、中質紙は調整局面が続き、10月度も需要・生産・荷動きは全印刷用紙中最も低調。10月の生産稼働率は60%前後。北米の生産工場は、既に最小限まで減少しており、これ以上の削減を行なう動機付けは少ない。依然として市場環境は不透明で、状況に応じた供給能力の削減が引き続き行われ、需給のバランスを図ることとなろう。
[段原紙]
*3Qの米国段ボールの実出荷数量は、前年同期比▲1.4%と幾分回復したものの、3Qまでの累計では同▲2.0%と、依然として低調。コロナ禍発生以来、段ボールの実出荷数量は本年末までに▲7%の減少を予想。世界的なインフレ懸念、トランプ関税等による市場の不確実性で、今後も消費者マインドの低下が懸念。
*これを受け今年9月までに、IP(International Paper)、SW(Smurfit WestRock)など大手一貫メーカー中心として、前例のない規模の生産削減(段原紙合計で計▲350万㌧程度、北米生産能力の約9.5%)、段ボール工場の整理が行われており、川上から川下までの供給システムの再構築、市況の安定化に向け先陣を切る姿勢を示している。
*段原紙は本年初(1-2月)に$40‐の値上がりが実現したあと、ほぼ横ばいで推移。年明けには値上げの可能性もある。
欧州市況(11月度)
[新聞用紙]
11月は各国市場とも前月価格がほぼ持ち越し。11月には1Q分の価格交渉が始まった。サプライヤーは生産コストの上昇で価格の修正に迫られているが、来年度は需要も、今年の更に▲10%減が見込まれており、状況の打開は相当難しい。
[中質系印刷用紙]
4Q価格は、下落した価格がそのまま適用されている。既に発表されたUPM/Kaukas(30万㌧)、Sappi/Kirkniemi(17万㌧、ともにフィンランド)は、年内にも生産停止となる予定で、Sappiは1Qで中質コートの価格修正を打ち出した。
[非塗工上質紙]
11月の上質紙は、前月の価格下落後概ね横ばいとなった。パルプ価格は底打ちし、Navigatorは1月以降5-8%の値上げを発表。しかし供給過多に加え、アジアから安値で流入が続いており、需給バランスは、値上げを支えるには脆弱である。
[塗工紙]
11月の塗工紙の価格は横ばい。アジアから安値品が流入し、市況は依然軟調である。中質軽量コート紙は生産削減実施により、年明け以降の値上げの動きを見せているが、上質コート紙は、これまでメーカーからの値上げの動きは見られず、上質軽量コート紙の価格の動向を窺う姿勢である。
[段原紙]
テストライナーは、段ボール需要の減少、本年稼働の生産能力大幅増(約200万㌧)により、供給過多が進んでいる。原料古紙も、中国による再生パルプの品質基準の強化で、アジアへの輸出が大幅に減少し、価格も急落していることから、当面のあいだ、価格修正は極めて難しいと予想。クラフトライナーは、6月の値上げ(€40‐)も、その後は元のレベルへと下落しており、南欧市場では、北米品の輸入が依然安値で流入している。需要面でもクラフトライナー離れは進んでおり、段原紙全体として価格の下落には、更なる圧力が強まっている。
中国・香港・東南アジア市況(11月度)
[印刷用紙]
*中国市場では、出版入札案件が進行したことから、今後の一般商用案件の相場にも、ある程度の方向性が定まってきた。
*11月度の市場価格は、前月から概ね横ばいとなったものの、メーカーの値上げの動きは徐々に強まっている。今後年末から1月にかけて、出版物納品のピーク及び年末需要の増加で、荷動きにも活発さが回復してくることが期待される。メーカー及び紙商の在庫も、これに伴って消化が進むと予想される。
*メーカーの値上げは、11月分より香港市場でも上質紙・上質コート紙ともに$30‐程度のアナウンスとなり、APRILは上質紙で最大$20程度の受け入れが実現した。パルプ価格の上昇と秋需、またユーザーの在庫不足等のタイミングにより、一定の成果が見られた模様。
*コート紙は上質紙よりも市況が軟調で、APPも市場への値上げアナウンスは、幾分遅れ気味で行われた。パルプ価格の上昇で、サプライヤーは採算の改善が必要であるものの、春節を控えた状況下、本格的な市況回復に繋がるかは不透明である。
[板紙]
*中国市場の11月の段原紙は、夏以降の原料古紙(OCC)価格高騰と、大手メーカーの大幅な生産調整(9-10月)の影響から在庫の減少、それに伴う断続的な値上げにより、市場価格は依然として上昇基調にある。
*原料に関しては、10月に導入された輸入再生パルプに対する品質基準強化の影響で、供給の逼迫から原材料不足に新たに直面しており、原紙価格の先高観を更に加速させている。一方、段ボールメーカーでは原紙在庫が増加しつつあることから、春節を控え、今後の原紙購入のペースは鈍化に転じることが懸念されている。
*1月以降は、これまでの需要先食いの反動もあり、段原紙価格も調整局面に入ることが予想、状況によっては価格の反転も懸念される。
*アイボリーは、引き続きメーカー主導による値上げが行われている。しかし、これまでのマシン増設による供給過多に加えて、春節を控えて、今後は市場も更に非需要期に向かっており、値上げの動きがこのまま持続されるかどうかは、極めて不透明である。
*白板紙は、夏以降原料古紙の値上がりが続いており、段原紙同様、メーカーは値上げを継続して行っている。
【統計】10月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
2025年10月の紙・板紙合計輸出は16万3,724トン(前年比2.0%増)、輸入は6万6,154トン(同5.3%減)となった。国内需要は162万1,082トン(前年比4.3%減)となった。
板紙の金額のみ前年比増。

リンク Japan Pulp and Paper Apparent Consumption | Tableau Public (ブックマークをお薦めします)
【統計】1-9月 米国紙・板紙輸入
2025年1-9月の米国紙・板紙合計輸入は534万5,524トンで前年同月比2.1%と減となった。金額は58億5千3百万ドル(同3.2%減)となった。上位4か国が大幅に落ち込んだ。

出典:Data Web(USITC)
メキシコ 関税率引き上げ
メキシコ政府は2026年1月1日より、中国を含めFTA未締結国からの関税率を最大50%に引き上げると決定した。品目別の関税率詳細は今のところ不明。
同国の中国からの紙・板紙輸入は2024年計で2億2,600万ドルとなっている。
米国マネジメント・トップ250
レアモント大学院大学のドラッカー研究所が開発した「マネジメント・トップ250」ランキングは、顧客満足度、従業員のエンゲージメントと能力開発、イノベーション、社会的責任、財務的健全性の5つの分野における実績を分析することで、企業の経営の有効性を測定するもの。
1位はNvidiaで5位まではGAFAM企業が占めた。
紙パルプ企業からは International Paper がスコア53.3で247位にはいった。
(WSJ 12/12/2025)