海外動向トピックス
*カナダ;NORPAC ロングビュー工場の新聞用紙生産から撤退
*UPM/Sappi 両社の印刷情報用紙の合弁事業 4月末メドに審査の結論の見通し
*ナインドラゴン 2027年第3四半期までにパルプの新マシン250万㌧の増産を計画
北米市況(3-4月度)
欧州市況(3-4月度)
中国・香港・東南アジア市況(3-4月度)
【統計】2月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】2月 米国紙・板紙輸入
海外情報トピックス
*カナダ;NORPAC ロングビュー工場の新聞用紙生産から撤退
North Pacific Paper(NORPAC)は、新聞用紙需要の低迷を背景に、米国ワシントン州ロングビュー工場での新聞用紙生産を2026年5月1日付で停止し、新聞用紙事業から撤退する。ロングビュー工場は1979年に操業開始、2016年にOne Rock Capitalへ売却されて以降、収益性維持のため、新聞用紙から再生紙利用の包装用紙へシフトなど進めてきたが、今回の撤退により、非塗工中質紙・上質紙などその他の印刷・情報用紙と包装用紙の生産に、更に軸足を移す方針。NORPACの撤退により、米国内の新聞用紙工場は、ワシントン州のInland Empire/Millwood工場のみとなる。
背景には北米全体で進行する新聞用紙需要・生産の急速な縮小がある。カナダには現在もWhite Birchが3工場、Domtarが2工場、Alberta NewsprintとKap Paper各1工場の計9工場が残っているものの、北米の新聞用紙生産量は2025年に166万トンと、前年2024年の205万トンから18.8%減少した一方で、生産能力はなお230万トンと過剰。2025年以降、生産停止・撤退が加速し、昨年9月にDomtarのGrenada工場(ミシシッピ州、23.5万トン)が、同12月にWhite BirchのFF Soucy工場(カナダ・ケベック州、中質紙と併抄で30万トン)、さらに本年2月19日にThunder Bay工場(カナダ・オンタリオ州、23万トン)も停止した。
北米市場の価格は、昨年末に合計$50-に続いて、本年3月にも$50-の値上げが実現しているが(東海岸45gsm$865-)、更に5月分として新規で$60-の値上げが発表されている。
北米の新聞用紙需要は今後も減少が見込まれ、2026年の需要は2025年比約12%(10.5万トン)減、さらに2027年は追加で同約10%(8万トン)の減少を予想。今回のNORPACの撤退は、需要減少と生産能力削減が連鎖的に進む構造的な市場縮小と位置づけられる。
*UPM/Sappi 両社の印刷情報用紙の合弁事業 4月末メドに審査の結論の見通し
2025年12月5日にUPMとSappiが印刷情報用紙分野での合弁事業形成について基本合意書に署名した後、欧州委員会(EC)は欧州企業合併規則(European Merger Regulations) に基づき、合弁計画につき審査を進めている。合弁対象は、UPMの情報用紙事業全体とSappiの欧州における印刷用紙事業など、米国1工場を含む合計12工場で、企業価値は約14億2千万ユーロと見積もられる。ECは2026年4月末を期限として、無条件承認、資産売却などを条件とする承認、あるいは不承認のいずれかを決定する見通しで、現在はその暫定的な結論を待つ段階にある。
このような規制当局の審査を前提に、両社は2026年前半の正式契約締結、及び年末の取引完了を目標としつつ、デジタルメディアの進展により広告収入の低下、発行部数の減少など、持
続的な衰退局面にある印刷用紙市場で、合弁によるコスト競争力の強化と安定供給体制の構築を通じて、業界内での長期的優位性を確保するという当初の方針を維持する。
*ナインドラゴン 2027年第3四半期までにパルプの新マシン250万㌧の増産を計画
中国政府による古紙輸入全面禁止(2021年以降)、2025年10月に発生した輸入古紙パルプへの品質規制強化等により、中国の製紙メーカーは、以前よりも一層古紙原料への依存リスクに曝されている。またインドネシアの森林関連企業への森林資源利用の制限(前月ご報告済み)、ここにきて、中東情勢の緊張化による海上輸送コスト等の急騰など、輸入木材パルプ(特にLBKP)の供給や価格の変動不安要素なども高まっている。
このような状況を背景に、ナインドラゴンは、2027年第3四半期までに天津工場(50万㌧/2026年4Q)・重慶工場(70万㌧、2026年4Q)・北海工場(80万㌧、2027年2Q)・東莞工場(50万㌧、2027年3Q)等、合計約250万トン/年におよぶKP(クラフトパルプ)設備の増産を計画、原材料パルプの国内自給体制の強化を図っている。
北米市況(3-4月度)
[新聞用紙]
需要と出荷の低迷にも拘わらず、昨年9月以降のDomtar、White Birch、Thunder Bay各工場の生産停止で、供給は現在非常にタイト。NORPAC/Longview工場も新聞用紙生産を5月に終えることとなった。価格は昨年末の$50-に続き3月も$50-の値上げを行ない、更に5月分で新規に$60-の値上げが打ち出された。
[上質紙]
輸入追加関税発動で輸入は減少、国内メーカーの生産停止で供給がタイトとなり、1Qで$60-前後値上げとなった。米国・イラン間紛争の影響で、原燃油・海上運賃が高騰、サーチャージを価格に転嫁する動きで、今後も価格は上方基調となろう。輸入関税の暫定10%への引き下げで、輸入品に追い風が期待されるが、海外メーカーは中東のエネルギーと海上輸送への依存が北米以上に高く、生産コスト面で競争力の悪化が見込まれ、輸入品シェアの今後の拡大は不透明である。
[コート紙]
昨年一年を通じた調整局面への反発で、今年に入り市況には幾分復調が見られる。現在Sappiの一部工場の生産不調もあり、北米市場の供給はタイトで、加えて中東紛争の影響によるエネルギー・海上輸送価格の高騰から、価格上昇を窺う動きが出始めている。国内外メーカー各社は、5月以降の上質コート紙価格に、5-10%の引き上げを発表した。
[中質紙]
上質・新聞用紙の値上げ動向を受け、3月には高白品で、2022年以来となる$50-の値上げが実施された。中東紛争による各種コストの上昇で、今後も値上げ機運は高まるものの、稼働率は未だ60-70%に留まり、状況次第では生産調整の継続は必要であろう。
[段原紙]
世界的なインフレと市場に広まる不確実性で、段ボール需要は弱含みが続いており、本年も前年ほぼ横ばいの需要が見込まれる。段原紙は、昨年以来の大幅な生産削減と、中東紛争を背景とするエネルギー等各種コストの上昇で、2-3月には$20-程度の底上げとなり、更に値上げを窺う状況である。
欧州市況(3-4月度)
[新聞用紙]
3月度は四半期契約価格により据え置き。中東情勢緊迫化により、生産コスト高騰、納期の長期化の懸念がある。Papresa工場(スペイン)の売却交渉等、業界再編の動きが続き、北米からの欧州への輸入も、北米メーカーの生産削減で最近は減少している。需給には引き締まりが出る可能性もある。
[非塗工上質紙]
2月の価格上昇後、3月は概ね横ばいとなった。パルプ価格の上昇が続き、2Qから打ち出されていた値上げ(8-10%程度)に加え、市場への中東情勢による不確実性が更に大きくなっており、サプライヤー側は、生産・輸送コスト上昇分を製品価格に転嫁する動きを示している。
[塗工紙]
前月に続き3月も価格は横ばい。3月半ばから2Q以降の値上げを発表したが、ユーザーの抵抗は強く実施はされていない。原燃料、物流すべてのコスト高騰を背景に、追加値上げを迫っており、Burgoは全ての塗工紙で、またSappiは上質コート紙で、€50-の追加値上げを行なうことを発表した。
中国・香港・東南アジア市況(3-4月度)
[上質紙]
中国では3月初に値上げが打ち出されたものの、需要不足や出版社の入札開始を背景に、月後半は下落に転じ、在庫圧縮への圧力も高まっている。4月は需要閑散期にもあたり、供給過多から一段の価格下落が見込まれるが、6月までの間で出版向け需要の期待とコスト上昇を背景に下げ止まり、需要も上向くことが期待される。
香港では、APRILが国内外市場での受注増と生産余力の不足を理由に、12月・3月に続いて4月も、強気の値上げ姿勢を維持した一方で、中国での市況の軟化、中東情勢の緊迫化から、先行きは依然不透明で、今後の動向の注視が必要である。
[コート紙]
中国では3月の平均価格は、前月比わずかに上昇した。パルプサプライヤーの価格引き上げを求める声は依然続いているものの、需要が伸び悩んでおり、製品価格の上昇幅は限定的であった。
香港向けではAPPが1月から値上げを打診しているが、季節的にも販売状況は不振で、3月までは価格は横ばいにとどまった。中国での市況回復の遅れもあり、香港向けでも当面は、受注確保を優先せざるを得ない状況である。
東南アジアでは、春節前後の低調期は過ぎ、3月度は年次報告書や春商戦向け広告需要など、荷動きは活発化しているが、パルプを中心とした原材料高騰に加え、米国のイラン侵攻後の原油高に伴う海上運賃や燃料サーチャージの増加で、コスト上昇が顕著となり、製品価格への転嫁と追加値上げ要求(4月以降10~50ドル程度)が強まっている。
[段原紙]
中国の段原紙市況は、荷動きが上向いたことにより3月前半に価格が上昇した後、軟化に転じた。中芯・ライナーともに月平均価格では前月比上昇となったが、需要回復は底浅く、一部では値引き販売も見られるようになった。古紙価格の上昇は、当面のコスト下支えとなる一方で、4月中旬以降は、大手メーカーと中小の価格差の拡大や、古紙価格反落も予想されることから、5月も需要低調により弱含みの市況となる見込みである。6月になれば、古紙価格の上昇と「618商戦=eコマース」需要への期待から、中芯は小幅な上昇、ライナーは横ばいでの推移が予測される。
東南アジアでは、輸入品サプライヤーは地場メーカーとの価格競合で受注環境が厳しい。一方で地場メーカーも、原材料高騰を背景に値上げを進めている。
[その他板紙]
香港では、アイボリーが昨年後半にメーカー主導の値上げを図った。しかし、依然低迷が続く需要と、旧正月前の生産調整後は供給が増加していることで、価格は逆に値下げに転じている。塗工白板紙も価格維持を目指しているが、需要不振の中で、値下げ圧力は強い。東南アジアでは、古紙価格上昇に加えて、海外からの需要増が期待される韓国・台湾メーカーからの供給はタイトとなっており、主要メーカーは前月比$30-程度の値上げを要請している。地場のメーカーとの間で、厳しい受注競争が続いている。
【統計】2月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
2026年2月の紙・板紙合計輸出は15万1,874トン(前年比5.2%減)、輸入は6万3,858トン(同6.0%減)となった。国内需要は146万8,214トン(前年比2.5%減)となった。

リンク Japan Pulp and Paper Apparent Consumption | Tableau Public (ブックマークをお薦めします)
【統計】2月 米国紙・板紙輸入
2026年2月の米国紙・板紙合計輸入は49万593トンで前年比10.0%減となった。金額は5億6千7百万ドル(同5.7%減)となった。カナダからが前年比大幅減、日本から同減少。

出典:Data Web(USITC)


















