2025年4月分 紙類通関統計原本等(組合員のみ)

2025年4月 紙類輸出通関統計(原本)

2025年4月 紙類輸出通関統計月次ファイル

2025年4月 紙類輸出通関統計税関別HSデータ

2025年4月 紙類輸入通関統計(原本)

2025年4月 紙類輸入通関統計月次ファイル

2025年4月 紙類輸入通関統計税関別HSデータ

2025年4月 紙類輸入通関統計税関別品目別ファイル

紙類海外動向レポート
2025年第3号 2025年6月

Contents
海外動向トピックス
欧州市況(5月度)
北米市況(5月度)
中国・香港市況(5月度)
【統計】3月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】3月 米国輸入状況
【資料】2024年中国段ボール原紙新増設


海外情報トピックス

*北米における非塗工上質紙の生産削減
米国のPixelle Specialty Solutionsは、オハイオ州のChillicothe工場を閉鎖し、同工場での非塗工上質紙の生産を削減することを発表した。この工場では年間40万トンの非塗工上質紙が生産されており、北米市場における大幅な生産能力の削減となる。昨年末にはInternational PaperのGeorgetown工場(サウスカロライナ州)が閉鎖され、約30万トンの上質紙系の生産が削減されており、これに続く動きである。IP/Georgetownの減産により、北米の上質紙の供給は引き締まり、年初より価格上昇基調にあり、3-4月に累計で$40-の値上がりとなった。3月度の北米メーカーの稼働率は93%(昨年は88%)と急速に改善している。

北米市場の需給バランス改善が期待される一方で、関税問題は現在90日間の発動保留期間にあり、今後の進展は各国との交渉に委ねられているが、輸入品の供給に懸念をもたらす可能性があるため、即座に政府関係者と企業側は、Chillicothe工場の長期的な再建の道筋を探るべく、とりあえず閉鎖することを「一時停止」し、年末までは操業を継続することを、上記の発表から数日後に改めて発表しなおした。

北米の非塗工上質紙の生産量は、2023年度の630万トンから2024年度末には590万トンへと約5%削減となった。本年度は、IP/Georgetown工場の閉鎖(とPixelle/Chillicothe工場が年末までに閉鎖となれば)520万トン程度にまで減少する見込みである。今後の輸入関税の動向と北米メーカーの供給状況への注視が必要である。北米の上質紙メーカー毎の生産量は、Domtarが首位で195万トン(全体の37%)、Sylvamoが132万トン(25%)、PCAが50万トン(9%)、Pixelleが33万トン(6%)となっている。

*欧州市場における段原紙の新マシン稼働
オーストリアのHeinzelグループは、Laakirchen Papie工場での11号機を再生段原紙に転抄する計画を進めていた。当初は2023年半ばの稼働を予定していたが、コロナ感染拡大やロシアのウクライナ侵攻などの影響で度々延期されていた。しかし、本年4月上旬にようやく稼働に漕ぎつけた。生産能力は当初の年産55万トンから47万トンに下方修正されたが、2026年度中にはフル生産を目指している。ターゲット市場はオーストリア、イタリア、ドイツ、ポーランドなどである。

欧州市場では、今年度中に複数の段原紙の新マシンの稼働が予定されており、市況の一層の軟化が懸念されている。フランスではNorske SkogのGolbey工場1号機が新聞用紙から転抄し、4月末に稼働した。また、イタリアのMondiのDuino工場も第2四半期中に稼働を控えている。また更に2026年以降に稼働が後ろ倒しとなっているものもあり、これにはDS Smith&IP新会社のPorcari工場(イタリア)/Eren Paper(親会社トルコModern Karton)のShotton工場(英国)/Hamburger Container(トルコ)/Stora EnsoのLangerbrugge工場(ベルギー)などが含まれる。

*欧州委員会(EC)によるEUDRの実施要項の簡素化
欧州委員会(EC)は、昨年12月30日に発令された森林破壊防止規制(EUDR)の実施を容易にするため、規制の簡素化を行った。ECはガイダンス文書と頻出質問事項を更新し、大企業がEU市場内で流通した商品を再輸入する際に、既存のデューデリジェンス報告書(DDS)を使用できることを認めた。また、輸入の都度DDSを提出するのではなく、年度ごとの提出を義務付けることや、サプライヤーから入手したDDSの参照番号を記載することで提出できることも認めた。これにより、企業側の管理コスト負担が約30%軽減できると期待されている。ECは最終的に実施細目を法制化し、各国ごとのカントリーベンチマーク制度を導入することを目指している。

*北米における段原紙の生産削減
北米における段ボールの需要は、2022年以降減少傾向にあり、今年に入り第1四半期も実出荷量で前年同期比▲2.1%と低調に推移している。この需要の低迷は、供給過多にある段原紙生産メーカーに大きな影響を与えている。

段ボールの需要減少に伴い、北米の段原紙生産能力はここにきて大幅に削減が行われている。2023年末から2025年8月までの約20か月間で、約300万トンの生産能力が削減される予定である。具体的には、2023年末にInternational Paper (IP)がテキサス州のOrange工場で80万トンの生産を停止、今年に入ってからIPはルイジアナ州のRed River工場でも80万トンの生産を3月に停止した。さらに、Griefがマサチューセッツ州のFitchburg工場で約10万トンの再生段原紙マシンを5月に停止する予定である。直近では、IPと並び世界最大手の段原紙メーカーSmurfit Westrockも、7月にテキサス州のForney工場で38.5万トンの再生段原紙の生産を停止、またGeorgia Pacific(GP)のジョージア州Ceder Springs工場でも、8月までにKLB/中芯合計102万トンの生産停止が発表された。

これらの生産能力削減は、段ボールの需要が低調であることに直接結びついており、メーカーは市場の実需に対応するために生産を調整している。段ボールの需要が回復する兆しが見られない中、段原紙の生産能力削減は今後も続く可能性がある。

北米市況

「新聞用紙」
北米市場の新聞用紙の需要は減少し、第1四半期の見かけの消費は前年比▲6.6%となった。
北米メーカーの生産量も減少しているが、輸出が全出荷の51.2%を占めており、輸出への依存度が依然として高い。カナダ品の輸入関税懸念は緩和され、供給リスクは減少したが、需要は依然低調である。2024年度の米国市場の需要は約90万㌧、そのうちカナダからの供給が半分を占める。輸出の減少が続けば更に生産能力の削減が必要となり、輸出動向に注視が必要。

[上質紙]
米国市場では輸入関税の影響で不確実性が高まり、第1四半期は輸入品で在庫確保が進んだ。第1四半期の需要は前年比▲0.6%で、輸入品は需要の15.2%を占めた。生産稼働率は急速に改善したが(3月は93%)、生産削減による供給の引き締まりが背景にある。値上げは3-4月で段階的に$40-程度受け入れられた。その後の価格修正の動きは見られない。

[コート紙]
コート紙の需要は依然として減少しており、カナダ・その他アジアからの輸入品への依存度は高い。北米メーカーの生産稼働率も改善しているが(3月は86~92%)、これも上質紙同様、生産能力の大幅削減によるもの。関税問題の影響は発動の保留後、現在一時的に小休止しているが、今後は為替の動向(ドル安傾向)が輸入品の価格に影響を与える可能性が大きい。早速欧州系メーカーは価格上乗せを発表、値上げ圧力が強まることを予想。

[中質紙]
第1四半期の需要は前年比▲0.3%で、好調だった昨年同期同様好調である。カナダ工場からの出荷が80%以上を占め、その他の輸入品の割合は低く、関税問題の影響は受けづらい。他の印刷用紙からの代替需要も期待され、比較的安定した市況を予想する。

[段原紙]
米国の段ボール実出荷量は第1四半期が前年比▲2.1%と減少となった。段原紙の生産はこの間微増だが(+0.6%)、輸出は減少しており(▲7.7%)、特にメキシコと中国向けは低調。
段原紙の値上げは2023年後半以降累計$120-に及ぶが、ユーザー側の抵抗が強くなり、段ボールへの価格転嫁は進んでいない。段原紙の供給過多は負荷となっており、ここにきて急速に生産能力の削減が進められており、今後の需要動向と供給環境に注視が必要。

欧州市況

[新聞用紙]
第2四半期の契約交渉では、価格は第1四半期比でほぼ横ばいの決着となった。欧州メーカーは原燃料等コストアップ分を価格に転嫁しようと試みたが、低調な需要とカナダ品の攻勢等により、方針の変更を余儀なくされている。

[非塗工上質紙]
BurgoやSappiなどが4月以降の価格引き上げを打ち出したが、需要の低迷、供給過多に加えて、米国の追加輸入関税発動による市況への更なる影響を懸念し、ユーザー側でも様子見の姿勢が窺われるようになった。主要市場で逆に価格は下落しており、値上げは5月に持ち越されるも、市況は低調で非常に厳しい状況が予想される。

[コート紙]
Burgo、Lecta、Sappiなどが4月分以降の価格修正を発表したが、需要は依然低調で、値上げは事実上断念せざるを得ない状況となった。4月度はなんとか価格は現状維持に留まった。
メーカーの稼働率はコート紙全体で概ね75%前後で推移している。
Kabel Premiumが再建を目指し生産を再開したが、売却先の有無が注目されている。

[段原紙]
テストライナーはスペイン・英国等で3-4月になり今年初めて値上げが実現したが、ドイツ、フランスでは2月に続く4月の再値上げはユーザーの抵抗で難しい状況で、持ち越しとなった。クラフトライナーも値上げを表明しているが、南欧地区でドル安を背景に北米品が値上げを実施しておらず、こちらも持ち越しとなった。

中国・香港市況

[印刷用紙]
中国市場のコート紙は、雑誌・カタログの需要は減少が続いている。米中貿易摩擦による相互追加関税の発動が、市場にどのような影響を及ぼすかは全く不透明であり、市場は一様に様子見ムードが広がっている。紙市況が依然として低調で、パルプ価格にも下落の兆候が表れていることから、現状値上げが難しく、逆にユーザーからの値下げ要求に応じるケースも見られる。香港市場では、旧正月明けに値上げアナウンスがされたが、需要低迷が続き、ユーザーからの値下げ要求が強まった。パルプ価格も下落の兆しがあり、市場価格は下振れしやすくなっている。米国の関税問題の影響で、注文取り止めも出始め、需要の一層の減少が深刻である。
中国市場の上質紙は、印刷需要がデジタル化の影響で緩やかに減少が続いている。構造的な市況低迷に加え、米中貿易摩擦が印刷物の輸出案件にも影響しており、更に低調な状況が加速している。国内パルプの小売価格、輸入パルプともに価格に下落が見られ、平均価格は概ね軟化傾向にある。香港市場では、春先の出版物関連の需要も最盛期であるにも関わらず低調で、荷動きも停滞している。メーカー・流通業者ともに、受注を削減、在庫の削減を優先せざるを得ない状況で、価格は更に下落している。

[段原紙及び板紙]
中国市場では、4月前半に古紙パルプの価格が上昇し、中芯・ライナーの値上げが各メーカーから発表された。しかし、米中貿易摩擦の影響から段ボール需要は低迷しており、ユーザー側が積極的に在庫の積み増しをしないため、荷動きは非常に低調で、段原紙の価格は更に下落となった。追加関税の行方により、今後の市場動向には依然として不確定要素が多く、心理的な不安から、在庫削減を優先する傾向にあるため、市況は暫く軟化基調に推移すると予想される。
香港市場では、アイボリーの需要が減少、供給過多となっているため、サプライヤーはユーザーからの値下げ要求に応じざるを得ない状況である。流通側は米中貿易摩擦の影響で、在庫削減を優先するため、暫く値下がり基調が続く見通しである。白板紙はアイボリー市況と同様、旧正月明け以降価格は下落しており、4月に更に大きく下落となった。原材料の古紙は比較的安定した価格推移となっているが、販売価格の引き上げは難しく、メーカーの採算は一層厳しくなっている。

【統計】3月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2025年3月の紙・板紙合計輸出は18万3,765トン(前年比0.7%増)、輸入は7万2,779トン(同9.2%増)となった。国内需要は163万2,701トン(同0.8%減)となった。
内需の減少で輸出、輸入ともに増加した。

【統計】3月 米国輸入状況

米国の2025年3月の紙・板紙の輸入は合計74万8,630トン(前年比22.5%減)、金額は8憶859万5千ドル(同24.8%増)となった。そのうち印刷用紙合計は30万7,013トン(同22.7%増)、金額は3億4,121.0万ドル(同22.1%増)となった。
同1-3月累計は紙・板紙合計で174万9,679トン(同10.4%増)、21億4,257万1千ドル(同11.1%増)となった。

組合員向けにTableauにて詳細データを掲載しております。

【資料】2024年中国段ボール原紙新増設

単純に昨年の生産量の7-9%の増産があることとなるが、稼働率から考えれば、生産能力としてはそれ以上のところに、更に増産となる。ライナーでは大手メーカーは幾分影を潜め、新規企業による参入、増産もあるとみられる。

中国造紙協会 2024年報告

中国造紙協会は7日、「中国造紙工業2024年度報告」を発表した。

それによると、中国の2024年紙・板紙生産量は1億3,265万トンで前年比5.09%増となった。同消費量は1億3,634万トン(同3.56%増)となった。

紙類海外動向レポート
2025年第2号 2025年5月

Contents
海外動向トピックス
欧州市況(4月度)
北米市況(4月度)
中国・香港市況(4月度)
【統計】2月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】2月 米国輸入状況
米国関税関連報道


海外情報トピックス

中国;ナインドラゴン 北海・荊州の大規模増産計画 非塗工上質紙の新マシン稼働
中国最大の紙板紙メーカー、ナインドラゴン(Nine Dragons)は、湖北省の荊州工場と広西チワン族自治区の北海工場で新しい非塗工上質紙の大型マシンを稼働予定。荊州工場では3月末に合計60万トン、北海工場では6月末に70万トンの生産能力を持つマシンが稼働する。この新マシンの稼働により、中国の印刷用紙市場の供給過剰がさらに悪化する懸念があります。

市場では、春節前後に各メーカーが長めの停機を行ったことで需給バランスが改善し、パルプ価格の底打ちに伴い2月に約200元の値上げが行われた。しかし、需要は低調で、市況の回復は遅く、価格修正はユーザーに受け入れられていない状況。市場価格の下方圧力が続く懸念がある。

中国;山東晨鳴紙業グループ 2工場でマシンが再稼働(コート紙及び高級板紙)
山東晨鳴紙業は、財政悪化と過剰生産の影響で、昨年11月に生産能力の70%以上を停止していたが、3月中旬に山東省寿光工場(コート紙マシン)と江西省南昌工場(コートアイボリー)を生産再開した。南昌工場は昨年12月に一時再開したものの、すぐに停止していた。また湖北省黄岡工場のパルプ生産は継続中で、吉林省吉林工場と広東省湛江工場は依然停止している。

インド;ITC社 Century Pulp & Paperの買収
インドの複合事業体企業グループ、ITC Ltd.は、Aditya Birla Real Estate Ltd(ABREL)から紙パルプ事業のCentury Pulp & Paper(CPP)を約349.8億インドルピー(約4.1億ドル)で買収することで合意した。この買収で、ITCはインド北部Uttarakhand州LalkuanにあるCPPの工場を含め、年産48万トンの生産設備を獲得する。ITCは南インドで約100万トンの板紙事業中心に展開、CPPの買収で印刷用紙、衛生用紙部門を加え、事業規模の拡大とポートフォリオの多様化を図る。衛生用ティッシュ紙分野への参入は初めて。

インド;中国産輸入化粧板原紙に対するアンチダンピング課税中間見直しに結論
インド商業産業省は、2021年12月に中国産輸入化粧板原紙に対するアンチダンピング課税を導入し、5年間の適用期限を2026年末とし現在運用中。この課税の適用実態につき、2024年3月以降中間期調査を開始、2023年4月から翌年3月の期間に付きレビューを実施した。その結果、最大手メーカーのKingdecor(Zhejiang)社に対し、課税額が従来の$116/mtから$542/mtに見直した。Shandong Boxing Ouhua Specialty/Zibo OU-Mu社には$110/mt、その他のすべてのメーカーには$542/mtが従来通り課されることとなった。対象の化粧板原紙は米坪40-130gsm、HS Codeは48059100および48022090。中国製化粧板原紙に関しては、欧州委員会(EC)もダンピングの疑いで調査を行ない、該当メーカーに対し31~34.9%の暫定税率を課す決定を下している。

北米市況

[新聞用紙]
1月から2月の新聞用紙は、関税の導入を前にカナダからの供給が増え、米国内の荷動きも好調であった。当初米国は、カナダに対し25%の追加関税導入を予定したが、4月上旬に90日間の保留となった。USMCA(米・カナダ・メキシコ3ヶ国協定)もあり、現状これら3か国間の紙板紙の取引は、実質ゼロ関税扱いとなっており、市場の不安感は一時的に緩和されている。関税実施に備えて、一時カナダと米国のメーカーは値上げの動きも見せたが、関税措置の保留により、値上げは棚上げとなっている。

[上質紙]
1月以降出荷分に対し、メーカー各社は5-8%(約$60)の値上げを発表したが、2月に入り、約$30の値上げが受け入れられ、3月は横ばいで推移した。相互関税発動を前に、2-3月の荷動きは堅調で、特に1-2月の輸入量は前年比57%増の15万トンとなった。しかし、関税措置発動の保留により、輸入コピーでは値下げによる発注確保の動きも見られるなど、市況への混乱も懸念されている。

[コート紙]
1-2月の北米の上質コート紙の需要(見かけの消費)は前年比▲4.4%減となった。関税措置による先行き不安から、北米メーカーの出荷は前年比▲7.7%減、輸入も同1.5%増に留まるなど低調な動きとなった。2月以降の契約分に対し、大手メーカーは$50の値上げを発表、3月末までに$25-50が受け入れられた。北米市場のコート紙は、輸入紙への依存度が高く、今後の関税措置の動向次第で、市況への影響が大きく左右されると予想される。

[中質紙]
北米の中質紙生産の80%以上はカナダからのもので、カナダからの供給状況は米国の市況に大きな影響を与える。カナダ品は現状実質ゼロ関税であり、米国市場ではカナダ品が欧州品よりも有利になると予想されるため、比較的安定した市況推移が見込まれる。1-2月は関税措置発動を意識した荷動きもあり好調であった。新聞用紙同様、カナダメーカーからは値上げの動きがあったが、関税措置保留で値上げは様子見となっている。

[段原紙]
段原紙は昨年度2度の値上げ($80-100)があり、今年2月も$40の値上げとなった。段ボールの1-2月の荷動きは低調で、3月も相互関税の発動が近づく中、原紙の発注には慎重な姿勢が見られた。また1-2月のKLBの輸出は前年比▲10%減となり、特に米国と関税の応酬が続く中国向けが▲38%の激減となった。段原紙は北米からは純輸出アイテムで、今後、関税の動向による世界レベルでの貨物の流れの変化、北米からの段原紙の輸出の動向の注視が必要である。

欧州市況

[新聞用紙]
多くの契約期間が3か月または6か月であり、3月度の価格に変化は見られない。新聞用紙メーカーの稼働率は90%近くにまで改善しているが、原料古紙、電力価格の高騰で、一部の工場では操業停止を余儀なくされている。第2四半期の価格交渉では、メーカーは8-10%の値上げを提示している。米国での関税問題が影響し、カナダのメーカーから積極的なオファーが見受けられる。

[印刷用紙]
上質紙は3月で概ね€10-程度下落となった。景気の低迷と米国の関税措置の影響から、欧州市場にも不透明感が出ており、市況は軟化が加速することが懸念されている。Burgo/Sappi等の大手メーカーが4月からの価格引き上げを発表している。また、ポルトガルのNavigator/Setubal工場が、上質紙(年産18万㌧)からクラフト紙への転抄の計画を明らかにした。

上質コート紙の3月価格は横ばいで推移した。生産コストの上昇、長引く需要の低迷で、メーカーの採算の改善が求められ、Lectaが4月から6-8%の値上げを発表した。

[段原紙]
TLBは2月に主要市場で€80-程度値上げ、3月は安定している。
他市場(イタリア・スペイン等)では3月に€30-50程度の値上げをした。
古紙価格高騰でSaicaなどが4月以降再値上げを発表した。
KLBはTLBの値上げを受け3月から€80-の値上げをした。
北米からのKLB供給は関税問題でユーザーに不安と警戒感がある。

中国・香港市況

[印刷用紙]
中国市場における印刷用紙市場は、3月に一部の大手メーカーが値上げ(+200元/㌧程度)を発表し、価格上昇の兆しが見られたが、月後半になると、パルプの在庫販売価格に軟化の兆しが出始め、需要も価格を下支えできるほどの力強さはないため、製品価格上昇への意向が持続できるかが不透明な状況となった。上質紙ではナインドラゴンの新しい上質紙マシンの稼働が近づき、市況の軟化が懸念される。

香港市場では、チェンミン紙業の昨年末からの操業停止の影響で、各社の値上げが行われてきたが、旧正月前後の市場低迷により、市場への影響は極めて限定的となっている。春先の本来の需要期にもかかわらず、荷動きは低調で、加えて米中間の報復関税の影響で、大手印刷会社を中心に影響が増大している。

[段原紙ほか板紙]
中国市場では、段原紙市況は低迷が続いている。原料古紙の価格も下落傾向にあることから、メーカーはユーザー側からの値下げの圧力への対応を余儀なくされている。採算悪化で原紙の値上げは急務であるが、需要が圧倒的に低迷しており、少なくとも価格の維持を図るべく模索している。米中間の関税の応酬が激化しており、この先さらに値下げ圧力が強まることが懸念される。

香港市場の箱用白板紙は、アイボリーは年末以降も引き続き値上げが画策されてきたが、春節を跨いで低調な需要が回復せず、増産の連続による供給過剰で市況に改善の兆しは見られない。

白板紙からアイボリー等への切り替えが進んでおり、需要も大幅に縮小している。

【統計】2月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2025年2月の紙・板紙合計輸出は16万268トン(前年比5.8%減)、輸入は6万7,909トン(同8.1%増)となった。国内需要は146万3,441トン(同3.5%減)となった。
国内需要の減少が貿易バランスに動きを示した。

【統計】2月 米国輸入状況

米国の2025年2月の紙・板紙の輸入は合計54万5,342トン(前年比3.5%減)、金額は6憶146万7千ドル(同2.2%減)となった。そのうち印刷用紙合計は21万9,335トン(同4.4%減)、金額は2億4,145万2千ドル(同5.7%減)となった。
同1-2月累計は紙・板紙合計で121万4,015トン(同3.7%増)、133億3,397万6千ドル(同4.1%増)となった。

組合員向けにTableauにて詳細データを掲載しております。

米国関税関連報道

「米国による追加関税及び各国との相互関税の問題は、紙・板紙にどの程度インパクトをもってくるのか、非常に不透明。カナダの製品に、現下は追加分の関税は免れているとはいえ、状況によっては米国のメーカーも、特定の品目で米国内の工場の稼働率を高めたり、カナダからの輸入するコスト増よりも自分たちのコストを抑えて、市場シェアを拡大するような動きも出てくるかもしれない。」

「一方、アジアの紙板紙市場では、韓国メーカーは、依然として北米への販売に暫く注力するのか、韓国国内需要増への“その辺の状況に応じて”対応していくということかと思われる。米国との間で報復関税が続く中国メーカーは、依然としてアジア各地で増販を図る(図らざるを得ない)だろうことから、市況は依然軟調に推移するだろう。アジアでも特に主要市場への影響が少ない地域、あるいはオセアニアなどに、上質紙、白板紙が攻勢をかけると考えられる。パルプ(特に米国産が殆どのフラッフパルプ)は、この関税の応酬でどうするか等が注目される。」

米国は1月30日、2月中にもコンピュータ部品、薬品、鉄、アルミニウム、胴、石油および天然ガスの輸入に対して関税を課すと発表した。これは先立って公表したカナダ、メキシコに対する25%、中国の10%の追加関税とは別のものになる。トランプ大統領はカナダ、メキシコ、中国からのフェンタニルの流入が止まらない限り課税を続けるとしている。(2/1)

ホワイトハウスのスポークスパーソンKush Desai氏は、カナダおよび他の相手国からの鉄およびアルミニウム輸入に対し、例外、除外なく25%の追加関税を課すと発表した。(3/12)

カナダは3月13日より206億ドルにのぼる米国製品に対し25%の追加関税を課すとした。それには鉄、アルミニウムのほかコンピュータ部品、スポーツ器具などが含まれている。EUは4月1日より米国産ウィスキー、オートバイ、モーターボートに対し50%の追加関税の策定を発表した。また、4月半ばから課す米国の菓子、鶏肉をはじめとする食品などの関税リストを策定した。(3/13)

トランプ大統領は4月2日から自動車、薬品、半導体製品などに対し相互関税を課すると宣言した。しかしながら、政府関係者はこれらの関税が4月2日に課されるかは流動的だと述べている。(3/24)

トランプ大統領は4月9日より100か国以上に対し第2次大戦以降最高率となる関税を発動した。
ベトナム、ラオス、カンボジアなど多くの東南アジア諸国は45%以上の税率で最も深刻な打撃をうけた。中国は84%の上乗せですべての中国製品の輸入には104%の関税率となる。
また、トランプ大統領2期以前の関税を含めた中国品の平均は125%となる。トランプチームは交渉しだいで関税の引き下げに応じるとしているが、今のところ何も達成していない。(4/9)

トランプ大統領は4月10日、およそ100か国に対する高関税を後退させた。10%の基礎関税は有効としながら、相互関税となる上乗せについては90日間猶予した。ただし、中国に対する125%の関税は「即時発動する」とした。(4/10)

数々のエコノミストは、トランプ大統領が国際的な関税の実効を延期したことにより、世界のリーダーは厳しい交渉を迫られると述べている。
二次トランプ政権による中国への関税は145%に増加し、最終的には減少の場合もあるが、すでに5,820万ドルにのぼる両国間の貿易の一部は停止の動きがでている。(4/11)

2025年3月 紙類通関統計速報

2025年3月 紙・板紙及び加工紙の輸出通関速報

2025年3月 パルプ及び古紙の輸出

2025年3月 紙・板紙及び加工紙の輸入通関速報

2025年3月 パルプの輸入

2024年4-3月 紙・板紙および加工紙の輸出通関速報

2024年4-3月 パルプ及び古紙の輸出

2024年4-3月 紙・板紙および加工紙の輸入通関速報

2024年4-3月 パルプの輸入