2025年9月 紙類通関統計原本等(組合員に限る)

2025年9月 紙類輸出通関統計(原本)

2025年9月 紙類輸出通関統計月次ファイル

2025年9月 紙類輸出通関統計税関別HSデータ

2025年9月 紙類輸入通関統計(原本)

2025年9月 紙類輸入通関統計月次ファイル

2025年9月 紙類輸入通関統計税関別HSデータ

2025年9月 紙類輸入通関統計税関別品目別ファイル

紙類紙類海外動向レポート
2025年第8号 2025年11月

Contents
海外動向トピックス
北米市況(10月度)
欧州市況(10月度)
中国・香港・東南アジア市況(10月度)
【統計】8月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
アジア紙パルプ会議

海外情報トピックス

※Stora Enso/Oulu工場6号機(フィンランド) 箱用板紙への転抄マシン ユーザーへの供給を開始

Stora EnsoのフィンランドOulu工場6号機は、2020年以降停止していたが、コート紙の生産から消費者用包材白板紙(FBB、CUKなど)への生産転換を進め、2023年3月に稼働を開始した。持続可能な紙製包材の需要が高まり、プラスチック包材の代替として白板紙の生産が進められた。当初は永続的な生産停止が予定されていたが、冷食やファストフード、飲料向け包材の生産へと方針を転換し、2027年までにフル生産を目指す。Stora Ensoの増産は成長戦略による方向転換であるが、欧州市場では既に供給過多の懸念がある。Metsa BoardはフィンランドのTaco工場でFBB生産を停止し、市場ごとに方針が異なる。米国の追加関税によりアジアからの安価な製品が欧州市場に流入しており、市況は軟化している。Stora Ensoも当初米国市場をターゲットとしていたが、現在は欧州市場を主戦場としている。


※中国上海先物市場/非塗工上質紙の先物契約取引を開始

上海証券監督管理委員会は、国内外で生産された非塗工上質紙の先物契約取引を承認し、上海先物取引所は9月10日から取引を開始した。契約仕様は、米坪65/70/75/80gsm、白色度80-85%、1ロット当たり40トン、取引通貨は人民元。値幅制限は前日価格基準で上下4%以内。取引可能な企業は、年間20万トン以上の生産能力と一年以上の安定生産、さらに中国の「十環認証」(公式の環境ラベル認証)を取得したグリーン企業であることが条件。現時点で承認されたメーカーは、岳陽紙業、山東銀河瑞雪、山東太陽、山東華泰、Asia Symbol(Shandong)、Asia Symbol(Guangdong)、山東博匯、ナインドラゴン(北海)、聯盛、僕陽龍峰などである。


山東晨鳴紙業グループ 寿光工場でほぼすべての紙パルプ生産を再開

山東晨鳴紙業は、長引く市況の低迷と過剰生産による財政悪化から、昨年11月にその多くの生産停止を余儀なくされていたが、9月には基幹工場である山東省寿光工場での生産をほぼ全面的に再開した。具体的には、上質紙(101万㌧)や上質コート紙(80万㌧)、ティッシュ紙(計12万㌧)、パルプ(100万㌧)の生産が再開されている。昨年11月には、国内5ヶ所の工場のうち4工場合計700万トン相当の製品の生産が停止したが、今年初頭に一部再開され、3月(寿光工場 上質38万㌧、南昌工場上質17万㌧、機械パルプ17万㌧)と7月(吉林工場、寿光工場のパルプ)でさらに再稼働が進んだ。しかし、吉林工場や広東省湛江工場での生産再開の予定は未発表。コートアイボリーについては供給過多と市場価格の低迷が続き、再稼働の見通しは立っていない。


※インド/紙コンバーターが改正GSTによる税率の是正を要求

インドの紙板紙コンバーター同業界は、改正GST(物品・サービス税)により決定された原紙及び加工製品における13%の税率差につき、インド政府当局へ是正を緊急に求めた。この改正は、本年9月3日に発表され9月22日に施行されたが、原材料に対する税率が最終製品よりも高くなる「逆転構造」となっており、混乱が生じている。具体的には、段ボールの税率が12%から5%に引き下げられた一方で、クラフト紙・段原紙の税率は12%から18%に引き上げられた。これにより産業界は資金調達の困難に直面し、業界団体のみならず地域の小規模な業界関係団体も、首相府や財務省に介入を求める書簡を提出した。特にノート・帳簿などの製造企業では、これらの製品はGSTが0%であるが、原材料である非塗工印刷用紙は18%の税率が適用される。このため、コンバーターは原材料に対する仕入れ税額控除を請求できず、また還付には複雑な手続きを経る必要があるが、それには2~3か月の期間を要すると指摘されている。更に輸入業者が異なるHSコードを使用することにより、国内メーカーを不当な輸入競争に晒しており、ASEAN協定によりアジアから輸入されるノートなどは0%のGSTで販売可能となっているが、これに対抗すべき価格の引き下げは非常に厳しくなっているのが現状である。

北米市況(10月度)

[新聞用紙]
需要は1-8月で前年比▲15.2%減、生産、出荷も同程度の減少となった。更なる需要減少の予想に加え、昨年来輸出も減少しており、少なくとも約50万㌧程度の生産削減は必要と見込まれる。White Birch/Krugeは操短を延長、Domtar/Grenada工場は無期限の生産停止ととなった。これを受けDomtar/White Birchは、$50の値上げを発表、他メーカーも海外市場を含めて価格修正を検討している。

[上質紙]
2Qの上質紙市場は、関税交渉の影響で鈍化し、膠着状態となったが、8月以降の関税発動を懸念した輸入の前倒しが再び進み、需要は安定が保たれたかたちとなった。供給面では、IPやPixelleの工場停止で供給が引き締まり、値上げの動きが出始めた。8月以降、ブラジル等主要輸入国への高関税により、北米メーカー品へシフトも予想されるが、現状は輸入品の十分な在庫があり、当面追加購入の必要は必要がない。生産削減で供給環境は引き締まっており、在庫の適正化が果たされたのち、来年初以降、市況は堅調に推移すると予想される。

[コート紙]
上質コート紙の1-8月累計需要は132万㌧(同▲6.9%)。景気の低迷で、特に企業向けの需要は低調である。8月以降、相互関税の発動で市場の不透明さが予想され、2Qも輸入は減少が続いた。郵便料金の値上げにより、今後の需要への影響が懸念されるが、秋需への期待、在庫補充の時期なども重なり、今後荷動きは若干回復を見込む。欧州・韓国等主要メーカーは、関税分の一部を価格へ転嫁、北米メーカーも追随した。末端ユーザーまで価格浸透には時間を要す可能性もある。実需は改善されておらず、輸入関税が主要因の価格修正となっている。

[中質紙]
2Q以降在庫調整に入り、1-6月累月の需要は前年比▲2.6%減。今後欧州から輸入の減少も予想されるが、カナダからの供給は余力もあり、安定している。新聞用紙の生産削減と値上げにより、中質紙への需要シフトもある。稼働率は72%と依然として低調で、価格の維持には、更なる生産削減が必要である。

[段原紙]
輸入関税問題の影響によるインフレ懸念から、上半期の段ボールの出荷は、同▲2.3%と減少した。さらにKLBの輸出は、1-7月累計で同▲11.1%減少しており、米国段原紙の需給バランスの重荷となっている。本年2月以降、主要各社が相次いで生産停止を行ない、全生産能力の8.5%相当(約340万㌧)が削減されるため、今後生産稼働率は、90%台後半へと改善が期待される。生産削減により供給が引き締まり、今後の市場価格も、需要次第で値上げが期待できる。

欧州市況(10月度)

[新聞用紙]
四半期・半年契約が多く、9月の価格は横ばい。需要は低迷し、紙の消費量も減少している。カナダ品の低価格も、一部欧州メーカーが価格対応を行っており、カナダ品の優位性は薄れている。

[中質印刷用紙]
中長期契約が多く、SC紙の価格は横ばい。需要も低調で、UPM/Ettringen(独)の工場の閉鎖は労組との協議が継続中。中質コート紙も、価格は前月から横ばいで、一部ではスポット取引も見られる。フィンランドでは、Metsa Board/UPMなど生産能力の削減が発表されているが、供給過多の解消には未だ不足している。

[非塗工上質紙]
9月の上質紙の価格は安定しているが、印刷用で上限が€20ほど下落。9月の需要は脆弱で、回復は遅れている。価格上昇と利益率改善には、生産能力の更なる削減が必須。

[塗工紙]
7~8月にも価格は大幅に下落、9月は上質コート紙が横ばい。需要は依然低調で、生産能力が需要を常に上回り、価格の下方圧力がかかる。4Qの価格交渉に、メーカーから値上げの動きは見られない。

[段原紙]
TLBは概ね€20~35下落。英国は比較的安定だが、10月以降下落の可能性もある。10月で大手メーカー4社が最大€120の値上げを打ち出しており、KLBの動向にも影響が出ると予想される。KLBは仏・独で6月に実行された値上げ(€40-)も、9月までには€30程度下落となった。南欧市場は、北米からの安価な輸入品で、依然下方圧力が強くなっている。米国品は他の欧州市場にも価格の下落圧力を与え始めている。

中国・香港・東南アジア市況(10月度)

[印刷用紙]

9月の中国の印刷用紙市場では、供給過剰と低調な需要により、価格は下落基調を辿っている。コート紙は4.13%、上質紙は約2%、前月から価格が下落した。生産調整のため停止していたマシンが、8月半ば過ぎから再稼働したことで供給は逆に増加しており、在庫は増大しはじめた。商業印刷の不振、出版分野における入札の遅れなどが影響し、需要の下落に拍車をかけている。チェンミンは主要工場での生産再開を行ない、上質紙は各社で生産能力の増大により、供給過剰は更に悪化している。サプライヤーはシェアの維持に注力しており、市況は今後も軟化が続く見通し。パルプ価格底入れを受け、サプライヤーは値上げのタイミングを模索している。

コート紙の需要低迷は、上質紙以上に深刻で、特に米国向けの案件では、米中関税交渉の影響が長引いており、回復の見込みが立たない状況。欧州向けもEUDR規制の開始が一年延長となるとの見込みから、新たな対応が必要である。10月中下旬から、出版向けの入札が本格化するが、低価格での落札が予想されており、価格は一時的に更なる下落が見込まれる。11月以降は出版注文の納品開始、年末のわずかな需要増で、価格には小幅反発が見込まれるが、供給過剰から、値上がり幅は限定的と予想される。


[板紙]

アイボリー市況は底入れの兆しが見られる。供給過多が続く中、サプライヤーは採算性の回復を図るため値上げを実施している。白板紙も古紙価格の高騰を背景に、価格修正が進行中である。段原紙市場では、古紙価格の高騰により大手メーカーによる値上げが行われた。供給面では各工場で生産調整が続けられている一方、需要面では年末需要を期待した荷動きも見られ、8月以降は価格上昇が続いている。原料古紙には供給の回復が見込まれ、コスト圧力が軽減される見通し。今後は、年末商需を背景に11-12月は需要が堅調に推移し、段ボール価格にも段原紙の値上げが

徐々に浸透し、小幅ながら価格上昇が期待される。全体として、市場は緩やかな上昇基調での推移を予想。

【統計】8月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2025年8月の紙・板紙合計輸出は12万5,202トン(前年比17.5%減)、輸入は5万9,072トン(同10.0%減)となった。国内需要は139万1,617トン(前年比7.9%減)となった。
印刷用紙・板紙とも内需が前年比減。

アジア紙パルプ会議

2025年10月16日、グランドプリンス高輪において「第8回持続可能な発展のためのアジア海パルプ会議」本会議がおこなわれた。アジア各国から179名が参加した。
各国代表によるアソシエーションレポート、基調講演、カーボンニュートラル、サステナビリティのセッションがおこなわれた。
次回は2027年に中国で開催される予定。

紙類紙類海外動向レポート
2025年第7号 2025年10月

Contents
海外動向トピックス
北米市況(9月度)                                欧州市況(9月度)
中国・香港・東南アジア市況(9月度)
【統計】7月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】7月 米国輸入状況
【貿易制度】米国 ファーストセール                                         


海外情報トピックス

*中国産輸入化粧板原紙に対し、各国がダンピングの疑いで実態調査を実施

中国製の化粧板原紙に対し、各国でアンチダンピング税が導入され、加えてブラジルでも実態調査が開始された。
ブラジル政府は、中国からの輸入化粧板原紙に対し、アンチダンピング導入の是非を判断すべく実態調査を開始した。HSコード4805.91.00に該当する非塗工、印刷・含侵加工を施していない原紙で、幅125㎝以上、米坪50-150gsmのものを調査対象とした。輸入対象期間は2023年7月~2024年6月、市場被害の期間は2019年7月~2024年6月。2020年のブラジルの同製品の輸入は2.6万トン、そのうち38.8%にあたる9,900トンが中国産である。2021年以降、中国産の輸入は増加が続き、2024年輸入総量2.4万トンのうち68%が中国産。
他の市場でも、インドは、2021年12月に既にアンチダンピング税を導入しており、2025年3月に一部のメーカーに対し、課税率の見直しを行ったうえで、2026年末まで継続適用中である。また、欧州委員会(EC)は、2024年6月以降、中国品に対する実態調査を開始し、2025年2月に31%~34.9%のアンチダンピング税を導入することを決定した。

*UPM、Sappi Europeが雑誌用印刷用紙(中質軽量コート)の生産能力を削減
欧州市場における雑誌印刷用紙の需要低迷とデジタル化の進展により、特に雑誌の需要は減少が続いており、欧州市場における今年第2四半期の雑誌用紙の需要は、前年同期比▲11%減少となった。この状況を受け、UPM、Sappi Europeの欧州印刷用紙大手メーカー2社は、主力である中質コート紙の工場における生産削減を発表した。
UPMはフィンランド南東部のKaukas工場における中質軽量コート紙の生産を、本年末までに永続的に停止する。これにより年産30万㌧が減少となる。UPMのフィンランドにおける中質軽量コート紙はRauma工場(67万㌧)に集約され、Caledonian Paper(英国)、Augsburg工場(ドイツ)と合わせ、合計140万㌧の生産能力は、依然として世界最大の生産規模を保つ。UPMは他の地域での生産を続けつつ、中質軽量コート紙の生産を集約し、生産の効率化を図る
一方、Sappi Europeは、同様に雑誌用紙の需要減に対応し、フィンランドKirkniemi工場での中質コート紙の生産を減らし、非塗工の書籍用紙の生産に転換させる計画を進める。この動きは、世界最大級である中質軽量コート紙の生産拠点であるKirkniemi工場(中質コート紙75万㌧、内今回の生産減はおよそ17万㌧)の能力を活用しつつ、雑誌を中心とした印刷用紙から他の分野への転換を図るSappiの戦略に基づいたもの。Sappi Europeは、印刷用紙からの撤退を徐々に進め、機能紙や軟包材、粘着ラベルへの投資を拡大していく戦略を実行中である。

*中国大手板紙メーカー 生産調整を実施
中国最大の板紙メーカーが、過度な競争を是正し、健全な発展を促す国家キャンペーンを背景に、それぞれ東莞工場で生産調整を実施する。ナインドラゴンは広東省東莞工場の2機の塗工白板紙マシンを8~10月の間にそれぞれ2週間程度生産停止、合計4.2万トンの生産削減を計画する。これはエネルギーコストの低減と生産効率の向上を図るための機械改造を含んでいる。理文造紙も同様に、東莞本梅工場の17号機を9月1日から10日まで休止し、白板紙合計1.8万トン相当を減産する見込みである。これらの調整は、政府の方針に応じた各企業の健全な成長と透明性の向上を目的としている。
また、山鷹紙業国際は9月後半~10月初にかけて、安徽省・浙江省・湖北省・吉林省の主要工場においてメンテナンス休止を実施、再生段原紙合計10.2万㌧分を減産する。中国の段原紙市場は、本年初から一貫して市況の低迷で市場価格も下落が続いていたが、今夏の悪天候で異常な洪水が発生し、古紙の回収不能と流通に支障が発生したことにより古紙価格が急騰した。8月はその影響から、段原紙の価格もおよそ200元/㌧前後反騰している。9月以降も段原紙各社は、更なる価格の修正をユーザー側に迫っており、山鷹紙業の生産調整は、その状況を受けてのものとなる。

*山東晨鳴紙業グループ休止中の生産工場のうち2工場でパルプ生産を再開

山東晨鳴紙業グループは、昨年11月以降停止していた4工場のうち、山東省寿光工場と吉林省吉林工場でパルプ生産設備の運転を再開予定である。これは、複数の銀行によるシンジケートローン23.1億元が組成されたことによるもの。昨年9月末、負債の未払いにより資金繰りが悪化し、5工場のうち4工場で生産(約700万㌧相当)が停止されていた。今回、比較的採算の良いパルプの生産を優先するが、依然として紙市況が低迷する中、パルプ市況の悪化にも繋がるとの懸念もある。

*フィリピン政府 輸入中芯に200日間のセーフガード実施を決定
フィリピン通商産業省のフィリピン関税委員会は、海外からの中芯輸入に対するセーフガードの導入を決定する。暫定的なセーフガードは、8月1日から200日間実施され、トン当たり3,438フィリピンペソ(約60ドル)の関税が課される。調査はフィリピン製紙連合会(PULPAPEL)の申立てに基づいて行われたもので、HSコード4805.19.10、4805.19.90、4805.12.00が対象である。2019年から2024年のデータに基づき、2024年の中芯輸入量は12.8万トンであり、2019年の7.5万トンから71%増加している。主要輸入国は日本、インドネシア、オーストラリア、ベトナムであり、2024年の輸入の54.5%は日本からである。
一方、フィリピンでは輸入テストライナーへのセーフガード導入の検討も続いており、調査が進行中である。輸入テストライナーへのセーフガードは2010年に導入され、2013年と2016年に延長され、2020年6月には適用解除となっている。国内の製紙需要は増加しているが、輸入品の流入も再拡大しており、国内メーカーの平均生産稼働率は70%前後にとどまっている。国内市場で
は生産過多が加速している。

北米市況(9月度)

[新聞用紙]
需要減と稼働率の低下で8月は▲$25下落となった。2025年の需要は前年比▲14%減の86万㌧程度となる見込み。生産量の半分以上を占める輸出も、昨年後半以降は減少が続き、今後生産削減は不可避。White Birch/F.F.Soucy工場が操業停止期間を延長、Kruger/Corner Brook工場も森林火災のリスクあり一時停止中。Domtar/Grenada工場(23.5万㌧)は9月に無期限生産停止とした。

[上質紙]
輸入関税問題の影響から市場には不透明感が依然として強い。1Qは在庫確保のため輸入品中心に積み増しが行われたが、追加関税交渉の見極めから、4-5月は状況様子見となった。8月からの関税導入を前に、6-7月には再び、輸入で前倒しの動きが見られた。輸入は1-7月累計で前年比+50%増。国内需要(見かけの消費)は横ばいで、北米メーカーの出荷は同▲7%と低調。IP/Georgetown工場(昨年末、30万㌧)、Pixelle/Chillicothe工場(9月、40万㌧)、に加えIP/Riverdale工場(Selma)が来年3Qを目途に段原紙への転抄のため生産減となる。供給に引き締まりが見え、年後半には、稼働率の上昇と値上げを目指す動きが期待される。

[コート紙]
関税問題への対応で、輸入紙で在庫積み増しの荷動きが活発化した。しかし2Qは、在庫を保ちつつも、一転して市場は様子見となった。国内の需要(見かけの消費)と国内メーカーの出荷はともに減少傾向が続く。今後は、郵便料金の値上げ(7月~)が需要に与える影響が懸念されるが、積み増していた在庫の消化も進み、再び在庫補充の需要も期待される。8月からの追加関税の本格稼働を受け、欧州・韓国のメーカーからは、一部価格への転嫁の動きが出始めた。国内メーカーからも追随の姿勢が見られ、ほぼ価格修正の動きは出揃ってきた。

[中質紙]
1Qは供給の中心となるカナダ品で在庫積み増しが進んだが、2Qは過剰在庫の調整となり荷動きは低迷した。北米メーカーの稼働率は70%前半で依然として低調。欧州からの輸入が関税率の上昇で減少が懸念され、また非塗工上質紙が値上げとなれば、中質紙への代替需要も期待されるが、供給力に全く不安がなく、値上げの動きには繋がってこないと予想される。

[段原紙]
上半期の米国市場の段ボール出荷は、需要の低迷に加え、関税問題によるインフレ懸念、市場の不確実性で消費が停滞、前年比▲2.3%と低調となった。北米からの輸出も減少hしており、2-9月の間に複数のメーカーが、段原紙の生産停止を実行した(合計約380万㌧)。生産稼働率の上昇に繋がり、価格の上昇に期待がかかる。

欧州市況(9月度)

[新聞用紙]
8月の欧州市場の新聞用紙価格は横ばい。市況は供給過多と生産コスト増、カナダ品との競合で軟調である。

[印刷用紙/中質系印刷用紙]
8月のSC紙の市場価格は概ね前月から持ち越し。需要は低調である。非塗工紙のUPM/Ettringen工場(ドイツ)の停機につき、従業員側と条件交渉中。中質コート紙の需要は低調で、UPM/Kaukasu工場(フィンランド)の年内生産停止を発表した。Sappi/Kirkniemi工場2号機の生産停止とともに、供給の引き締めに期待。

[非塗工上質紙]
8月度の価格は、ドイツのコピー用紙が€20-30下落以外は、ほぼ前月横ばいで推移。夏の非需要期で需要は閑散としている。価格対応が必ずしも受注に繋がらないため、サプライヤー側は積極的な交渉には応じていない。APPが夏季休暇明けの学校関連需要、秋需を見越し5%の価格引き上げを発表。

[コート紙]
夏場の需要が低調で、需給も供給過多が更に加速、市場価格には強い下方圧力が働いている。ドイツ・フランスで、7-8月で在庫用(平判)価格が累計▲30ユーロ程度下落。一部の市場では、8月後半頃より更に▲30ユーロ下落となった。今後生産能力の更なる削減は避けられないという見方が専らである。

[段原紙]
TLBはほぼ全域で価格が下落。夏の非需要期、輸出の減少、原料古紙(OCC)の価格下落により、主要市場で概ね▲€20以上の下落となった。南欧はこれまで比較的堅調だったが、他地区のメーカーからの安値攻勢で、結局同様に▲€20下落した。KLBも同様に全域で価格が下落。イタリアでは、Mondi/Duino工場の新規マシン稼働、北米品の供給で▲€20以上の値下げとなった。

中国・香港・東南アジア市況(9月度)

[印刷用紙]
洋紙市場の価格は季節的な需要減少で更に下落。8月度価格は157g両面コート紙で前月比▲3.27%、70g高白上質紙で同▲2.52%となった。製紙メーカーの値下げ、在庫消化の圧力で値下がりは更に加速している。パルプ価格が底値と見た輸入パルプサプライヤーは、秋需も見越して、7-8月で段階的に値上げを打ち出したが、紙需要は依然として低調なため、値上げの実現はある程度限定的とみられる。

今後の見通しは、9月は供給過多と需要低迷の状況は変わらず、市況は依然低調な動きを予想。10-11月は出版入札、年末商戦の開始で、一時的な価格の反発も期待されるが、供給にはいまだに過多であり、実現される場合も値上げ幅は限定的なものとなろう。

[板紙]
中芯およびライナーの価格は、8月から上昇に転じている。上級グレード中芯120gの価格は、前月比+4.7%、白板紙(裏ネズ)の価格は同+1.01%となった。悪天候、洪水による原料古紙の発生、回収不足による価格の上昇、秋需に備えた段ボールメーカーの在庫補充で、大手紙メーカー中心に値上げが進められた。さらに、8月後半以降は、ナインドラゴンや理文などの広東省の工場中心に、白板紙の生産調整が行われている。

今後9月上旬にかけて価格の上昇は続くと予想されるが、中旬以降にはメーカーの生産調整が終了するため、再び価格の反落が懸念される。11月からは年末商戦による需要の回復が期待されるが、米国の輸入関税による荷動きへの影響、原料コストは、段原紙他板紙の市況変動要因ともなり注視が必要である。

【統計】7月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2025年7月の紙・板紙合計輸出は13万5,901トン(前年比11.0%減)、輸入は7万4,547トン(同4.5%増)となった。国内需要は160万1,212トン(前年比5.8%減)となった。
段ボール原紙、紙器用板紙の内需金額のみ前年比増加。

【統計】7 米国輸入状況

米国の2025年7月の紙・板紙の輸入は合計55万3,460トン(前年比13.5%減)、金額は5憶9,577万2千ドル(同15.2%減)となった。そのうち印刷用紙合計は23万3,500トン(同8.2%減)、金額は2億5,433万5千ドル(同11.7%減)と減少が続いた。
同1-7月累計は紙・板紙合計で425万4,529トン(同1.7%増)、46億7,145万4千ドル(同1.5%増)となった。

組合員向けにTableauにて詳細データを掲載しております。

米国 ファーストセール

輸入者が商品を輸入する際に課税価格を低減するために活用される方法。
輸入者が商品を購入する際の最初の売買契約(ファーストセール)に基づく価格を課税価格として申告することが認められている。これにより課税価格を削減できる可能性がある。なお、適用には架空取引ではない証明などの条件がある。

2025年8月分 紙類通関統計原本等(組合員に限る)

2025年8月 紙類輸出通関統計(原本)

2025年8月 紙類輸出通関統計月次ファイル

2025年8月 紙類輸出通関統計税関別HSデータ

2025年8月 紙類輸入通関統計(原本)

2025年8月 紙類輸入通関統計月次ファイル

2025年8月 紙類輸入通関統計税関別HSデータ

2025年8月 紙類輸入通関統計税関別品目別ファイル