米国関税動向

米トランプ大統領は就任日において2月1日からカナダとメキシコに対し25%の関税を課すと述べた。両国は輸出のおよそ80%が米国向けである。カナダ首相はこれが実行された場合、1500億ドルにのぼる米国産品に対し報復関税を課すとしている。

カナダ企業はすでに脅威の影響を受けている。何社かは売上見通しを下げ、投資に対する借入を減らした。

匿名の情報筋によると、トランプ大統領は米国ーメキシコーカナダ協定の見直しを2026年6月から早める意向である模様。大統領政権は米国自動車産業の国外流出を防ぐため、規則を強化を望んでいる。

中国の習主席はトランプ大統領との電話会談で、米国の関税政策について「適切な解決策」を求めた。その一方、中国政策筋によると、どの程度人民元を切り下げるかがいま議論されている。

(WSJ 1/18-19、1/22 )(NYT 1/23)

米紙報道 中国生産過剰

The Wall Street Journal は12月14‐15日付けで「北京 デフレ阻止の道」と題する記事の中で、製紙メーカーにふれ、「紙を発明した国は作りすぎている」と述べたうえ、Shandon Chenming Paper が「嵐を逃れるため安値で在庫を売っている」「負債は2億5千万ドルに膨れ、債務者が訴訟し、いくつかの銀行から取引停止を受けている」と報じた。

米国関税政策に懸念

トランプ次期米大統領の関税引き上げ策は、各国政府と米国との関係を崩すとの懸念が広がっている。1期目のトランプ大統領は、世界各国との交渉のすえ高関税を課して保護主義へと舵を切った。次期大統領は就任初日にメキシコ、カナダの物品に対し25%、中国に10%の関税を追加するとしている。これによって米国の消費者物価は0.75%上昇すると予測されている。なお、中国に対する関税が最大60%となった場合、インフレはますます高まる見込みである。

トランプ次期大統領はメキシコがフェンタニルの取引と不法移民を止めない限り25%の追加関税を課すとしている。

各国は高関税への対応をすすめている。EUは南アメリカ経済ブロック(メルコスール)との貿易協定に署名した。この協定は世界最大の貿易圏となる。中国当局はバッテリー供給の制限を強め、米国企業への強力な対抗措置をとるとしている。ドローンメーカーは中国がサプライチェーンを武器として優位に立とうとしていると述べた。

The Wall Street Journal 11/27, The New York Times 11/27,28)

EU 木材破壊規制(EUDR)施行延期を決定

EU議会は木材破壊規制(EUDR)の施行を大規模事業者は2025年12月30日まで、中小規模事業者は2026年6月30日まで延期すると決定した。

事業者にとっては猶予期間となるが、環境保護団体からは森林保護の遅れを懸念する意見もでている。

(Resourcewise 2024/11/15)

習主席 経済に軸、全転換は愚弄(WSJ Oct. 16)

中国の2年におよぶ緊急経済対策の要請により、習主席は利下げなどの方策をおこなってきた。

しかし、政府補佐官たちは、主席が崩壊寸前の不動産負債の救済、技術産業への集中という方針を変えることなく株式市場の復活を求めていると述べた。

投資家は世界金融危機の際と同様の刺激策を求めているが、政府の「包括的増大政策」は不確実とみている。

戦略というより戦術的な転換は、経済の屋台骨というべき中央銀行と地方財源に集中している。

カテゴリー: WSJ

EU森林破壊防止規則(EUDR)実施を延期へ

欧州委員会は10月2日、EUDR(EU森林破壊防止規則)の実施を1年延期する意向を表明した。今後、議会の承認が必要となる。

承認された場合、2025年12月30日まで延期される見通し。ただし、規制に必要な要件はすべて整っており、確実な実効に向けた調整がされる模様。

紙パルプ業を含め、EU経済に年間数十億ドルを生み出す産業において、非コンプライアンスは企業のみならず経済全般に混乱をもたらすことになる。(Resourcewise, Oct 3, ’24)

米港湾スト 貿易に混乱(WSJ 10/2)

米国の複数の港で港湾労働者が大幅な賃上げを求め、1日早朝から仕事を中断し、多くの国との貿易を混乱させている。

労働組合は30日の交渉で50%の昇給提案を拒否した。約45,000名の労働者に対し、77%の昇給(時間当たり39ドルから69ドル)を求めている。

アパレル会社副部長のヒラタヨシカ氏は、東海岸の入荷は少ないため影響は小さいが、この状況下でコスト上昇の影響を受けると述べた。

The Wall Street Journal 2 Oct., 2024

カテゴリー: WSJ

中国経済は低速継続

中国経済の苦境は、政府に家計のサポートと価格下落と貿易紛争のリスクをとる圧力をかけている。

統計によると、8月の家計物価が9年振りの低下を記録するなど低迷を示した。

供給ではなく消費に向けたより強力な方策をとらなければ、日本の数十年にわたるスタグフレーションと同様、価格下落と低成長に陥る危険がある。

政府は補助を進めるとしているが、銀行保有資金の緩和、1‐2年前から続く細かな政策の見直しなど不安定なものとなっている。

各データは不安を表わしている。7月の消費者信頼指数は低下したがインフレはとどまっており、8月の企業統計では利益は下落し、膨らんだ在庫は国内だけでなく世界でも消化できなくなっている。

多くのエコノミストは緊急のデフレ対策が必要と考えている。

The Wall Street Journal / Sep. 14-15, 2024

中国安価製品が自社に損害(WSJ / July 22)

中国製の安価品が欧米企業と同時に国内の製造業にも衝撃を与えている。

はびこる供給過剰と消費需要の低迷が中国企業を価格下落と利益圧縮のふちに追いやっている。

政権党は二次十か年計画において、不動産不況と闘い、電気自動車、太陽光などの成長性、将来性のある産業育成を加速させるとの計画をあげた。習主席にとっては供給過剰はほかの目的ー生産性の向上による労働力減少の相殺などによって容認される。

中国造紙協会 2023年報告

中国造紙協会は「中国造紙工業2023年度報告」を発表した。

それによると、2023年の中国紙・板紙合計生産量は1億2,965万㌧で前年比は4.4%増となった。また、同消費量は1億3,165万㌧(同6.1%増)で、需給ギャップは200万㌧の需要超過となった。