紙類海外動向レポート
2026年第17号 2026年8月

海外動向トピックス
*インド/保護主義的通商政策について
*アジア品紙類(特に中国)の欧州への流入増/EU(欧州連合)の懸念と対抗措置
*中国/ 依然旺盛な再生段原紙の増産状況

主要海外市況(7月度)
中国・香港・東南アジア市況
北米市況
欧州市況
【統計】5月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】5月 米国紙・板紙輸入

海外情報トピックス

インド/保護主義的通商政策について

インド政府当局による、最近見られる保護主義的な通商政策に次のようなものがある。

貿易救済措置(AD・CVD)の積極的活用;
*中国産化粧板原紙に対する既存AD(2026年末が適用期限)につき、サンセットレビューを開始。措置の継続・強化を視野。
*米国・中国・韓国製の感熱紙に対し新たなAD調査を開始。
*インドネシア製白板紙(コートアイボリー/FBB/SBS等)に対し、最大376ドル/㌧のAD税を5年間課すべく勧告。
*白板紙については、中国・インドネシアに対し、政府補助金による相殺関税(CVD)導入の調査も別途進行。

白板紙については、AD/CVD最終決定前の暫定的措置として、最低輸入価格(MIP)を設定し、少なくとも本年9月末まで適用。
正式な関税措置発動まで時間がかかることを前提に、MIPで “ブリッジ” 的に国内市場を防御する政策。

「MIPによる即時防御」+「AD・CVDによる中長期的な恒久措置」という二段構えで、
1)国内紙・板紙メーカーの収益・シェア防衛
2)市場価格の急落や財務悪化の回避

アジア品紙類(特に中国)の欧州への流入増/EU(欧州連合)の懸念と対抗措置

【状況】

欧州紙・板紙(P&B)産業は、2025年生産:前年比▲1.6% (2021年ピーク比▲7%)
EU消費に占める輸入比率:過去最高の7.7% となった。
依然として設備過剰+需要低迷のなか
アジア(主に中国・インドネシア・トルコ)からの安価輸入が急増。

2026年1-4月の輸入伸び(前年比):
中国から+26%、インドネシアから+23%

中国の紙・板紙生産:
2025年に約1.41億トン(過去最高)、内需は伸び悩み → 過剰能力を輸出で消化
米国の中国産紙類への関税→ 中国の輸出がEU市場へ迂回流入
EU⇔米国間の紙類貿易も縮小(EU→米国▲4.2%、米国→EU▲7.6%)

【EU及び業界の懸念】
中国等のダンピング販売が欧州市場価格を押し下げ
→「産業基盤の緩やかな侵食」 をもたらす。

影響の大きな品目:
板紙(FBB/カートンボード)、ティッシュ、上質紙、感熱紙(軽量感熱紙)等

EUは対外的なAD・SG措置は少ない
EU産の紙類に対する他国からの措置:45カ国
EUが他国に対し行ったケース:6件のみ (以上過去25年間)
→対中措置の強化は、中国側の報復に結び付く可能性あり、欧州側の措置は「諸刃の剣」
(対中板紙輸出量は年間30万㌧超)

【EU側の対抗措置・検討中の対応】
1)貿易・投資対話の強化
2026年6月、EU通商担当欧州委員と中国商務相が「EU・中国貿易・投資協議(TIC)」で合意:
①貿易・投資バランス
②輸出管理(レアアースなど重要資源を含む)
③知的財産権
④WTO改革 の4分野で作業を進めることで一致。
一方、中国は、EUが一方的に貿易防衛措置をとれば報復も辞さない と牽制。

2)貿易防衛措置の強化要求(業界側の動き)
欧州製紙産業連合会(Cepi)はEUに対し:
・AD/SG等貿易防衛措置の迅速化・強化
・過剰生産能力(overcapacity)に特化した、新たなEU制度の創設
・貿易防衛措置決定のルール見直し(採択しやすくする)
を要求。
・中国製FBB板紙につき、対中AD調査の開始を、EC欧州委員会に要請
(業界内の足並みはまだ完全にはそろっていない)。
・欧州感熱紙協会(ETPA)が、中国製軽量感熱紙に対し、反補助金(Anti-subcidy)の調査を正式に要請。

3)EU内で新たな貿易ツールの検討
中国との地経学的不均衡 に対応すべく、既存のAD/SG措置に加えて、過剰生産能力の是正、輸入急増を抑える新たな制度(ツール)の導入が検討中。

中国/ 依然旺盛な再生段原紙の増産状況

*数量面の増産の流れ
2024年:約560万トン/年
2025年:約475万トン/年
2026年:現時点で約350万トン/年+αが判明しており、最終的には500〜600万トン/年に達する見込み

*設備投資の特徴
個社で100万トン/年前後の段原紙能力を持つケースが増加。
五洲特種紙のように、もともと特種紙・上質紙等主体のメーカーが段原紙に本格参入の動きが顕著。

*市場環境と構造変化
段原紙市場は数年前から既に供給過多が指摘されていたが、依然として増設が続く。
白ライナー、白板紙(再生)は、食品・飲料向け需要の減少、包装形態の変化で需要が伸び悩み、競争激化・販売苦戦を予想。

旧式・小型マシンの停止・更新の動きもあるが、増設ペースを吸収しきれない。

周辺消費市場向け「地域密着型」の投資が増加、各地で地場向け再生段原紙供給を狙う新設マシンが設置されている。
国産抄紙機の価格低下で、中小メーカーも低コストで投資しやすく、参入障壁が下がった。

*今後の焦点
2024年以降の大規模増産の累積で供給過剰懸念が一層強まっており、需要回復と旧式設備の淘汰・統廃合が、今後の市場バランスを左右する主要ポイントである。

主要海外市況(7月度)

中国・香港市況

[印刷用紙]

上質紙は、中国メーカーAPRILが香港市場向けに春先にUS$20/mtを2度ほど値上げ実施。4月以降も値上げが検討されていたが、需要の状況は、中東情勢の影響からさらに不透明としており、値上げは保留となった。

中国市場は、長引く需要の低迷で市況は5月から更に軟調となっている。7月は出版需要のピークのため一時的に下げ止まることも期待するが、夏場以降は荷動きの鈍化で、概ね下落傾向は続くと見込まれる。

一方コート紙は、香港市場向けは年明けからも需要低迷が続き、APP等の主要メーカーが値上げの意向を示すも、実現までに至らなかった。しかし生産コストの上昇もあり、6月には$25-30程度の値上げを打ち出した。

中国市場は需要の低迷から、コート紙市況も依然下落が続いているが、香港を含む輸出市場向けには値上げを行っている。

東南アジア市場は、一部の高付加価値品には堅調な動きが見られるものの、競合品同士の低価格攻勢、顧客からのコスト削減要求は依然として強く、供給過剰を背景に、メーカーは価格面での柔軟な対応を行っている。従って値崩れが依然として起きやすい環境にある。

[板紙]

アイボリーは、旧正月休暇で調整停止をしていたマシンが稼働を開始して供給が拡大していることや、中東情勢の影響で需要が低迷しており、香港市場で見る市況は、4-5月に下落した。その後、6月にはメーカー主導で値上げが若干行われた。また白板紙は、原材料の古紙価格が上昇しており、値上げが行われてきたが、需要は概ね低調で、大きな価格修正には繋がっていない。

一方で段原紙は、古紙価格の上昇を受けた大手段原紙メーカーの値上げが主導、中小メーカーも追随して、4月以降中国市場では値上げが続いている。また値上げを予測、先高観により、段ボールメーカーも在庫積み増しを行ない、6月も段原紙価格が著しく上昇した。今後は8月に夏場の需給の攻防から、幾分かの揺り戻しが予想されるものの、中秋節・国慶節に向けた需要の前倒しなどによる、9月の需要拡大への期待を背景に、概ね上昇基調が続くと見込まれる。

北米市況

[新聞用紙]

1-5月累計の北米生産は51.5万㌧(前年比▲33.4%)、域外輸出は19.0万㌧(同▲54.4%)とともに大幅な減少となった。昨年来、各社からの大幅な生産停止、供給減により、現在供給は非常にタイトで、ユーザーは数量確保を、サプライヤー側も輸出を大幅減少させ、北米域内を優先せざるを得ない状況。昨年末から急速な値上げが行われ、その間の上げ幅は$160-に及び、現在価格(東海岸$920-)は、過去20年間で最高値に近いレベルである。

[上質紙]

1-5月累計の北米需要(見かけの消費)は198万㌧(同▲5.6%)、輸入は同▲4.7%。2Q以降の価格上昇を意識した在庫積み増し需要で、値上げも受け入れやすい状況となったが、其の反動により、6月の荷動きは幾分スローダウンとなった。昨年来、北米メーカーの生産停止・他品種への転抄、今年も春先のメンテナンス定修や4月末にIP/Riverdale工場16号機の停機などあり、供給はタイトである。原油価格・輸送費等の高騰で、価格は年初からこれまで概ね$100-120/㌧程度上昇した。輸入は昨年8月の追加輸入関税の発動以降、大きく減少し、今年1-5月累計の輸入は同▲4.7%、最大の輸入国ブラジルからは、わずか1.0万㌧(同▲77.3%減)に留まった。今後導入が検討される新たな関税の実効税率次第では、上質紙の輸入環境も左右されるため、今後の動向が注目される。

[コート紙]

1-5月累月の上質コート紙の北米需要は74.9万㌧(同▲3.8%)、輸入は26.2万㌧(同▲5.6%)となった。中質コート紙の1-5月累計は、需要が27.2万㌧(同▲10.4%)、輸入が6.8万㌧(同▲21.8%)。今年に入り2月以降市況は持ち直しを見せ、2Q以降の値上げ・先高観による前倒し需要で、荷動きは堅調である。昨年度のSappi/Somerset工場の生産停止、今年も生産障害の発生などあり、構造的に需要は低調ながら、供給は非常にタイトである。価格は中東紛争に端を発した原油・海上運賃等の急騰で、メーカーが打ち出した価格修正(5-10%)は、7月頃までに受け入れられる見通し。今後需要面は、年後半の大統領選関連特需が期待されるも、企業の広告費の削減、昨年10月導入の、カタログ印刷物への時限的総量特別割引(10%)の終了等マイナス要因もあり、市況動向は不透明である。供給面は、北米需要の30-35%を占める輸入紙は、今後導入される輸入関税実効税率の行方がポイントである。

[中質紙]

*1-5月の累月では、北米需要が同▲8.4%、生産は同▲12.5%、域内出荷は同▲10.9%となった。依然として需要・生産・出荷いずれも非常に低調である。供給は、White Birch/F.F.Soucy工場の生産停止、NORPAC/Longview工場がIP買収により、印刷用紙の生産停止の可能性があり、これらは需給を引き締めることが期待される。需要面は、SC紙の需要が特に低調、Domtar/Kenogami工場(ケベック州)は、市況対策で数週間臨時休業を行なった。高白色度の中質紙は比較的需要は安定し、新聞用紙・上質紙と同様、2月以降値上げが行われている。

[段原紙]

*今年に入ってからも暫くは、昨年同様、段ボールの低調な荷動きは続いていたが、3月後半から、Wカップ関連の観光関連需要、飲料・食品需要が盛り上がった。段原紙価格は、今年初め以降、3-4月でネット$50-の価格修正が行われ、更に原油・国内外の輸送費用高騰で、6月以降も$50-の値上げを行ない、6月中にもほぼ受け入れられた模様である。昨年2月以降これまでに、累計390万㌧(生産能力の約10%)の原紙の生産能力が削減され、加えて需要の回復から、供給は現在非常にタイトである。段ボールメーカーは原紙の確保を、段原紙メーカーも輸出を大幅に削減して、北米市場を最優先とせざるを得ない状況である。段原紙の輸出は、1-4月累計で105万㌧(同▲22.0%=▲約40万㌧)に留まっている。輸出向けの価格も上昇しており、値上げ幅は3月以降$50-100となった。

欧州市況

[新聞用紙]

6月の新聞用紙価格は、第2四半期の契約価格がほぼそのまま適用され、前月から横ばいとなった。第3四半期の価格交渉では値上げ観測が根強い一方、中東情勢の動向次第で先行きが大きく変わると見られており、市況は不透明な状態が続いている。供給面では、UPM・SappiのJV審査の遅延可能性や、CL Groupへの売却が決まったスペインPapresa社の生産継続可否など、今後の供給構造の変化が注目されている。

[非塗工上質紙]

パルプなど原材料費の上昇と、中東情勢に伴うエネルギー高を価格に転嫁した結果、欧州市場では4月に€40-50($34-46)の値上げが広く実現した。しかし、一部サプライヤーが5~6月に追加値上げを狙ったものの、駆け込み需要の反動による需要減退、供給過多、アジアなどからの輸入品の攻勢が続いているため、5月に続き6月も価格は横ばいで推移した。夏場に向けて需要は閑散期入りするが、コスト上昇圧力は依然強く、価格水準の維持がサプライヤーの最大の関心事となっている。

[塗工紙]

塗工紙は、中東情勢による市場の不透明感を背景に、4月に欧州市場で€40-50($34-46)の価格修正が実施された。その後、非塗工上質紙と同様にサプライヤーが5~6月にも追加値上げを試みたが、需要低迷、欧州域内での供給過剰、アジアを中心とする輸入品の攻勢により、市場は値上げを受け入れず、5月に続き6月も価格は横ばいとなった。サプライヤー側にはコスト上昇が重くのしかかっており、アジア勢も中東情勢に伴う海上運賃の上昇から、値上げやコストの価格転嫁姿勢を強めている。今後も需要回復が見られず値上げが困難な場合、将来的には生産設備の削減や再編などの動きが視野に入る可能性がある。

[段原紙]

再生ライナー(RCCM)では、一部南欧で€20の追加値上げが試みられたものの、大手サプライヤーが追随せず不発に終わった。SaicaやHamburgerによる€60の値上げ提案も、市場の支持を得られなかった。一方、クラフトライナー(KLB)の不足が続いており、再生ライナーへの代替需要はなお多い。KLBは4~5月の€60の値上げに続き、6月中旬からさらに€60の値上げが打ち出されている。北米では昨年以降400万トン近い生産能力削減により欧州向け輸出が大幅減少し、欧州域内メーカーでも生産トラブルやメンテナンス停止が重なったことで、欧州のKLB市場は供給逼迫の状態にある。

【統計】5月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2026年5月の紙・板紙合計輸出は14万7,987トン(前年比5.1%増)、輸入は5万6,231トン(同23.1%減)となった。国内需要は143万6,082トン(前年比5.7%減)となった。

リンク Japan Pulp and Paper Apparent Consumption | Tableau Public          (ブックマークをお薦めします)

【統計】5月 米国紙・板紙輸入

2026年5月の米国紙・板紙合計輸入は60万3,424トンで前年比3.1%増となった。金額は6億9千4百万ドル(同8.1%増)となった。カナダからが前年比減、フィンランドは同急増。日本から同倍増。

出典:Data Web(USITC)

紙類海外動向レポート
2026年第16号 2026年7月

CONTENTS
海外動向トピックス
*欧米市場でNBKPの生産停止が加速
*ブラジル/Suzano社 Kimberly Clarkとのティッシュ製品製造販社合弁 欧州連合が承認
*米国政府 ブラジルに対し新たな関税措置等の導入を検討 紙製品に25%適用の可能性
*Suzano と K-C のティッシュ製品合弁会社設立を欧州連合が無条件承認
*UPM・Sappiによる合弁事業形成 最終契約を締結
*IPとNORPACの買収が完了 ― 米国西海岸での生産拠点を強化 ―
主要海外市況(5-6月度)
中国・香港・東南アジア市況
北米市況
欧州市況
【統計】4月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】4月 米国紙・板紙輸入

海外情報トピックス

*欧米市場でNBKPの生産停止が加速

フィンランド;Stora Enso Skutskar工場のNBKPを生産停止 フラッフパルプに特化
Stora Ensoは、スウェーデン/Skutskar工場でNBKP10万㌧/年の生産ラインを恒久的に停止し、同工場で生産するフラッフパルプ(41.5万㌧)に重点を移す方針。2026年第3-4四半期までに生産を終了する予定。欧州市場のNBKP需要減、価格の下落、木材コストの高騰から、長期的にも赤字体質からの改善が見込めないとの決断。一方でフラッフパルプ(オムツ等)は継続・拡大を検討しており、同社は特殊パルプ・新バイオ製品へ軸足を移す。欧州ではMetsä Fibreもフィンランド/JoutsenoのNBKP工場(年産69万トン)で今年3月末から休転を行なっており、NBKP市場の需要減・供給過剰に対応した生産調整の動きが広がっている。北米最大の市販パルプメーカーのDomtarは、生産構造の見直しを進め、今年初めにカナダBC州のCrofton工場(NBKP年産38万トン)の恒久的停止を実施。北米・欧州を中心にNBKP需要が減少し、市場が長期的な供給過剰・価格下落局面にある中で、各社は相次いでNBKP生産の縮小・停止に踏み切っている。

*ブラジル/Suzano社 Kimberly Clarkとのティッシュ製品製造販社合弁 欧州連合が承認

世界最大のパルプメーカーであるブラジルのSuzanoと日用品大手Kimberly-Clark(K-C)の、ティッシュ製品の製造・販売合弁会社設立は、EUから無条件の承認を得た。Suzanoは新会社株式の51%を保有し、総額34億ドル規模取引の一部として17.34億ドルを拠出する。新会社はオランダに本社を置き、欧州・アジア・中東・中南米・オセアニアの14か国22工場、約100万トンの生産能力を持つことになる。Suzanoは自社のユーカリパルプの安定供給先確保と垂直統合によるコスト削減、K-Cは既存の販売網を活用した事業展開の拡大が期待される。なお、米国やメキシコ、韓国、バーレーンなどにおけるK-C資産や既存JV持分は今回の合弁対象外となる。


*米国政府 ブラジルに対し新たな関税措置等の導入を検討 紙製品に25%適用の可能性

米国通商代表部(USTR)は現在、通商法301条に基づく新たな関税措置の導入を検討しており、米国向け非塗工上質紙の主要供給国ブラジルの紙製品(衛生用ティッシュ、印刷・筆記用紙、包装用紙など)に対し、25%の追加関税を課す案が提示している。一方で、ブラジル産パルプは関税対象から除外の見通し。ブラジルは世界各市場向けに年間2,070万トンのパルプと250万トンの紙製品を輸出しており、米国向け関税措置は同国の輸出構造にも大きな影響を及ぼす可能性がある。

米国政府は2025年8月、IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づきブラジルの紙製品に50%の関税を課した結果、ブラジルから米国への紙製品輸出は大幅に減少、中南米や欧州向けへの迂回輸出を余儀なくされた。その後、2026年2月に米国最高裁がこの措置を違憲と判断したことを受け、米政府は通商法122条に基づき、暫定措置として10%の関税を7月24日を期限として適用している。今回の301条に基づく25%案については、7月15日に公表予定のUSTR最終報告書を踏まえ、その後数週間にわたり二国間協議が行われる見通しだが、(1)122条による現行10%関税に301条の25%が上乗せされるのか、(2)122条関税が延長されるのか、(3)301条関税が最終的に導入されるのかなど、7月以降の最終的な有効税率はなお不透明な状況。いずれにせよ、関税率が25%前後で継続する場合、ブラジルから米国への紙製品輸出は採算割れにより実務上ほぼ不可能となり、数量ベースでは大幅な減少(ほぼ停止)が避けられないとの見方が業界で強まっている。


*Suzano と K-C のティッシュ製品合弁会社設立を欧州連合が無条件承認

世界最大のパルプメーカーであるブラジルの Suzano と、日用消費財大手 Kimberly-Clark(K-C)が計画しているティッシュ製品の製造・販売合弁会社の設立について、欧州連合(EU)は トイレットペーパーや紙ナプキン等の市場競争を阻害するおそれは少ない として条件なしの承認を行なった。この合弁では、Suzano が新会社株式の51%を保有し、総額34億ドル規模の取引の一環で17.34億ドルを出資する。新会社はオランダに本社を置き、欧州・アジア・中東・中南米・オセアニアの14か国にわたる22工場を傘下に収める予定で、生産能力は年間約100万トンに達する見込み。Suzano にとっては、自社が生産するユーカリパルプ(BEP/南米産LBKP)の安定的な供給先を確保するとともに、原料から製品までの垂直統合を進めることで、生産コストの大幅な削減が期待される。また、K-C が持つ主要市場での販売網を活用できる点も大きなメリットである。

なお、この合弁の対象には、米国における K-C の資産や、メキシコ・韓国・バーレーンなどにある既存合弁事業における K-C 持分は含まれない。


*UPM・Sappiによる合弁事業形成 最終契約を締結

UPMとSappiは、先に明らかにされていた印刷情報用紙事業の統合による合弁会社設立について、5月末に最終契約を締結し、外部資金6億ユーロと、運転資金向けの1億ユーロのコミット型リボルビングクレジットを確保した。合弁会社には、UPM Communication Papersの全事業と、Sappiの欧州における印刷用紙事業が含まれ、出資比率はUPM・Sappiそれぞれ50%。企業価値は合計14.2億ユーロ(年間約1億ユーロのシナジー効果を除く)で、UPM側11億ユーロ、Sappi側3.2億ユーロと評価されている。

生産拠点としては、UPM Kymi、Rauma、Jämsänkoski(PM6)、Nordland(PM1・4)、Augsburg、Schongau、Caledonia Paper、Blandinなどと、Sappi Kirkniemi、Ehingen、Gratkorn、Maastrichtなどが新会社に含まれる。

取引の成立には、Sappi株主の承認および欧州委員会、米国、中国などの競争当局の承認が必要で、最終完了は2026年末を予定。それまでは両社事業は別々に運営される。

世界的なデジタル化で印刷用紙需要が減少するなか、両社は事業統合により、印刷用紙部門を持続可能な形に再編し、コスト競争力と安定供給を高め、長期的な業界での優位性確保を目指して
いる。

*IPとNORPACの買収が完了 ― 米国西海岸での生産拠点を強化 ―

インターナショナル・ペーパー(International Paper:IP)は、以前発表していたNorth Pacific Paper(NORPAC)の買収が、3億6,000万ドルで完了したと発表した。この買収によりIPは、米国西海岸での生産体制を強化する。これまで同社の西海岸における生産拠点は、オレゴン州のスプリングフィールド工場1カ所のみだったが、今回新たにワシントン州ロングビュー工場を取得したことで、同地域での段ボール原紙および包装用紙の生産・供給能力が拡大することになる。

ロングビュー工場は抄紙機3台を有し、年間約100万トンの段ボール原紙、クラフト紙、印刷・情報用紙を生産。同工場では、今年5月1日付で新聞用紙の生産をすでに停止しており、今後は段ボール・包装分野に経営資源を集中させる方針。IPは、生産拠点の再配置と事業ポートフォリオの見直しにより、収益性の維持・向上を図る目論見。

主要海外市況(5-6月度)

中国・香港市況

[印刷用紙]

中国市場では、コート紙・上質紙ともに、5月は需給悪化と輸入パルプ安を背景に、価格が下落した。製紙工場の稼働率が比較的高く、供給過多となった一方で、出版・商業向け需要が閑散期で伸び悩み、流通在庫の優先消化を目的としたメーカーの値下げが進行中。

香港市場では、APRILが上質紙で、12月と3月にそれぞれ$20-の値上げを実施したが、中東情勢の不透明感から4月以降の追加値上げは見送られた。APPはコート紙で年初から複数回値上げを打ち出したが、需要不振により香港向け価格は実勢横ばい推移となっている。ただしコスト上昇を受け、6月生産分から$20-の値上げを打ち出している。

東南アジア市場も、需要・市況ともに低迷が続いており、ユーザーの購買意欲は弱く値下げ要求が強い。しかし生産コストが高止まりしていることから、サプライヤーは価格を据え置いている。主要サプライヤーである韓国のメーカーは、米国向け市況の好調を背景に、アジア各市場で値上げ姿勢を強めており、条件が合わない場合には供給を絞るなど、サプライヤー主導の価格政策をとっている。

[板紙]

5月の板紙市況は、中国市場では段原紙が原料古紙高と低水準の在庫、価格先高感を背景に、ライナー・中芯ともに前月の下落から逆に上昇に転じており、大手製紙メーカー主導の値上げ基調となった。今後は6月もコスト高・低在庫で上昇基調が継続、7月は需要の鈍化で幾分軟化するものの、8月は中秋節向け需要・在庫の積み増し等で、再び上昇が期待される。

香港市場では、アイボリーは旧正月後にマシンが再開したが、中東情勢による影響で需要が低迷、4~5月に市況が下落した。塗工白板紙は古紙高を背景に一部メーカーが値上げ修正を実施中。

東南アジア市場は、塗工白板紙がここ数か月の値上がりで、今月は一服感あり。段原紙は古紙不足と燃料費高騰を受け、主要メーカーが$10~20-の値上げを発表したものの、ユーザー側は潤沢な在庫を背景に強く抵抗しており、新規値上げ価格の浸透は難航している。

北米市況

[新聞用紙]

需要(見かけ消費)が1-4月累計で前年比▲11.6%である一方、相次ぐ工場の生産停止・操業不振から、供給は極度に逼迫しており、ユーザーは価格よりも数量確保を優先せざるを得ない。昨年末から本年3月までに$100-、さらに5月にも$60-の追加値上げが満額受け入れとなった。当面、供給逼迫に解消は見込めない状況である。

[上質紙]

需要(見かけの消費)が減少傾向にある一方、生産停止や他品種への転抄、今春の定修など供給はタイトで、メーカー側は顧客選別や数量割当てを余儀なくされている。昨年の追加関税以降輸入は減少しており、更にIP/Riverdale工場の上質紙生産停止を受け、ユーザーの在庫積み増しで、供給逼迫を一層強めている。
パルプや原油高、海上・陸上輸送費の上昇で、1Q で約$60-の値上げに加え、5~6月以降で3~8%の追加値上げ・サーチャージを実施。輸入品については、既存の追加関税が違憲と判断されており、新たに301条根拠の関税検討を行なうなど、今後の実効税率の着地点が不明である。エネルギー・海上運賃の変動リスクに曝されやすい輸入品の価格競争力、北米市場におけるシェアの動向が注目される。

[コート紙]

需要は低調であるが、供給面の制約から全体的にタイトである。上質コート紙の需要は前年割れで推移しており、稼働率は9割以上と高水準である。主要メーカーの生産トラブル、天候要因による生産不調で供給余力は大きくない。
価格は、昨年後半に$20-40値上げのあと横ばいが続いたが、原油高・海上運賃高騰などコスト増により、主要メーカーが年初から進めてきた5〜10%($60-程度)の追加値上げは、4月以降徐々に受け入れられている。4月の堅調な荷動きは、更なる値上がりを見込んだ需要も含まれるが、6〜7月初旬までには、$60-の満額値上げが達成される見通し。 中質・軽量コート紙は需要が減少し、稼働率は上質コート紙より低い。他の印刷用紙の価格修正の動きや、エネルギーコストに敏感な欧州・アジア品の価格上昇が要因となり、今後も価格の上昇圧力が強まる可能性もある。

[中質紙]

需要・出荷とも前年割れが続き、4月以降の荷動きは、1Q と比べて依然低調ながらも、対前年の減少幅では幾分縮小している。供給面では、新聞用紙と併抄のWhite Birch/F.F.Soucy工場の生産停止、IPによるNORPAC/Longview工場買収に伴う印刷用紙生産停止の可能性など、能力削減が今後の需給改善に寄与することが期待される。
一方、チラシ・雑誌向けのSC紙は需要が特に低調で、Domtar/Kenogami工場が4~5月に臨時休止を実施するなど、一時的な生産調整で需給状況に対応している。価格面では、食品包装・書籍向けなど需要が比較的堅調な高白色度中質紙は、1Q の新聞・上質紙の値上げに追随し2~3月で行われた$50-の値上げが浸透、6月以降も更に$50-の追加値上げが打ち出されている。需要不振のSC紙は値上げ機運に乏しく、6月も価格は据え置きとなった。

[段原紙]

世界的なインフレ圧力と需要減速を背景に、2025年度の段ボール実需要は前年比▲1.8%減、本年1Qも▲1.9%減と低調が続いているものの、4月以降は受注・出荷に改善が見え始めた。
昨年来、累計380~400万㌧(北米生産能力の約10%)の生産削減が行われ、供給はタイトとなり、原油価格・海上運賃・国内輸送費の高騰や、古紙価格(OCC)が昨年末比で急騰するなど、コストが大幅増加した結果、段原紙価格は3~4月で$50-の値上げとなった。Smurfit WestrockをはじめIP・PCA・GP・Pratt等主要メーカーは、6月より更に$50~70の追加値上げを発表、これまで課題であった段ボールシート・ボックスへの価格転嫁も4月頃から徐々に始まり、6~7月には10~14%程度値上げが実現できる見通しである。ユーザー側の数量確保の緊急性を刺激し、国内市況の引き締まりを一段と強めている。
輸出については、1~3月の輸出量が80万㌧(前年比▲18.1%)にとどまった一方で、メキシコ向け+$40、中南米向け+$70、中国向け+$20、南欧向け+$50と値上げとなり、生産削減による輸出枠の絞り込みが、海外市況の上昇にも波及している

欧州市況

[新聞用紙]

中東情勢の不透明感から、2Q は短期の価格設定の契約が想定されたが、5月は多くのケースで4月据え置きとなった。6月も据え置きになるとの見方が強い。一方需要低迷が続き、2026年度の需要は前年比5%減を見込む。供給面では、CL Groupにより買収が成立したスペインPapresa社が、そのまま新聞用紙の生産継続を行なうか否かが注目される。

[非塗工上質紙]

パルプ価格の上昇、および中東情勢に起因した原燃料高を背景に、4月には欧州市場で広く40〜50ユーロの値上げが行われた。サプライヤー各社は5月も追加値上げを打診していたが、値上げ前の駆け込み需要、大型連休、アジアからの輸入などを受け、5月価格は概ね横ばいとなった。値上げ交渉は6月以降に持ち越される見通し。

[塗工紙]

中東情勢による不透明感の拡大で、4月には欧州市場でおおむね40〜50ユーロの価格修正が行われたが、需要は低調で、他地域からの輸入も依然として入りやすい状況。ユーザーは4月中に当座の在庫を確保しており、サプライヤーの追加値上げも意欲が後退した。5月の価格は前月横ばいで推移。5月初旬時点でArctic Paper等が6月以降4〜8%の価格修正を表明している。

[段原紙]

クラフトライナーは、主要メーカーの減産、北米品の値上げを背景に値上げ機運が強まっており、4〜5月にかけて独・仏・ポーランドなどで約60ユーロ、スペインで40〜60ユーロの値上げとなった。英・伊市場でも5月までに50ポンド(約60ユーロ)前後の値上げとなった。中芯原紙は同期間に、主要市場で30〜40ユーロ程度、白ライナーも同様に値上げが実現した。一部のメーカーは6月以降、クラフトライナーおよび白ライナーで約80ユーロの再値上げを提示している。

【統計】4月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2026年4月の紙・板紙合計輸出は18万3,693トン(前年比19.5%増)、輸入は6万7,836トン(同4.6%減)となった。国内需要は173万9,105トン(前年横ばい)となった。

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【統計】4月 米国紙・板紙輸入

2026年4月の米国紙・板紙合計輸入は62万162トンで前年比4.9%増となった。金額は6億5.0千万ドル(同0.6%減)となった。カナダからが前年比急増、フィンランドは同急減。日本から同急増。

出典:Data Web(USITC)

紙類海外動向レポート
2026年第15号 2026年6月

CONTENTS
海外動向トピックス
*IPがNORPAC を買収 米国西部市場での段ボール事業で存在感を強化
*IP 欧州市場における段ボール・紙包材事業の再編成
*Smurfit Westrock 英国・オランダの一部再生段ボール工場の閉鎖に向け協議開始
*インド政府 輸入白板紙(アイボリー)に対する最低輸入価格適用を9月末まで延長
*メキシコ政府 オーストリア・フィンランド・スウェーデン産輸入箱用白板紙に対しダンピングの実態調査を開始
主要海外市況(5月度)
中国・香港・東南アジア市況
北米市況
欧州市況
【統計】3月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】3月 米国紙・板紙輸入

海外情報トピックス

*IPがNORPAC を買収 米国西部市場での段ボール事業で存在感を強化

IP(International Paper)は、米国紙・板紙メーカーのNORPAC(North Pacific Paper Company)を3.6億㌦で買収することで合意した。

NORPACは、2016年にOne Rock Capitalにより買収された後、同社唯一の工場であるLongview工場(ワシントン州)において3台のマシンで、新聞用紙・中質印刷用紙・再生段原紙・クラフト紙(合計約100万㌧)を生産してきた。収益性を確保すべく、これまで新聞用紙から包装用紙中心に転換を進めており、本年5月1日を以て新聞用紙生産から完全撤退することが発表されていた。

IPは、Campti工場(ルイジアナ州)やRiceboro工場(ジョージア州)など、2025年以降年産合計約180万㌧相当の再生段原紙の生産削減を行なっている(北米全体で行われた同期間における生産削減約380万㌧のおよそ半分に相当)。IPは買収完了後、NORPAC/Longview工場の新聞用紙生産は休止する一方、段原紙及びクラフト紙の生産は継続することを明らかにしている。

IPではこれまで、西海岸市場においてはSpring Field工場(オレゴン州)1カ所にのみ段原紙の生産工場を有していたが、今回の買収は、Longview工場における再生段原紙、及びクラフト紙の生産設備を組み入れることで、段ボール・包装関連製品に特化した生産基盤を確保し、現在同社が米国の他の地域で進めている生産能力の削減との整合性を保ちつつ、成長分野である包装ビジネスに資源を再配分集中する狙いがあると位置づけられる。

*IP 欧州市場における段ボール・紙包材事業の再編成

International Paper(IP)は、DS Smith(DSS)の買収の後(2025年1月完了)、当初は北米で生産された段原紙を欧州で段ボールに加工する グローバルな垂直統合シナジー効果を戦略の一つとしていたが、市況悪化・欧州需要の伸び悩み等により、構想は十分に機能せず、現在は北米とEMEA(欧州・中東・アフリカ)を分離し、それぞれ地域毎独立した組織により、適正規模へ事業を組み替える方向への戦略転換を行なっている。

EMEAでは、(旧)DSSを中心とした資産を統合した新会社を設立、2027年前半までにスピンオフする計画で、過剰能力・低採算拠点の整理を優先的に進めている。例えばフランス・ポルトガル・スペインの段ボール・シート工場の同業Palm社への売却計画、スペインのカ

タルーニャ州・マドリード近郊の段ボール工場の閉鎖(2025年末)、さらに2026年にはスペイン3工場(バルス、モンブラン、グリニョン)の追加閉鎖の決定、英国Launceston工場などの閉鎖協議の開始など、段ボール・紙包材の生産拠点を段階的に削減・再配置している。また、旧DSSのスロバキア、スロベニア拠点でも機能集約により効率化を進めている。

一方で北米では、約180万トン規模の段原紙生産能力削減、Riverdale工場の非塗工上質紙から再生段原紙への転換、NORPAC社段原紙工場の取得(上述)などを通じ、不要能力の削減+段ボール・包材向けへ再投資を通じて、一貫生産体制を組みなおし、競争力強化を図っている。

IPの欧州段ボール事業再構築は、当初のグローバル垂直統合・拡大志向 から、地域ごとに事業規模を絞り込み、収益性を重視したポートフォリオの再編 へと戦略が転換している様子が窺える。その結果、欧州では余剰・低採算事業を切り離し、将来のEMEA専業会社の収益性を高め、また北米では、中核市場として選択的な再投資を行ない、持続的な利益獲得体制を整える、二極構造へ移行が進んでいると思われる。

*Smurfit Westrock 英国・オランダの一部再生段ボール工場の閉鎖に向け協議開始

一方、Smurfit Westrock(SW)も、英国バーミンガムの再生段ボール原紙工場(ライナー・中芯、年産20万トン)と、英国・オランダの計4カ所の段ボール加工工場について、閉鎖の可能性を前提とした協議を5月15日から6週間かけて実施する。閉鎖された場合も、英国Townsend Hook工場(年産25万トン)でからの生産出荷に切り替え、英国・アイルランド市場向けの供給が継続される。これにより約130人の従業員が影響を受ける見込みで、厳しい市場環境に対応しつつ、英国での製造拠点を最適化して長期的な競争力を確保することを目的とする。なお英国では、上記項の如くIPも、コーンウォール州Launceston工場の段ボール工場閉鎖に向けて協議中と伝えられている。

*インド政府 輸入白板紙(アイボリー)に対する最低輸入価格適用を9月末まで延長

インド政府は、バージンパルプベースの多層抄き白板紙(アイボリーボード)輸入品について設定している最低輸入価格(MIP)を、2026年9月末まで延長した。対象はHSコード48059100、48059200、48059300、48109200、48109900で、昨年8月以来暫定的に適用されていたCIFベースの最低価格67,220ルピー(約709ドル)はそのまま据え置きとなる。

MIPはEOU(100%輸出型ユニット)やSEZ(特別経済区)向けの輸入、事前認可・免税輸入スキームの輸入には適用されず、国内関税区域で販売しないことなどが条件である。

この背景には、中国・チリ・インドネシアからのFBB、SBS、カップ原紙、液体包装用板紙(140~450g/㎡)の輸入急増があり、インド政府は国内産業保護のため、反ダンピング(AD)および相殺関税(CVD)の導入に向けた調査を進めている。中国・チリ品については2024年10月からAD調査が行われ、2025年9月にはAD関税賦課が勧告されているものの、財務省の最終決定はまだ出ていない。インドネシア品も2025年半ば以降AD調査中であり、さらに2026年3月には中国・インドネシア品に対するCVD調査も開始された。こうしたAD・CVDの最終発動までに時間を要するなか、インド政府はMIPを暫定的・補完的な保護措置として位置づけ、最終的なAD・CVD関税が確定するまでの間、過度に安価な輸入を抑制しつつ、不公正貿易の有無を精査し、国内製紙業界の利益保護と市場安定を図ろうとしていると見られる。

*メキシコ政府 オーストリア・フィンランド・スウェーデン産輸入箱用白板紙に対しダンピングの実態調査を開始

一方でメキシコ政府も、国内大手メーカーであるProductora de PapelとCartones Ponderosaの申立てを受け、オーストリア・フィンランド・スウェーデン産の輸入箱用白板紙(食品・飲料・医薬品などの包装用途向け)について、ダンピング販売の有無を調査開始した。対象期間は2024年8月~2025年7月で、HS Code 4810.13.07/29.99/32.01/39.99/92.01/99.99に該当する塗工・非塗工の白板紙が対象。

申立てによれば、2022年8月~2025年7月の間にこれら3か国からの輸入量が急増、低価格販売により国内産業に打撃を与えたというもの。現在、3か国からの当該品には原則25%の関税が課されているが、ダンピングが認定されれば、昨年10月から暫定的に適用されている中国産白板紙に対する暫定的ダンピング税(370.2ドル/㌧、実質約60%程度の税率に相当する)と同程度の追加課税が導入される可能性がある。なお、中国産白板紙に対するアンチダンピング税の最終決定は、近々行われる見込みとなっている。

主要海外市況(5月度)

中国・香港市況

[印刷用紙]

中国市場の4月度の印刷用紙は、コート紙・上質紙ともに弱含みでの推移となった。コート紙の月平均価格は前月比▲1.79%、上質紙は同▲1.35%となった。需要の低迷と在庫圧力から、流通業者からの値下げが多く見受けられ、出版案件の入札が低価格で決着したことも、市場心理に影響を与えた模様である。また、輸入パルプ価格は国内在庫販売価格に引きずられ、いまだに下落傾向にあり、コスト面からの値上げを支えるインセンティブが弱まっている。今後5月度は依然として軟調な地合いが予想されるが、6~7月には出版需要も徐々に上向いて、販売価格も上昇が期待される。一方、新増産のマシンの稼働や、需要の脆弱さが続くことから、値上げ幅は限定的にとどまると予想される。

香港市場の上質紙は、APRILが12月/3月でそれぞれ$20-の値上げを実施、4月分でも更なる値上げを検討していたが、中東情勢の悪化に伴って、需要の一層の低下を引き起こし、値上げは保留となっている。コート紙は、APPが本年に入り度々値上げの機会を窺ってきたが、旧正月前後の荷動きの低迷から、以降も値上げの実現には至っていない。中東紛争の影響による原油価格、海上輸送コストの高騰から、5-6月での値上げ($30-程度)が再度打ち出された。茂林も5月からの$30-の値上げと供給数量の制限を発表している。

[板紙]

中国市場における段ボール原紙の4月の平均価格は、中芯が前月比▲2.66%、ライナーは同▲0.56%となった。大手製紙メーカーが、月初までの価格維持の方針を、中旬以降は値上げへと方針を転換したことにより、市場心理に先高観による前倒し需要を喚起し、月後半は価格にも強含みの動きが見受けられた。下流の段ボール加工メーカーが、在庫確保に積み増しを行ったこともあり、原料古紙価格は上昇し、コスト面からも価格上方修正を支えるかたちとなった。5月度は月前半までは、製紙メーカーによる値上げの意向が維持され、また予定された停機計画により供給力が抑制され、幾分値上がりも期待されるが、後半からは非需要期に入ることもあり、一転して軟化も予想される。6月度はそのまま下落が続き、7月は逆に原材料価格の高騰で、価格に反発が見込まれる。

香港市場では、アイボリーは昨年後半以来、生産調整を継続しながらメーカー主導による値上げを図ってきたが、旧正月を機に停止となっていたマシンの多くが再稼働し、供給が拡大すると、それ以降価格は一転して弱含みに転じた。白板紙も需要は低迷が続いているが、古

紙価格が上昇した影響もあり、価格はなんとか維持されている状況である

北米市況

[新聞用紙]

北米市場の需要は減少の一方で、供給は生産削減の影響からタイトとなっている。3月及び1Q累計は需要・生産・輸出がともに前年割れで、特に輸出の減少が顕著である。かつて5割超の輸出比率は1Qで37%にまで低下している。昨年9月以降の数カ所の工場での生産削減で、昨年12月と今年3月に各$50-値上げ、更に5月以降$60-の再値上げを打ち出している。

[上質紙]

上質紙は追加関税で輸入が減少している一方で、北米メーカーの生産停止で供給はタイトとなっている。パルプ等原材料の価格高騰、更には中東情勢による原油・輸送費の高騰を背景に、(未実現も含めて)年初来計$100-の価格修正が行われている。需要自体は前年割れだが、今後も各社予定する定期休止、IP/Riverdale工場のマシン停止(転抄)、IPによるNORPAC買収後のLongview工場の動向等、依然として供給には不安要因がある。輸入品は関税問題がなお不透明であるが、北米の価格水準は依然高水準であることから、北米市場への供給力の補完の意味で、輸入の重要性は今後も続くと予想される。

[コート紙]

コート紙は、広告費・日用品への支出抑制、インフレ懸念から需要減退は続いており、上質・中質ともに需要は前年比2割弱程度で推移している。供給面では、Sappi/Somerset工場の生産停止(高板へ転換)に加え、Sappi各工場での電力トラブル発生や、Billerud工場の悪天候による操業停止等、生産工場が既に限られている北米で、供給はむしろタイトである。域内・海外メーカーは、2Qに上質コート紙の値上げ($60程度)を発表している。今後もコスト増を背景として、価格上昇基調が続くと見込まれる。

[中質紙]

1Qの需要は、前年度が関税懸念の前倒しで好調であったことの反動が見られ低調であった。White Birchの工場停止、NORPACを買収するIPが、今後印刷用紙の切り離しを発表。新聞用紙・上質紙の値上げもあり、一部高白色中質紙は2022年以来となる$50-の値上げを実施した。

[段原紙]

世界的なインフレと景気の不透明感により、段ボールの実出荷は前年比で減少が続いている。一方で段原紙メーカーは大幅生産削減で、供給は非常にタイトであり、2Q以降の発表分も合わせると、値上げ幅は年初以来累計で$100-前後となる。中東情勢悪化による原油・海上運賃の高騰は、今後も値上げの後押しとなる見込み。段原紙の輸出は、数量が減少しているが、海外市場向けも値上げが打ち出され、これまで北米市場に比べて割安だった輸出価格も、引き上げが進んでいる。

欧州市況

[新聞用紙]

安定した推移となった1Qの市況は、中東情勢の影響による原油価格高騰で、メーカー各社はコスト圧迫を余儀なくされ、4月以降ほぼ全市場で値上げの展開となった。市場の不透明性を受け、契約期間を短期に切り替える動きが頻繁に見受けられるようになった。

[非塗工上質紙]

2月で価格修正が行われたあと、パルプ等原料のコストをはじめ、中東紛争影響によるエネルギーの高騰で、コスト上昇分を製品価格に転嫁する動きが加速している。4月は欧州全市場に概ね40-50ユーロ($45-58程度)の値上げが見られる。一部のユーザーは、既契約以上の数量をメーカー側に求めるなど、値上げを懸念した動きも見られる。

[塗工紙]

1Qは価格動向も安定していたが、中東情勢の緊迫化で、4月以降概ね40-50ユーロの値上げが見られる。Sappi Europeも3月半ばから値上げを実施した直後に、4月以降の再値上げ(50ユーロ)を打ち出すなど、市場の価格先高観に即した価格転嫁を進めている。

[段原紙]

クラフトライナーは、欧州メーカーの生産削減、北米品の価格上昇等によって4月以降値上げが徐々に広がっている。英・伊市場向けでは、5月へのずれ込みも見られるが、他の市場では最大60ユーロの値上げが実現するところもあり、市場によって幾分斑模様となっている。これまで南欧市場におけるシェアが高い北米品は、5-6月分で30-50ユーロの値上げがアナウンスされており、今後も先高観が強い。

【統計】3月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2026年3月の紙・板紙合計輸出は18万3,391トン(前年比0.2%減)、輸入は7万6,012トン(同4.4%増)となった。国内需要は169万2,955トン(前年比0.9%増)となった。

リンク Japan Pulp and Paper Apparent Consumption | Tableau Public          (ブックマークをお薦めします)

【統計】3月 米国紙・板紙輸入

2026年3月の米国紙・板紙合計輸入は62万4,226トンで前年比13.1%減となった。金額は6億4千4百万ドル(同20.3%減)となった。カナダからが前年比増、フィンランドは同急減。日本から同2桁減。

出典:Data Web(USITC)

紙類海外動向レポート
2026年第14号 2026年5月

海外動向トピックス
*カナダ;NORPAC ロングビュー工場の新聞用紙生産から撤退
*UPM/Sappi 両社の印刷情報用紙の合弁事業 4月末メドに審査の結論の見通し
*ナインドラゴン 2027年第3四半期までにパルプの新マシン250万㌧の増産を計画
北米市況(3-4月度)
欧州市況(3-4月度)
中国・香港・東南アジア市況(3-4月度)
【統計】2月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】2月 米国紙・板紙輸入

海外情報トピックス

*カナダ;NORPAC ロングビュー工場の新聞用紙生産から撤退

North Pacific Paper(NORPAC)は、新聞用紙需要の低迷を背景に、米国ワシントン州ロングビュー工場での新聞用紙生産を2026年5月1日付で停止し、新聞用紙事業から撤退する。ロングビュー工場は1979年に操業開始、2016年にOne Rock Capitalへ売却されて以降、収益性維持のため、新聞用紙から再生紙利用の包装用紙へシフトなど進めてきたが、今回の撤退により、非塗工中質紙・上質紙などその他の印刷・情報用紙と包装用紙の生産に、更に軸足を移す方針。NORPACの撤退により、米国内の新聞用紙工場は、ワシントン州のInland Empire/Millwood工場のみとなる。

背景には北米全体で進行する新聞用紙需要・生産の急速な縮小がある。カナダには現在もWhite Birchが3工場、Domtarが2工場、Alberta NewsprintとKap Paper各1工場の計9工場が残っているものの、北米の新聞用紙生産量は2025年に166万トンと、前年2024年の205万トンから18.8%減少した一方で、生産能力はなお230万トンと過剰。2025年以降、生産停止・撤退が加速し、昨年9月にDomtarのGrenada工場(ミシシッピ州、23.5万トン)が、同12月にWhite BirchのFF Soucy工場(カナダ・ケベック州、中質紙と併抄で30万トン)、さらに本年2月19日にThunder Bay工場(カナダ・オンタリオ州、23万トン)も停止した。

北米市場の価格は、昨年末に合計$50-に続いて、本年3月にも$50-の値上げが実現しているが(東海岸45gsm$865-)、更に5月分として新規で$60-の値上げが発表されている。

北米の新聞用紙需要は今後も減少が見込まれ、2026年の需要は2025年比約12%(10.5万トン)減、さらに2027年は追加で同約10%(8万トン)の減少を予想。今回のNORPACの撤退は、需要減少と生産能力削減が連鎖的に進む構造的な市場縮小と位置づけられる。

*UPM/Sappi 両社の印刷情報用紙の合弁事業 4月末メドに審査の結論の見通し

2025年12月5日にUPMとSappiが印刷情報用紙分野での合弁事業形成について基本合意書に署名した後、欧州委員会(EC)は欧州企業合併規則(European Merger Regulations) に基づき、合弁計画につき審査を進めている。合弁対象は、UPMの情報用紙事業全体とSappiの欧州における印刷用紙事業など、米国1工場を含む合計12工場で、企業価値は約14億2千万ユーロと見積もられる。ECは2026年4月末を期限として、無条件承認、資産売却などを条件とする承認、あるいは不承認のいずれかを決定する見通しで、現在はその暫定的な結論を待つ段階にある。

このような規制当局の審査を前提に、両社は2026年前半の正式契約締結、及び年末の取引完了を目標としつつ、デジタルメディアの進展により広告収入の低下、発行部数の減少など、持

続的な衰退局面にある印刷用紙市場で、合弁によるコスト競争力の強化と安定供給体制の構築を通じて、業界内での長期的優位性を確保するという当初の方針を維持する。

*ナインドラゴン 2027年第3四半期までにパルプの新マシン250万㌧の増産を計画

中国政府による古紙輸入全面禁止(2021年以降)、2025年10月に発生した輸入古紙パルプへの品質規制強化等により、中国の製紙メーカーは、以前よりも一層古紙原料への依存リスクに曝されている。またインドネシアの森林関連企業への森林資源利用の制限(前月ご報告済み)、ここにきて、中東情勢の緊張化による海上輸送コスト等の急騰など、輸入木材パルプ(特にLBKP)の供給や価格の変動不安要素なども高まっている。

このような状況を背景に、ナインドラゴンは、2027年第3四半期までに天津工場(50万㌧/2026年4Q)・重慶工場(70万㌧、2026年4Q)・北海工場(80万㌧、2027年2Q)・東莞工場(50万㌧、2027年3Q)等、合計約250万トン/年におよぶKP(クラフトパルプ)設備の増産を計画、原材料パルプの国内自給体制の強化を図っている。

北米市況(3-4月度)

[新聞用紙]

需要と出荷の低迷にも拘わらず、昨年9月以降のDomtar、White Birch、Thunder Bay各工場の生産停止で、供給は現在非常にタイト。NORPAC/Longview工場も新聞用紙生産を5月に終えることとなった。価格は昨年末の$50-に続き3月も$50-の値上げを行ない、更に5月分で新規に$60-の値上げが打ち出された。

[上質紙]

輸入追加関税発動で輸入は減少、国内メーカーの生産停止で供給がタイトとなり、1Qで$60-前後値上げとなった。米国・イラン間紛争の影響で、原燃油・海上運賃が高騰、サーチャージを価格に転嫁する動きで、今後も価格は上方基調となろう。輸入関税の暫定10%への引き下げで、輸入品に追い風が期待されるが、海外メーカーは中東のエネルギーと海上輸送への依存が北米以上に高く、生産コスト面で競争力の悪化が見込まれ、輸入品シェアの今後の拡大は不透明である。

[コート紙]

昨年一年を通じた調整局面への反発で、今年に入り市況には幾分復調が見られる。現在Sappiの一部工場の生産不調もあり、北米市場の供給はタイトで、加えて中東紛争の影響によるエネルギー・海上輸送価格の高騰から、価格上昇を窺う動きが出始めている。国内外メーカー各社は、5月以降の上質コート紙価格に、5-10%の引き上げを発表した。

[中質紙]

上質・新聞用紙の値上げ動向を受け、3月には高白品で、2022年以来となる$50-の値上げが実施された。中東紛争による各種コストの上昇で、今後も値上げ機運は高まるものの、稼働率は未だ60-70%に留まり、状況次第では生産調整の継続は必要であろう。

[段原紙]

世界的なインフレと市場に広まる不確実性で、段ボール需要は弱含みが続いており、本年も前年ほぼ横ばいの需要が見込まれる。段原紙は、昨年以来の大幅な生産削減と、中東紛争を背景とするエネルギー等各種コストの上昇で、2-3月には$20-程度の底上げとなり、更に値上げを窺う状況である。

欧州市況(3-4月度)

[新聞用紙]

3月度は四半期契約価格により据え置き。中東情勢緊迫化により、生産コスト高騰、納期の長期化の懸念がある。Papresa工場(スペイン)の売却交渉等、業界再編の動きが続き、北米からの欧州への輸入も、北米メーカーの生産削減で最近は減少している。需給には引き締まりが出る可能性もある。

[非塗工上質紙]

2月の価格上昇後、3月は概ね横ばいとなった。パルプ価格の上昇が続き、2Qから打ち出されていた値上げ(8-10%程度)に加え、市場への中東情勢による不確実性が更に大きくなっており、サプライヤー側は、生産・輸送コスト上昇分を製品価格に転嫁する動きを示している。

[塗工紙]

前月に続き3月も価格は横ばい。3月半ばから2Q以降の値上げを発表したが、ユーザーの抵抗は強く実施はされていない。原燃料、物流すべてのコスト高騰を背景に、追加値上げを迫っており、Burgoは全ての塗工紙で、またSappiは上質コート紙で、€50-の追加値上げを行なうことを発表した。

中国・香港・東南アジア市況(3-4月度)

[上質紙]

中国では3月初に値上げが打ち出されたものの、需要不足や出版社の入札開始を背景に、月後半は下落に転じ、在庫圧縮への圧力も高まっている。4月は需要閑散期にもあたり、供給過多から一段の価格下落が見込まれるが、6月までの間で出版向け需要の期待とコスト上昇を背景に下げ止まり、需要も上向くことが期待される。

香港では、APRILが国内外市場での受注増と生産余力の不足を理由に、12月・3月に続いて4月も、強気の値上げ姿勢を維持した一方で、中国での市況の軟化、中東情勢の緊迫化から、先行きは依然不透明で、今後の動向の注視が必要である。

[コート紙]

中国では3月の平均価格は、前月比わずかに上昇した。パルプサプライヤーの価格引き上げを求める声は依然続いているものの、需要が伸び悩んでおり、製品価格の上昇幅は限定的であった。

香港向けではAPPが1月から値上げを打診しているが、季節的にも販売状況は不振で、3月までは価格は横ばいにとどまった。中国での市況回復の遅れもあり、香港向けでも当面は、受注確保を優先せざるを得ない状況である。

東南アジアでは、春節前後の低調期は過ぎ、3月度は年次報告書や春商戦向け広告需要など、荷動きは活発化しているが、パルプを中心とした原材料高騰に加え、米国のイラン侵攻後の原油高に伴う海上運賃や燃料サーチャージの増加で、コスト上昇が顕著となり、製品価格への転嫁と追加値上げ要求(4月以降10~50ドル程度)が強まっている。

[段原紙]

中国の段原紙市況は、荷動きが上向いたことにより3月前半に価格が上昇した後、軟化に転じた。中芯・ライナーともに月平均価格では前月比上昇となったが、需要回復は底浅く、一部では値引き販売も見られるようになった。古紙価格の上昇は、当面のコスト下支えとなる一方で、4月中旬以降は、大手メーカーと中小の価格差の拡大や、古紙価格反落も予想されることから、5月も需要低調により弱含みの市況となる見込みである。6月になれば、古紙価格の上昇と「618商戦=eコマース」需要への期待から、中芯は小幅な上昇、ライナーは横ばいでの推移が予測される。

東南アジアでは、輸入品サプライヤーは地場メーカーとの価格競合で受注環境が厳しい。一方で地場メーカーも、原材料高騰を背景に値上げを進めている。

[その他板紙]

香港では、アイボリーが昨年後半にメーカー主導の値上げを図った。しかし、依然低迷が続く需要と、旧正月前の生産調整後は供給が増加していることで、価格は逆に値下げに転じている。塗工白板紙も価格維持を目指しているが、需要不振の中で、値下げ圧力は強い。東南アジアでは、古紙価格上昇に加えて、海外からの需要増が期待される韓国・台湾メーカーからの供給はタイトとなっており、主要メーカーは前月比$30-程度の値上げを要請している。地場のメーカーとの間で、厳しい受注競争が続いている。

【統計】2月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2026年2月の紙・板紙合計輸出は15万1,874トン(前年比5.2%減)、輸入は6万3,858トン(同6.0%減)となった。国内需要は146万8,214トン(前年比2.5%減)となった。

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【統計】2月 米国紙・板紙輸入

2026年2月の米国紙・板紙合計輸入は49万593トンで前年比10.0%減となった。金額は5億6千7百万ドル(同5.7%減)となった。カナダからが前年比大幅減、日本から同減少。

出典:Data Web(USITC)

紙類海外動向レポート
2026年第13号 2026年4月

海外動向トピックス
*インドネシア政府 森林関連企業に対し森林資源の利用制限を強化
*山東晨鳴紙業グループ 紙パルプ工場の生産を再開 アジア市場への影響が懸念
*フィリピン政府 輸入中芯原紙へのセーフガード導入を見送り
北米市況(2-3月度)
欧州市況(2-3月度)
中国・香港・東南アジア市況(2-3月度)
【統計】1月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】1月 米国紙・板紙輸入

海外情報トピックス

*インドネシア政府 森林関連企業に対し森林資源の利用制限を強化

インドネシア政府は、スマトラ島での豪雨災害の被害拡大要因として過度な森林伐採を認定し、森林関連企業への規制を大幅に強化した。その結果、トバ・パルプ・レスタリなど11社の営業停止に続き、1月20日にはさらに22社の林業企業の森林コンセッションが取り消され、主にアカシアとユーカリからなる約100万ヘクタールの植林地が実質的に利用制限を受けることになった。これにより、年間最大約800万BDMT、パルプ換算で約400万トン相当のBHKパルプ供給が失われる見通しであり、第三者サプライヤーからのチップ調達への依存度が高いAPPやAPRILには大きな打撃となっている。APRILは第1四半期のBHK生産を15万トン削減すると発表し、ベトナムからのチップ輸入などで対応を図る一方、グループ会社のBracel(ブラジル)ではパルプラインの一部を溶解パルプ(DP)へ転換しており、その影響も重なって、グループ全体として製紙用BHKの供給は2026年に年間約100万トン減少すると見込まれている。

このインドネシア発の森林利用制限とそれに伴う供給減少は、アジア、特に中国のBHK(LBKP)市場を一気にタイト化させる方向に働いている。供給懸念が台頭する中で市況感は「値下がり基調」から「供給不安を背景とした値上げ容認ムード」に転換しつつあり、APPは世界市場でパルプ価格を20ドル値上げ、Suzanoも中国をはじめとするアジア市場向けで10ドルの値上げを打ち出した。中国の大手製紙メーカーは、少なくとも上期についてはパルプ価格の高値推移を前提とし、紙・板紙価格へのコスト転嫁を進めている。ただし、中国港湾の在庫水準は依然として高く、短期的な急騰には至らず、「先行きの供給不安を織り込みつつも、現状はまだ様子見」という段階にとどまっている。また、今回の影響は主として広葉樹系のLBKPに集中しており、針葉樹系のNBKPの需給は比較的安定しているため、市場全体というよりは、LBKPを中心にアジア・中国市場のタイト化と価格上昇圧力が強まっている構図になっている。


*山東晨鳴紙業グループ 紙パルプ工場の生産を再開 アジア市場への影響が懸念

山東晨鳴紙業グループは、市況低迷と過剰設備投資による財務悪化から、2024年11月には全体能力の7割超(約700万トン)の紙・板紙・パルプ設備を一斉に停止し、中国5工場のうち4工場が止まる異例の事態となった。その後、2025年9月までに寿光工場で上質紙・コート紙・ティッシュなどがほぼ全面再開し、南昌工場のコートアイボリー、吉林工場の一部パルプも順次稼働を再開。2026年3月には、復興が遅れていた湛江工場でLBKP(95万トン)、APMP(18万トン)、非塗工上質紙PM1~3(計約105万トン)、さらにコートアイボリー(120万トン)が相次いで再稼働し、グループ全体の供給能力が一気に戻りつつある。

とりわけ湛江工場は華南および東南アジア向け輸出の拠点であり、クラフトパルプと非塗工上質紙、コートアイボリーの大規模な供給復帰は、同地域の紙・板紙市況の軟化要因となる可能性が高い。これまで晨鳴の停止によって一時的に引き締まっていたアジアの需給バランスは、再び供給過多方向に振れやすくなり、印刷・情報用紙や板紙分野を中心に価格下押し圧力が強まるリスクがある。一方で、大口需要家にとっては調達選択肢の拡大と価格交渉力の向上につながるため、晨鳴の再建プロセスは、アジア紙パルプ市況における「中国発供給サイクル」の影響力の大きさをあらためて浮き彫りにしている。


*フィリピン政府 輸入中芯原紙へのセーフガード導入を見送り

フィリピンでは、国内製紙業界団体PULPAPELの申し立てを受け、2019〜2024年の輸入動向を対象に、段ボール用中芯原紙(HS4805.19.10/4805.19.90/4805.12.00)に対するセーフガード調査が2025年2月頃から実施された。中芯原紙の輸入量は2019年の約7.5万トンから2024年には約12.8万トンへ約71%増加し、とりわけ日本は最大の供給国で、2024年時点で輸入量全体の約半分を占めていた。このため、調査中の暫定措置として、2025年8月1日から200日間、日本やインドネシアなどからの輸入品に対し、トン当たり3,438ペソ(約60ドル)の暫定セーフガード関税が課された。

しかし約1年の調査の結果、フィリピン関税委員会は、本格的なセーフガード措置を導入しないことを決定した。国内産業側のデータが不十分で損害の立証ができず、調査に協力したUPPCとBataan2020の2社のシェアも国内生産の約30%にとどまり、「国内産業を代表する」とは言えないと判断されたためである。さらに段ボールメーカーなどユーザー側からは、輸入中芯は品質面で国産品より優れており、本格セーフガードが導入されれば段ボール製品のコスト上昇を通じてインフレを招くとの懸念が示されていた。結果として、中芯原紙への本格措置は見送られることとなり、暫定セーフガードも終了する。

なお、フィリピンではテストライナー輸入についても別途セーフガード調査が続いており、同品目は2010年に初のセーフガード発動後、2013年・2016年に延長され、2020年6月に解除されている。再生段原紙全体では需要拡大に伴い国内生産能力が増強される一方、輸入も再び増加して国内メーカーの稼働率が約70%にとどまるなど過剰供給感が強まっていることから、中芯原紙とテストライナー双方で輸入規制の在り方が引き続き焦点となっている。

北米市況(2-3月度)

北米市況

[新聞用紙]

1月度の北米市場の需要は前年同月比約▲20%の大幅減であるが、複数工場による相次ぐ生産停止(生産能力のおよそ28%)で、供給環境は急速にタイトとなっており、昨年末の合計$50-の値上げに続いて、3月でも$50-70の値上げが発表された。今後は海外市場が回復して、メーカーの輸出比率が保たれ、北米市場の需給バランスが維持されるかどうかがカギとなろう。

[上質紙]

1月度の需要は同▲13.2%と、メーカーの生産及び輸入は、ともに低調に留まった。昨年8月の輸入追加関税の発動後は、主要国からの輸入の減少、国内メーカーの生産停止などにより供給はタイトに推移している。トランプ関税に違憲との最高裁の判決が下り、今後輸入紙が再び増加の可能性もあるが、各メーカーは春先のメンテナンスの生産休止を睨みつつ、必要に応じてユーザーへの供給割当など供給制限を行ないながら、慎重に春先の値上げ実気に取り組む意向である。

[コート紙]

1月度の需要は、概ね同▲6-10%の範囲での減少となったが、年間通じて在庫調整に追われ、特に過去最低のレベルとなった4Qの荷動きの低調さからは、それでも幾分持ち直しが見られる。現在の主要輸入国に課されているトランプ関税は、税率が幾分減率となるものの、北米市場のコート紙の輸入比率は高く、これまで過去の生産削減により、ある程度制限があることから、北米メーカーの生産工場にもある程度制限があることから、関税率の増減が供給に与える影響は限定的と考えられる。従って、低調な需要の中でも、比較的安定した価格水準が保たれている。

[中質紙]

昨年は通年に亘って在庫調整に追われ、北米市場の年間の需要は極めて低水準となった。本年も更なる需要の減少が予想される。市況の安定には生産能力削減以外に方法が見込めないが、これまでの生産削減により、北米メーカーの生産工場の数も既に限られており、今後も低調な需要が予想されるなか、状況に応じた小規模な生産調整が繰り返されていくと見られる。

[段原紙]

昨年度の米国市場における段ボールの実出荷数は、前年比▲1.8%と極めて低調に終わった。昨年2月以降、段原紙メーカーは大幅な減産(合計360万㌧以上)を行なっており、供給

がタイトとなっていることを受け、本年3月以降$70-の値上げを発表した。しかし箱需要は相変わらず脆弱であること、段ボールメーカーの原紙在庫が十分にあることなどから強硬な抵抗を受けており、値上げ実施前には、逆に▲$20-程度の値下がりとなった。

欧州市況(2-3月度)

[新聞用紙]

長期契約で2月の価格は1月から据え置かれたが、需要低迷、生産コスト、特に燃料費の高騰で、今後も値上げ圧力は強い。Papresa工場(スペイン)売却など業界再編が進み、南欧市場は先行きが一層不透明である。一時カナダ品の輸入が増加したが、北米各社の生産撤退で、今後は更に減少の見通し。

[非塗工上質紙]

2月は欧州全域値上げ基調で、1月初旬から発表の値上げが、徐々に浸透し始めている。英国は£40〜60、欧州本土は€50〜70の値上げが実現しているが、まだ一部に留まり、全体の波及には暫く時間が必要。一方、4月納入以降の発表も各社からあり、Burgoは€50以上、Artic Paperは8〜10%を打ち出した。

[コート紙]

2月の価格は概ね横ばいで推移したが、複数のメーカーで今後の値上げを示している。Artic Paperは4月から8〜10%、Burgoは€50以上、Sappi Europeは€50、Lectaは8%となった。生産コストをカバーできておらず、早急な価格回復は必要。

[段原紙]

2月のKLB価格は前月並みだが、一部で下落も見られる。米国メーカーの減産で供給に制限あり、南欧向けは大きく減少した。3月では€20〜30下落も予想される。KLBの代替としてTLBや未晒クラフトへ切替えが進んでおり、KLBは価格下落圧力に苦しんでいる。

中国・香港・東南アジア市況(2-3月度)

[上質紙]

中国市場は高白色品・一般品ともにメーカー価格は安定し、平均価格も前月比横ばいで推移。しかし春節による生産調整で供給力が落ちる一方、休暇入りで需要は停滞し、休暇明けの荷動きの回復も鈍い状況。香港市場では、主要メーカーのAPRILが昨年12月、今年3月と続けて20ドルの値上げを打ち出しているが、大口案件では依然として前年並みの低価格が見られ、中国市況低迷の長期化もあり、市況全体の改善は不透明。東南アジア市場では、春節明けに在庫をやや積

み増す動きが出始めるなか、LBKP価格がさらに上昇していることから、APPやAPRILなど主要メーカーは前月の20~30ドル値上げに続き、さらに10ドルの追加値上げを狙っている。

[コート紙]

中国市場では市況は概ね安定しているが、平均価格は前月比小幅な下落となった。春節に伴う需要減退と物流機能の実質停止で取引が低調なうえ、一時的なパルプ価格の反落も価格上昇の動きを抑える方向に働いた。香港市場ではAPPが1月から50ドルの値上げを表明したが、実際には20ドル程度での妥結を目指す交渉となり、まだ最終決着には至っていない。中国の需要低迷が著しく、香港市況の本格的な好転には時間を要する見通し。東南アジア市場の上質コート紙は、春節明け後も荷動きが低調で、市場に目立った活況は見られないなか、主要サプライヤーである韓国メーカーは自国の総選挙や、W杯・中間選挙などで需要増が見込まれる米国市場を優先しており、東南アジア向けの供給枠は依然としてタイトな状態が続いている。

[板紙]

中国の段原紙市場は、2月に前月比30~110元/トンの反騰があったものの、前月の急落分を十分には取り戻せず、月間平均価格ではなお、前月比下落となった。春節明けの操業に向けて段ボール工場が低水準の在庫を補充したこと、春節前後に段原紙メーカーの操業停止規模が想定以上に大きく、供給が絞られたことが価格反騰の主因となった。一方、原料古紙価格はやや下落しており、コスト面からの価格下支えは限定的となった。香港市場では、アイボリーは旧正月休暇を挟んで大幅な生産調整を行っていたが、需要回復が遅れるなかでマシンの再稼働が行われており、供給増を背景に値下げ圧力が一段と強まった。白板紙については、原料古紙価格が底打ちの様相を見せる一方で、需要改善は当面期待しにくく、メーカー側は生産調整によって価格維持を図る展開が今後も見込まれる。

【統計】1月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2026年1月の紙・板紙合計輸出は12万5,045トン(前年比14.0%増)、輸入は7万594トン(同11.7%増)となった。国内需要は148万5,677トン(前年比2.1%減)となった。段ボール原紙の数量などが減少。

リンク Japan Pulp and Paper Apparent Consumption | Tableau Public          (ブックマークをお薦めします)

【統計】1月 米国紙・板紙輸入

2026年1月の米国紙・板紙合計輸入は54万4,239トンで前年比18.6%減となった。金額は5億5.0千万ドル(同24.8%減)となった。欧州諸国、韓国が前年比大幅減、日本からは数量で同急増。

出典:Data Web(USITC)

紙類海外動向レポート
2026年第12号 2026年3月

海外動向トピックス
北米市況(1月度)
欧州市況(1月度)
中国・香港・東南アジア市況(1月度)
【統計】12月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】1-12 米国紙・板紙輸入

海外情報トピックス

米国;International Paper DS Smith 買収後の事業を2社の独立企業に分割

2025年1月のIPによるDS Smith買収は、世界の段ボール・段原紙市場での規模と競争力を高めることを主目的としたものであった。買収による新生IPグループの、段原紙生産能力は約1,600万トンとなり、約1,700万トン規模のSmurfit WestRock、更にアジアで拡大を続けるナインドラゴンと並び、「三強」の一角を占める体制が整った。

欧州域内では、北アフリカ~南欧を中心に拠点を持つIP(段ボール工場22~23カ所、段原紙48万トン)に、欧州主要市場で、150カ所超の段ボール工場と360万トンの段原紙能力を有するDS Smithが加わることで、地理的補完関係が強く、シェアの重複も限定的であった。また、段ボール加工に対して自社内の原紙供給が相対的に不足していたDS Smithにとって、IPの北米からの段原紙供給が可能になる点も、大きなシナジー要因と目されていた。

しかし、ECの承認条件として、IPは欧州の段ボール工場4カ所とシート工場5カ所の売却を迫られたうえ、その後の欧州市況は低迷が続いた。その結果、当初期待された「北米から欧州への原紙輸出+欧州での垂直統合」のビジネスモデルは十分に機能せず、収益改善は想定を下回った。2025年第3四半期には約11億ドルの純損失を計上し、期待されたほどの統合シナジーは現れていない。

こうした中でIPは、北米と欧州・中東・アフリカ(EMEA)では市場環境や構造変革のスピードが異なり、一体運営よりも地域ごとに経営資源を集中した方が成長機会を最大化できると判断し、グループを北米とEMEAに特化した2つの上場会社に分割する方針を打ち出した。

北米側は現IPの社名を継承し、IPとDS Smithの北米資産を集約する。一方、EMEA側は新社名の包材会社として両社の同地域資産を統合し、IP株主へのスピンオフ(IPは一部持分を継続保有)という形で独立させる計画である。分離は株主承認と当局認可を前提に12~15カ月以内の完了を見込む。また、統合後のIPは北米で約180万トンの段原紙生産能力削減や、リバーデール工場の非塗工上質紙から再生段原紙への転抄など、北米段ボール事業への集中とスリム化を進める一方、欧州では旧DS Smithのシート・段ボール工場5カ所をPalm社に売却するなど、地域別に事業ポートフォリオを再構築している。

このようにIPは、世界市場の過当競争と地域間の需給ギャップが拡大する環境下で、規模の維持よりも「地域特化・選択と集中」による収益力回復と持続的成長を図ろうとしている。

トルコ;Eren Holding 英国のBM Packagingを買収し 欧州市場で段ボールの一貫生産体制を構築

トルコのコングロマリットEren Holdingは、オランダの子会社Nova Paper & Packagingを通じて、英国の段ボールメーカーBM Packagingを買収した。Eren は紙・包装分野を中心に多角的な事業を展開、トルコでは再生段原紙メーカーのModern Karton、段ボール加工のModern Ambalajを傘下に置き、原紙から段ボール製品まで一貫したバリューチェーンを構築しているが、今回の買収により、この統合モデルを英国市場にも拡張、英国および欧州市場で進める再生段原紙事業の垂直統合戦略の一環と位置づけられる。

英国において、Eren Holdingは2021年にUPMから新聞用紙工場を取得、これを再生段原紙工場に転換するプロジェクトを進行中である。年産75万トン規模の再生段原紙は2026年第1四半期中に稼働を迎える予定である(計画当初は2024年中の稼働予定だった)。今回買収のBM Packagingは、このShotten工場から約107kmという近距離に位置し、大型段ボールやオーダーメイド段ボール、ダイカット包装など高付加価値製品を製造しており、Shotten工場で生産される再生段原紙の優先的・安定的な供給先として機能しうる存在となる。即ちErenは、Shotten工場での増産によって、欧州市場の供給過多リスクが高まるなか、自社グループ内において確実な需要を確保し、原紙から加工製品までの一貫供給体制を英国でも構築することにより、市況軟化局面における収益の安定性と競争力の維持を図る意図がある。

北米市況(1-2月度)

【新聞用紙】

2025年の北米新聞用紙需要は85.5万トン(前年比15%減)、生産は166.6万トン(同19%減)と縮小が続いている。Domtar/Grenada、White Birch/FF Soucy、Thunder Bayの停止により生産能力は約28%減少し、稼働率は2025年83%、2026年は85%への上昇が見込まれる。海外市場の需要減少で、北米からの輸出が年後半は減少し、昨年度の輸出比率は50%となった。2026年以降も需要は減少が予想されるが、原燃料高騰等により価格の引き上げは不可避であり、昨年末の$50の値上げに続き、2026年3月から米国向け$50-、カナダ向け$70-の再値上げが打ち出された。今後は現在一時停止中のKruger/Corner Brook、一時停止から今は再開したKap Paper/Kapuskasing工場の動向等も、稼働率や価格の維持の鍵となろう。

【上質紙】

2025年の北米上質紙出荷は410万トン(同6.6%減)、輸入は13.9%増と、輸入増が国内の低調な需要を部分的に補った形である。IPやPixelleの設備停止などで供給は引き締まり、稼働率は平均90%と前年から改善した。追加関税発動後は、輸入減と在庫一巡を背景に、値上げ環境が整い、Domtar、Sylvamo、PCAなど主要メーカーは2~3月出荷分で3~9%の値上げを発表した。北米は世界的にも高価格市場であり、2026年も堅調な需給を背景に、年後半に更に$40程度の値上げが期待される。

【コート紙】

2025年の上質コート紙需要は180万トン(同10%減)、中質軽量コート紙も69万㌧(同8%減)となった。輸入比率は上質コート紙34%、中質軽量28%となり、メーカー稼働率はそれぞれ86%、85%まで回復した。しかし、構造的に需要減少は変わっていない。昨年初は関税懸念による輸入積み増しがあったが、以降は荷動きも鈍化し、在庫調整が続いた。秋以降は輸入上質コート紙が先行して7~15%の値上げを行い、国内メーカーも追随、概ね$20~40の値上げとなった(中質軽量は据え置き)。北米のコート紙市場の価格は世界的に高水準であり、今後トランプ関税が最高裁により違憲と判断された場合も、輸入シェアは増えることはあれ、減少することは考えづらい。2026年は上質・中質軽量とも価格は概ね横ばい、稼働率は上質が80%台前半、中質軽量が70%台後半で推移すると予想される。

【中質紙】

2025年の非塗工中質紙需要は134万トン(同7.3%減)、北米メーカー出荷は同8.5%減となり、稼働率は74%まで低下した。年初の関税懸念で輸入在庫が積み上がったが、その後は調整局面が続いている。White Birch/FF Soucy工場の停止で、本年末には稼働率が70%台後半まで戻ることが期待されるが、80%台の回復には更に20万トン程度の追加削減が

必要である。高白色中質紙では、Domtar、Kruger、NORPACなどが3月から米国$50-、カナダ$70-(最大8%)の値上げを表明しており、実現すれば2022年以来の上方修正である。北米メーカーの能力削減は余地が少ないが、当面は需給状況に応じた生産調整が、価格維持には不可欠となる。

【段原紙】

2025年の米国段ボール実出荷は、前年比1.8%減で、2015年以降最低水準となり、2021年からの累計では10%超の減少である。需要低迷を受け、2025年2月以降に段原紙は約380万トン(能力の約9%、主にKLB)の大規模減産が行われ、段原紙の生産は合計3,608万トン(4.5%減)、稼働率は91%超まで回復した。これを背景に、2025年初の$40-の値上げ後は横ばいが続いていたが、IPやPCAなどが本年3月以降出荷分のライナー、中芯、白ライナーにつき$70-の値上げを発表している。一方で、世界的な供給過多や北米KLB需要の減少傾向から、2025年のKLB輸出は1~11月で同11.7%減となっており、特に中国向けは大幅減となった。今後は北米内需と輸出動向の両面を睨みつつ、北米メーカーの稼働率と価格水準の維持が課題となる。

欧州市況(1-2月度)

[新聞用紙]

1月に入っても市場の勢いは戻らず、欧州市況は前四半期同様の勢いで推移している。フランスでは小幅な値下がりが見られるが、これを市況の悪化というよりも横ばいでの安定との受け止めが多い。需要は依然として低迷しており、供給過多と生産コスト上昇が続くなか、価格は下押し圧力が続いている状況。スペイン/Papresa工場の売却、スロベニア・Vapap工場の操業停止など、構造的な動きも依然として続き、新聞用紙産業の将来に対する不透明感は更に強まっている。

[非塗工上質紙]

1月の市況は比較的堅調で安定して推移した。Navigatorの値上げ発表をきっかけに、他メーカーも相次いで値上げに動き、サプライヤー全体で価格引き上げの方向性が明確になった。APPも遅れて値上げを表明し、供給側の姿勢は強気である。しかし需要自体は力強さを欠き、ユーザーの在庫も潤沢で、このような値上げの取り組みが継続できるかどうかにつき、市場で懐疑的な見方も多い。

[塗工紙]

1月の価格水準に大きな変化は見られず、おおむね堅調ではあるものの、一部の市場では依然として安値輸入品の流入が続いており、とりわけポーランドなどで大幅なディスカウント取引が確認された。このような動きが他市場へ波及することが懸念されるが、メーカーの多くはパルプ価格や海上運賃の上昇を背景に、価格の引き上げ姿勢を強めている。

[段原紙]

クラフトライナーの価格がドイツ、フランス、イタリア等主要市場で一斉に下落、全体的に軟調な展開となっている。一方、英国では下げ幅は比較的小さく、市場によって動きはまちまちである。テストライナーも、昨年来の新増設による供給過多の状態が続いており、ほぼ欧州全域で価格は下落している。このような市況にもかかわらず、Humburger Container, Pro-Gestなどの有力メーカーが、2月から€100-の大幅な値上げを打ち出しており、その動きは、今後のクラフトライナーの市況にも影響を及ぼす可能性があるとして、市場の注目を集めている。

中国・香港・東南アジア市況(1-2月度)

【印刷用紙】

中国市場の上質紙、コート紙は、1月は需要低迷と在庫調整で、小幅安から横ばいで推移した。出版向けの荷動きは見られたが、市況は低調であった。2月の春節中の荷動きは期待できず、3月に一時的な需要回復と、出版関連入札前のサプライヤーの値上げ意向から、小幅な反発の可能性がある。一方で、需要に根本的な改善は見込まれず、入札価格も低水準での結果が予想されるため、その後は再び下押し圧力が強まると懸念される。2~4月は春節を挟んで、緩やかながら、上げ下げの振れが大きい展開を予想。

香港市場では、中国メーカーが12月分から約$30の値上げを発表し、上質紙でAPRILは約$20の値上げを実現したが、大口入札では依然低価格での対応が見られ、値上げが一般品の市場価格に浸透するには時間が必要である。またコート紙は、香港では、APPが1月分から$50-の値上げを打ち出し、2月初旬までには約$20が妥結し、残りは交渉が継続となった。しかし春節期にかかり、非需要期となっており、決着に更に時間が必要となる見通しである。一方、紙商では依然として値下げによる販売も見受けられ、メーカーの値上げがエンドユーザーにまで十分に浸透する環境とはなっていない。

シンガポール・マレーシア等の東南アジア市場でも、1-2月の上質紙の需要に回復が見られず、荷動きは低調に終始した。パルプ価格は更に上昇の動きあり、APP/APRILは年始以降も$20-30の値上げを打ち出している。定期ユーザーは状況の成り行きを注視してい

るが、3月には需要も幾分動きも出てくることが期待され、価格の動向が注目される。コート紙も上質紙とほぼ同様の動きで、1-2月には$10-20程度の値上げが打ち出された。主要サプライヤーの韓国のメーカーは、自国では総選挙、また主要輸出先の米国ではワールドカップや中間選挙等、堅調な需要が期待されるため、供給先をそちらに傾斜しており、韓国からの供給は現状ではタイトである。

【板紙】

中国市場の段原紙は、大手メーカーが繰り返し値上げを画策したものの、春節を前に需要が鈍化したことや、秋口以降手当てした輸入品等の着港も相次ぎ、逆に在庫過多が重荷となってきて、1月度の段原紙価格は、前月から更に大幅な下落となった(ライナー▲11.6%)。末端では春節前の需要が一部で見られたものの、段ボールメーカーの原紙の購買意欲は、極めて限定的であった。2月度は春節期間前後の取引は鈍化するため、市場価格にほとんど動きはないと見られる。春節明けには幾分反騰が期待されるものの、3-4月は季節的に閑散期であり、価格は再度下落基調での推移が予想される。

香港市場では、アイボリーはメーカー主導の値上げがこれまで行われてきたが、旧正月を前に、しばらく目立った価格の動きなく推移する見通しである。中国の主力メーカーは、生産調整や輸出強化で、中国国内市場の価格の安定を図る意向。白板紙は、古紙価格が下落しており、市場からは値下げの圧力が強い。旧正月中はメーカー各社が大幅な生産停止を行ない、休み明けのタイミングで値上げの動きを再開する意向。

【統計】12月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2025年12月の紙・板紙合計輸出は16万6,404トン(前年比14.5%増)、輸入は6万406トン(同0.4%)増)となった。国内需要は168万5,172トン(前年比0.5%減)となった。
主要品種が軒並み前年比減。

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【統計】1-12月 米国紙・板紙輸入

2025年1-12月の米国紙・板紙合計輸入は695万4,246トンで前年比4.7%減となった。金額は75億2千7万百万ドル(同7.1%減)となった。欧州諸国、韓国が前年比大幅減、日本からは同急増。

出典:Data Web(USITC)

紙類海外動向レポート
2026年第11号 2026年2月

Contents
海外動向トピックス
北米市況(12月度)
欧州市況(12月度)
中国・香港・東南アジア市況(12月度)
【統計】11月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】1-10月 米国紙・板紙輸入

海外情報トピックス

UPM/Ettringen工場(ドイツ)を永続的に閉鎖

UPMのEttringen工場(新聞用紙・非塗工印刷用紙、年産27万トン)は、従業員側との難航していた交渉が調停を含む枠組みの中で決着し、2025年末もって生産を停止し工場を閉鎖することが決定した。欧州市場では新聞・中質系印刷用紙の需要減少は長期化しており、各社は継続的に設備削減を進めてきたものの、需要減のスピードに追い付かず、欧州の中質系印刷用紙の平均稼働率は65%以下にとどまり、生産過剰が解消されていない。UPMはこの2~3年で、ドイツSchongau工場6号機およびオーストリアSteyermühl工場4号機の生産を削減し、ドイツ・フィンランドの残存マシンで中質系印刷用紙180万トン体制を整えたが、なお需給バランスの軟化は続いている。このためUPMは、Sappiと印刷情報用紙分野での効率的な供給体制を構築・安定化するための合弁会社設立に合意しており、フィンランド、ドイツ、英国、オーストリア、オランダ、米国の計12工場が対象となる見込みである。しかしEttringen工場はその対象リストには含まれておらず、今回の閉鎖は合弁事業とは別枠の措置であると見られる。

欧州議会 改正EUDRの最終案を可決

2025年12月17日、欧州議会と欧州理事会は、欧州委員会と合意した改正EU森林破壊防止規則(EUDR)の最終案を可決したものである。改正案では、デューデリジェンス(DD)手続きの簡素化に加え、大規模事業者の適用開始日を2026年12月30日、小規模・零細企業については2027年6月30日までとし、いずれも1年間延期することとした。

また、デューデリジェンスステートメント(DDS)の提出義務は、最初にEU市場に製品を投入する事業者に限定され、下流の製造業者、商社、販売業者などには課されないこととなった。さらに、低リスク国の小規模事業者については、一度限りの簡素化された申告が認められ、ITシステムにより参照番号を維持することで、サプライチェーン全体のトレーサビリティを確保する仕組みが導入されている。

もっとも、実務負担の大きさに対する懸念は各業界からなお強く示されている一方、書籍・新聞などの印刷製品(ただし欧州域内で印刷されるものは規則対象)は適用除外とされたことについて、印刷業界からは環境保護上の「抜け穴」であるとの批判も出ている。改正EUDRの正式な発効には、今後、理事会による採択と官報掲載が必要であり、その後、欧州委員会は2026年4月までに簡素化に関するレビューを実施し、報告書を提出する予定である。

ブラジル/Suzano ユーカリを原材料としたフラッフパルプの新ラインを増設

ブラジルの紙パルプ最大手Suzanoは、サンパウロ州Limeira工場で、100%ユーカリ材を原料する衛生材料用フラッフパルプの新ライン増設計画を発表した。投資額は4億9千万レアル(約9千万ドル強)で、同原料を使用したフラッフパルプの増産としては約10年振りとなる。商品名は「Eucafluff」で、年産能力は現在の10万トンから44万トンへと拡大する見通し。従来フラッフパルプは原材料としてNBKPが主流であるなか、ユーカリ材のフラッフパルプは、柔らかさや再湿潤性、水分拡散性に優れる等の点が特徴であり、まずブラジル国内での低価格帯製品(動物用パッドなど)の普及を図り、その後海外市場へ展開する方針である。

カナダ政府/中国製輸入サーマル紙に対するアンチダンピング税等の暫定税率を見直し

カナダ国境サービス庁(CBSA)は、中国製サーマル紙(感熱紙巻取り)について、廉価販売および中国政府による実質的な輸出補助が行われているとの国内メーカーからの申立てを受け、ダンピングの実態を調査してきたが、その結果、2025年11月に導入した暫定関税(AD税率55.2%、CVD税率43.8%)を見直し、暫定税率を大幅に引き上げる決定を下した。新たな暫定税率は、アンチダンピング税(AD)が282%、相殺関税(CVD)が77%で、合計約360%に達する。また調査において、2024年1月から同年12月31日までに、カナダへ輸入されたサーマル紙の約45%が中国産であったことも認定された。本件の対象は、巻取り幅15cm以下、米坪70gsm以下の感熱ロール紙であり、粘着加工品は含まれず、HSコードは4811.90.00.90である。現在、カナダ国際貿易審査裁判所(CITT)が別途、国内産業への損害の有無について調査を進めており、1月中に報告書が提出される見通し。CBSAおよびCITTの両方でダンピングの実態が最終的に認定された場合、今回のADおよびCVDが正式関税として確定する。

インドネシア政府/韓国、マレーシア、台湾からの輸入白板紙に対しアンチダンピング課税の方向で検討

インドネシア政府のアンチダンピング委員会は、韓国、マレーシア、台湾から輸入される白板紙に対し、4.04%~29.06%のアンチダンピング税を課す方針を勧告した。韓国についてはHansol Paperに4.04%、その他メーカーに26.52%、マレーシアはXSD Int’lをはじめとする全メーカーに7.79%、台湾は全メーカーに29.06%を賦課するとし、財務省が近く正式な導入命令を発出する見通し。調査は大手製紙メーカーIndah Kiat Pulp & Paper(IKPP)の申立てを受けて2024年9月に開始された。対象はHSコード4810.32.90および4810.92.90

に分類され、米坪210~450gsmの裏面グレー(裏ネズ品)多層抄き箱用白板紙としている。これに対し韓国およびマレーシアの一部メーカーは、自社の輸出製品は主にバージンパルプを使用したアイボリー・カード類であり、当該品には当たらない。またFSC認証も取得していて、これはインドネシアの主要メーカーでも代替が困難な製品であるとして、今回の決定に反論している。これについてインドネシア側は、他国からもFSC品の手当ては十分可能である、と逆反論している。

北米市況(12月度)

[新聞用紙]

Domtar/Grenada工場、White Birch/F.F.Soucy工場が永続的生産停止となり、北米新聞用紙の供給力が低下し、輸出も減少した。需給に引き締まりが見られたことから、北米市場では11-12月で$25-ずつの値上げとなったが、市場は未だ供給過多で、本年も輸出の回復及び更なる生産削減は必要である。

[上質紙]

11月の需要は年初来最低水準となったが、在庫からの荷動きは比較的堅調だった。過剰在庫にもある程度メドがつき、改めて値上げ可能な環境が整ってきた。上質紙メーカー各社からは、1月末以降の出荷分に対し値上げの動き(6-9%)が出始めた。北米は市況が世界的にも高水準であり、今年も年間通じて、輸入・国内品ともに堅調に推移することが見込まれる。

[コート紙]

11月のコート紙は需要・出荷とも非常に低調な数字で表れたが、年末需要には在庫からの対応が行われ、荷動きは例年通りそこそこの堅調さであった。11月の上質コートの値上げ($20-40)は輸入関税主導で行われ、今後末端ユーザーへの浸透は課題である。今後の価格・市況動向は、トランプ関税への最高裁の判断次第といえよう。

[中質紙]

低調な荷動きが続いており、2Q以降続いている在庫調整で、11月も需要は依然大幅な減少となった。本年末の北米メーカー稼働率も75%程度と予想されている。需要に占める輸入紙比率が低いため、北米メーカーは、今後も必要に応じた生産調整を余儀なくされると予想される。

[段原紙]

コロナ禍以降、段ボールの需要は減少が続いており、昨年度も前年比で▲2%前後となると見込まれている。段原紙メーカー各社は、昨年から今年初にかけて合計400万㌧近くの生産削減を実施しており、今年1月出荷分以降で、一部メーカーが中芯の価格で、$50-程度の値上げを発表した。

欧州市況(12月度)

[新聞用紙]

12月の新聞用紙価格は、現契約期間中のため前月から持ち越しとなった。供給過多は変わらず、生産コスト圧迫でサプライヤーは値上げを必要としているが、今年も需要は前年比▲10%程度の減少を予想しており、大幅な生産削減なしには状況の打開は難しいと見られる。

[非塗工上質紙]

12月度の価格は、前月横ばいとなった。1月出荷分でNavigator等が、欧州域内市場で5-8%の価格修正を打ち出し、強い姿勢でユーザー側との交渉に臨んでいる。アジアからの安値流入が引き続き懸念されるため、依然として、値上げを支える環境としては脆弱である。

[塗工紙]

12月の塗工紙の価格は、一部のスポット取引で値崩れも見られたが、表面上の契約価格は前月横ばいとなった。依然として、アジアからの安値品流入が懸念されており、欧州メーカーからはこれまでのところ、上質コート紙では値上げの動きは出ていない。UPM/Sappi両社の印刷用紙事業統合の動きについて、先ず今後の進捗状況(合弁設立の時期、具体的な計画、事業概要等)を注視し、市況への影響を慎重に見極めたい との声が関係者の間からは聞かれる。

[段原紙]

TLBは南欧市場で一部スポット取引による値崩れも見られるが、欧州全地域では、概ね前月横ばいで推移している。KLBは需要が低調なドイツ・ブランスで▲€20程度の値崩れが見られるほか、イタリアでは依然として北米品が安値流入しており、この先も軟調な市況の展開が予想される。需要面ではKLB離れが徐々に進んでおり、供給面では昨年度の増産により、TLBが特に供給過多となっている。市場価格の回復には、もう暫くの時間を要すると予想される。

中国・香港・東南アジア市況(12月度)

[印刷用紙]

*中国市場では、12月のコート紙・上質紙ともに、出版物向けの納品需要が高まり在庫から対応、在庫は減少となったものの、新規の需要は概ね低調であったため、市場価格は前月比横ばいとなった。1月は年末決算時期に伴って、紙商の在庫整理が急がれ、価格は更に軟調で推移することが見込まれる。

*香港市場では、中国メーカーが12月に上質紙の$30-値上げをアナウンスした。メーカーによって対応は様々であるが、APRILは$20-程度の値上げを実行、APPは1月分で$50-の値上げを打診し続けている。パルプ価格は上昇基調にある一方、春節前の不需要期を控えて、値上げの浸透には時間がかかると予想される。

*APPはコート紙についても、1月から$50-の値上げの協議を始めている。、しかしながら、上質紙と同様、不需要期を前に紙商が受注量の確保のため値下げに応じるケースも見られ、当面ユーザーへの価格転嫁は難しい状況と予想される。

[板紙]

*中国市場の12月の段原紙市況は、月前半は大手メーカーが値上げを継続、在庫補充による荷動きも見受けられたが、中旬以降は原料費の下落と需要の急減で、一転して調整局面へ入った。これにより、川下の段ボールメーカーでは、原紙の購買に急速に慎重になり始めており、原紙メーカー側の在庫も再び増加し、負担が大きくなっている。

*今後、2026年1月上旬に春節前最後の荷動きにより、一時的な反発も期待されるが、月中旬以降は再び需要が停滞し、市況は軟化することが予想される。

*春節後の需給動向に注目が集まるが、全体としては、緩やかな下落トレンドが継続すると見込まれる。

*香港市場では、アイボリーにつきこれまでメーカー主導で強気の値上げが進められてきたが、出版関連需要のピークは既に過ぎ、市場では在庫増加傾向が見られており、今後は値上げ要求の動きも次第に静まっていくと予想される。

*香港向け塗工白板紙(裏ネズ)については、1月初には小幅な値上げが実施された一方で、メーカーは在庫調整を進め、市況の回復を図っている状況である。古紙価格の下落が始まっていることから、先行きは原材料安を背景に、市況弱含みとともに、ユーザー側からの値下げ要求が強まることが予想される。

【統計】11月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2025年11月の紙・板紙合計輸出は15万5,258トン(前年比9.0%増)、輸入は5万8,012トン(同5.6%減)となった。国内需要は150万2,518トン(前年比7.0%減)となった。
主要品種が軒並み前年比減。

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【統計】1-10月 米国紙・板紙輸入

2025年1-10月の米国紙・板紙合計輸入は587万1,881トンで前年同月比3.3%と減となった。金額は64億1千3百万ドル(同4.7%減)となった。欧州諸国で大幅に減少。

出典:Data Web(USITC)

紙類紙類海外動向レポート
2025年第10号 2026年1月

Contents
海外動向トピックス
北米市況(11月度)
欧州市況(11月度)
中国・香港・東南アジア市況(11月度)
【統計】10月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】1-9月 米国紙・板紙輸入

海外情報トピックス

フィンランド/Metsaグループ、UPM各社がリストラを含め生産体制の調整を検討 

Metsaグループ: フィンランドMetsa Groupは法定交渉を終了し、グループ全体で約3億ユーロ(3億5千万㌦)のコスト削減と収益改善の一環で、最大440名の解雇を含む520名の常勤職員の削減を行なう。傘下Metsa Board社は、約150名の従業員削減が対象。これにより1千2百万ユーロ(約3千2百万㌦)のコスト削減を見込むとする。Metsa Boardは引き続き2026年もKemi, Kyroskoski、Simpele、Aanekoski、Kaskinen、Joutseno等の工場で最大90日の時限的レイオフを実行。低迷する紙板紙需要に見合う生産体制をとる意向。

UPM :フィンランドのKymi 、Pietarsaari、RaumaCellの各工場で、2026年第1四半期に最大90日の一時的レイオフを行なうべく、労使間交渉を開始。現段階では、永続的な工場閉鎖や生産休止は行わない意向で、交渉は11月末をメドに完了予定。Kymi工場はNBKP・LBKP(計87万㌧)を生産。Pietarsaari工場はNBKP(バーチ80万㌧)、RaumaCellはフラッフパルプ(10万㌧)を生産。この他、Kaukas工場(NBKP 70万)では、永続的なレイオフの可能性も排除せず交渉が11月初より開始。世界的なパルプ市況・需要の低迷、木材価格高騰などへの対応に迫られている。

北米;低迷する段ボール需要に 段原紙、段ボール工場は大幅な生産削減で対応

最近の段ボール需要の低迷に伴ない、段原紙メーカー各社、及び段ボール一貫メーカー中心に、段ボール工場が生産削減を進めている。

コロナ禍発生以降、需要回復の一局面を経たのちも、依然として出荷数量は減少基調にある。コロナ禍発生以降、本年度末までに段ボールの実出荷数量は▲7%の減少が見込まれている(内本年度の需要は前年比▲2%の減少)。これは世界的に広がるインフレ圧力、今年に入ってからはトランプ関税等に起因する不透明な市場環境で、景況感・消費者マインドが低下していることに起因するものと見られている。

このような市場環境を受けて、北米の段原紙メーカー各社は、今年9月までの間に大規模な生産削減を実施、大手一貫メーカーを中心に年産350万トン、北米の段原紙生産能力のおよそ9.5%にあたる規模での生産削減が既に実行された。さらに直近では、PCA/Wallula工場2号機のクラフトライナーの生産停止(2026年第1四半期)も発表され、以上に加えて、25万トンのクラフトライナーと、パルプ処理設備が永続的な停止となる。

また、段ボール製造一貫メーカーは、2024年以降International Paper (IP)、Smurfit WestRock(SW)は、北米で(予定も含めて)15カ所以上の段ボール工場の整理を行なっており、川上から川下までの供給体制の再構築を進めている。両社ともに2024-25年にかけて北米-欧州にまたがる大型合併により、世界レベルでの供給販売体制を構築しているが、両社は他のメーカーの先陣を切るかたちで、供給のスリム化と効率性の向上により、主要市場における需給のバランスと市況の安定を図ろうという姿勢を示している。

中国製の輸入サーマル紙に対する各国のアンチダンピング、相殺関税等の強化の動き

*カナダ政府は、中国製の感熱紙巻取りに対してダンピングおよび補助を受けていると判断し、2025年11月に暫定的関税を導入。AD(アンチダンピング)税率55.2%、CVD(相殺関税)は43.8%、合計税率は99%に達する。2024年に中国からの輸入が急増、国内産業への影響が懸念されたことを受けて調査が行われてきた。
*米国商務省は、2008年以来適用している中国製軽量サーマル紙に対するAD(115.29%)およびCVD(13.63-138.53%)を、さらに5年間延長することを決定した。これは3回目の延長となる。課税措置の撤廃により廉価販売が再発し、国内市場への多大な損害が懸念されるとした。北米市場ではDomtarが主要サプライヤーであり、輸入品は主にドイツと韓国からのものが主流である。
*欧州委員会は、中国からの軽量感熱紙輸入に対する反補助政策(Anti-subsidy)の調査を開始した。調査対象は米坪65gsm以下の軽量感熱紙とあり、調査期間は2024年10月から2025年9月までとする。欧州感熱紙協会による申し立てを基に、中国政府の補助金政策がEU市場の産業に損害を与えていると主張している。最終結論は13か月以内に出される予定。現在欧州は韓国製の軽量感熱紙にもダンピング税を適用している。

欧州;UPM・Sappi両社が印刷情報用紙分野の合弁事業形成に合意

UPMとSappiは、印刷情報用紙分野での合弁企業設立につき、非拘束的な基本合意書に署名した。この合弁事業には、UPMの情報用紙事業全体とSappiの欧州市場における印刷用紙事業が含まれ、両社それぞれが50%ずつ出資する独立の会社が運営することとなる。この提携取引は、各種規制および株主の承認等の条件が承認されることが前提となるが、2026年前半に正式契約、同年末までの完了を予定している。合弁事業には、UPMとSappiのフィンランド、ドイツ、イギリス、米国、オーストリア、オランダにある合計12の製紙工場が対象となる見込み。印刷用紙市場はデジタルメディアの進展による広告収入の低下、発行部数の減少で、持続的な衰退に直面している。この合弁では、効率的で適応力ある、持続可能な印刷用紙事業を創造し、コスト競争力と供給の安定を目指す。年間約1億ユーロのシナジーが期待され、製品ポートフォリオの改善、物流、企業運営の効率化が見込まれる。この提携でUPMとSappiは、長期にわたる優位な業界の地位を確保でき、顧客に安定した供給体制を提供することを期待するとした。また中期的には、負債の削減にもつながるとしている。両社のCEOは、この合弁事業が紙業界にとってプラスとなり、持続可能な未来を生み出すことに繋がる、との見解を示している。

北米市況(11月度)

[新聞用紙]
*10月度は需要(見かけの消費)、メーカーの生産及び出荷ともに極めて低調であった。前年は大統領選関連の需要が増加、今年はメーカーの大幅生産休止等で生産稼働率も69%に留まった。輸出も前年半分程度に留まったが、需要自体の低迷大きく、出荷に占める輸出の割合は52%と依然半分以上。
*Domtar/Grenada工場(▲23.5万㌧)が9月に生産停止。Kruger/Corner Brook、White Birch/F.F.Soucyも現在生産休止中で、供給はタイトとなっている。
*北米メーカー各社は、11/12月でそれぞれ$25-の値上げを実施。輸出向けは、White Birchがインド向けに、1月以降$75-の値上げ。

[上質紙]
*10月度の需要は前年比▲2.4%であるが、追加関税導入後の影響が注目の輸入は、10月度は+44.9%で、追加分関税適用前の駆け込み船積分が纏まって到着、未だ大幅な増加である。北米メーカーの生産、出荷は▲9-10%と低調。
*IP/Georgetown(昨年末)、Pixelle/Chillicothe工場(8月)の生産停止で供給はタイト。(稼働率95%)。需要も回復しており市況は堅調である。輸入品等の在庫がいまだ多く、北米メーカーは値上げを一旦棚上げし、値上げの時機到来を待っている。さらにIP/Riverdale工場16号機(▲35万㌧)の生産停止(段原紙へ転抄)予定あり(来年3Q)、市況は暫く堅調に推移を予想。

[コート紙]
*10月度の需要は上質コート紙前年比▲5.5%、上質軽量コート紙同▲6.9%で、依然として低調。輸入はそれぞれ同+9.3%、横ばいであり、主要輸入国の多くに課される計15%の関税の影響が出る前に契約・発送された分が纏まって到着し、増大となった。関税の直接的に及ぼす影響度は11月度以降改めての検証となる。
*欧州・韓国等輸入紙サプライヤーは、10月以降関税分の一部(7⁻15%)を価格転嫁した。北米メーカーも4-5%の値上げで追随。価格修正は概ね受け入れの方向。メーカーから紙商への出荷価格は徐々に浸透(11月頃から)、しかし、川下ユーザーへの値上げは未だ。価格修正後の輸入品が到着するのも12月以降となり、価格修正の本格的浸透は、年明け以降になると予想。

[中質紙]
*2Q以降、中質紙は調整局面が続き、10月度も需要・生産・荷動きは全印刷用紙中最も低調。10月の生産稼働率は60%前後。北米の生産工場は、既に最小限まで減少しており、これ以上の削減を行なう動機付けは少ない。依然として市場環境は不透明で、状況に応じた供給能力の削減が引き続き行われ、需給のバランスを図ることとなろう。

[段原紙]
*3Qの米国段ボールの実出荷数量は、前年同期比▲1.4%と幾分回復したものの、3Qまでの累計では同▲2.0%と、依然として低調。コロナ禍発生以来、段ボールの実出荷数量は本年末までに▲7%の減少を予想。世界的なインフレ懸念、トランプ関税等による市場の不確実性で、今後も消費者マインドの低下が懸念。
*これを受け今年9月までに、IP(International Paper)、SW(Smurfit WestRock)など大手一貫メーカー中心として、前例のない規模の生産削減(段原紙合計で計▲350万㌧程度、北米生産能力の約9.5%)、段ボール工場の整理が行われており、川上から川下までの供給システムの再構築、市況の安定化に向け先陣を切る姿勢を示している。
*段原紙は本年初(1-2月)に$40‐の値上がりが実現したあと、ほぼ横ばいで推移。年明けには値上げの可能性もある。

欧州市況(11月度)

[新聞用紙]
11月は各国市場とも前月価格がほぼ持ち越し。11月には1Q分の価格交渉が始まった。サプライヤーは生産コストの上昇で価格の修正に迫られているが、来年度は需要も、今年の更に▲10%減が見込まれており、状況の打開は相当難しい。

[中質系印刷用紙]
4Q価格は、下落した価格がそのまま適用されている。既に発表されたUPM/Kaukas(30万㌧)、Sappi/Kirkniemi(17万㌧、ともにフィンランド)は、年内にも生産停止となる予定で、Sappiは1Qで中質コートの価格修正を打ち出した。

[非塗工上質紙]
11月の上質紙は、前月の価格下落後概ね横ばいとなった。パルプ価格は底打ちし、Navigatorは1月以降5-8%の値上げを発表。しかし供給過多に加え、アジアから安値で流入が続いており、需給バランスは、値上げを支えるには脆弱である。

[塗工紙]
11月の塗工紙の価格は横ばい。アジアから安値品が流入し、市況は依然軟調である。中質軽量コート紙は生産削減実施により、年明け以降の値上げの動きを見せているが、上質コート紙は、これまでメーカーからの値上げの動きは見られず、上質軽量コート紙の価格の動向を窺う姿勢である。

[段原紙]
テストライナーは、段ボール需要の減少、本年稼働の生産能力大幅増(約200万㌧)により、供給過多が進んでいる。原料古紙も、中国による再生パルプの品質基準の強化で、アジアへの輸出が大幅に減少し、価格も急落していることから、当面のあいだ、価格修正は極めて難しいと予想。クラフトライナーは、6月の値上げ(€40‐)も、その後は元のレベルへと下落しており、南欧市場では、北米品の輸入が依然安値で流入している。需要面でもクラフトライナー離れは進んでおり、段原紙全体として価格の下落には、更なる圧力が強まっている。

中国・香港・東南アジア市況(11月度)

[印刷用紙]
*中国市場では、出版入札案件が進行したことから、今後の一般商用案件の相場にも、ある程度の方向性が定まってきた。
*11月度の市場価格は、前月から概ね横ばいとなったものの、メーカーの値上げの動きは徐々に強まっている。今後年末から1月にかけて、出版物納品のピーク及び年末需要の増加で、荷動きにも活発さが回復してくることが期待される。メーカー及び紙商の在庫も、これに伴って消化が進むと予想される。
*メーカーの値上げは、11月分より香港市場でも上質紙・上質コート紙ともに$30‐程度のアナウンスとなり、APRILは上質紙で最大$20程度の受け入れが実現した。パルプ価格の上昇と秋需、またユーザーの在庫不足等のタイミングにより、一定の成果が見られた模様。
*コート紙は上質紙よりも市況が軟調で、APPも市場への値上げアナウンスは、幾分遅れ気味で行われた。パルプ価格の上昇で、サプライヤーは採算の改善が必要であるものの、春節を控えた状況下、本格的な市況回復に繋がるかは不透明である。

[板紙]
*中国市場の11月の段原紙は、夏以降の原料古紙(OCC)価格高騰と、大手メーカーの大幅な生産調整(9-10月)の影響から在庫の減少、それに伴う断続的な値上げにより、市場価格は依然として上昇基調にある。
*原料に関しては、10月に導入された輸入再生パルプに対する品質基準強化の影響で、供給の逼迫から原材料不足に新たに直面しており、原紙価格の先高観を更に加速させている。一方、段ボールメーカーでは原紙在庫が増加しつつあることから、春節を控え、今後の原紙購入のペースは鈍化に転じることが懸念されている。
*1月以降は、これまでの需要先食いの反動もあり、段原紙価格も調整局面に入ることが予想、状況によっては価格の反転も懸念される。
*アイボリーは、引き続きメーカー主導による値上げが行われている。しかし、これまでのマシン増設による供給過多に加えて、春節を控えて、今後は市場も更に非需要期に向かっており、値上げの動きがこのまま持続されるかどうかは、極めて不透明である。
*白板紙は、夏以降原料古紙の値上がりが続いており、段原紙同様、メーカーは値上げを継続して行っている。

【統計】10月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2025年10月の紙・板紙合計輸出は16万3,724トン(前年比2.0%増)、輸入は6万6,154トン(同5.3%減)となった。国内需要は162万1,082トン(前年比4.3%減)となった。
板紙の金額のみ前年比増。

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【統計】1-9月 米国紙・板紙輸入

2025年1-9月の米国紙・板紙合計輸入は534万5,524トンで前年同月比2.1%と減となった。金額は58億5千3百万ドル(同3.2%減)となった。上位4か国が大幅に落ち込んだ。

出典:Data Web(USITC)

紙類紙類海外動向レポート
2025年第9号 2025年12月

Contents
海外動向トピックス
北米市況(11月度)
欧州市況(11月度)
中国・香港・東南アジア市況(11月度)
【統計】9月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
【統計】9月 中国紙・板紙輸出入

海外情報トピックス

Sappi/UPMの軽量中質コート生産削減について(年内に一部生産を停止)
Sappi EuropeとUPMは、フィンランドの一部工場の中質軽量コート紙の生産停止を決定した。デジタル化の進展により印刷物の需要が低迷し、業界全体で構造的な需要が減少していることが背景にある。
-Sappi Europeの動向:
フィンランドのKirkmiemi工場では2号機の生産を年内に停止する。年間生産能力が約17.5万トン減少、工場全体の生産能力は57.5万トンに減少する。93名の従業員が解雇となり、同品種の生産は1号機と3号機に振り分けられる。競争力の強化が目的。
-UPMの動向:
UPMは、フィンランド南東部のKaukas工場での生産を年内に永続停止とする。年間30万トンの生産能力が減少、約220名の従業員が影響を受ける。年間3200万ユーロの固定費が削減される。雑誌印刷需要の低迷が背景。欧州の雑誌用紙の需要は、前年比で11%減少し、同社の印刷情報用紙部門の売上高も14.5%減少。生産はRauma工場や英国、ドイツの工場に集約されるものの、依然世界最大級の生産規模を維持している。

両社の生産停止は、需要低下に対応し競争力を維持・向上させる戦略の一環で、市場の変化に対応、生産能力を調整することにより、固定費削減し生産の効率化を図るものである。

中国;古紙パルプ等輸入貨物への規制を強化
中国政府当局は、古紙パルプ等の輸入貨物に対する品質規制を突然強化し、輸入業者及び海外のサプライヤーなどの関係者に、不安と動揺を与えている。規制は既に10月以降実行に移されており、特に乾式粉砕によって生産された古紙パルプに付き適用される。規制対象の当該品を積載した、すべてのコンテナからサンプルを採取し、研究所などにおいて微生物(バクテリア、カビキノコ類)の残存の有無を検査する。研究所での検査結果判明には4-6週間要するといわれる。その間は、通関等輸入手続きの一切が保留となることから、輸入業者の間では、今後コンテナの超過費用等の発生が懸念されている。昨年2024年の中国への古紙パルプの輸入量はおよそ265万㌧。最大の輸入国タイからは、そのうち156万㌧(58.7%)に及び、そのほとんどが乾式製造方式である。
中国は2021年初から導入された古紙輸入の完全禁止措置以来、大手板紙メーカー中心に、東南アジア各地で再生古紙パルプの生産を増大させてきたが、今回の規制強化により、東南アジアへの古紙の供給の流れ、価格に大きな影響が出てくることが懸念される。アジア市場での段ボール古紙(OCC)の主要供給先である米国への発注にも、既にキャンセル、また今後の購買も暫く控えるなどの動きが出始めており、一部洋上にあるAOCCが投げ売りされ、一部の仕向地及び米国国内市場では、価格の急落が見られるようになっている。この動きが続けば、米国産の古紙価格には下落のみならず、品質分別の低下を招き、品質の劣化の発現の可能性もある。

中国;ナインドラゴンの木材パルプ増産の動きについて(まとめ)
中国の紙板紙メーカーであるナインドラゴン(Nine Dragons)の木材パルプの増産計画について;

中国最大の紙板紙メーカーナインドラゴン(Nine Dragons)は、今後2027年第1四半期までに、約200万㌧程度の木材パルプを増産する計画を明らかにした。計画は天津工場(50万㌧、2026年第4四半期稼働予定)、重慶工場(75万㌧)、北海工場(広西チワン族自治区、80万㌧、2027年第1四半期)。依然として続いているバージンパルプ系の紙・板紙(非塗工上質紙、コートアイボリー等)の増産、及び段原紙生産の原料としての対応で、原料の供給を、これまでの輸入から国内での生産・供給体制へ整える方向へと舵を切っている模様。

特に段原紙については、2021年初以降実施された古紙の全面的輸入の禁止で、原材料の確保や補完の必要から、東南アジア各地へ再生パルプの生産拠点を構える動きとなっていたが、この10月以降中国政府当局は、古紙パルプ等の輸入貨物に品質規制を強化しており(上述)、今後の原材料の供給体制に、再び不透明感が出始めた最中での大手メーカーによる動きとなった。

輸入規制の強化: 中国政府は、2021年初以降、古紙の全面的な輸入禁止や品質規制の強化を行っており、この政策変更により、原材料の確保に対する不確定要素が増し、国内での原料供給能力を強化する必要性が出てきた。

国内供給体制への移行: 今まで中国の製紙業界は、大部分の原材料を輸入に頼ってきたが、輸入依存度を減少させるため、国内での生産にシフトする動きが強まった。

地域の生産拠点の拡充: ナインドラゴンは天津、重慶、広西チワン族自治区の北海などで木材パルプ製造能力を増強している。これらの地域に新たな生産拠点を設け、これまでより輸送コストの削減や地域経済への貢献が期待できる。

国際市況への対応: 国際的な紙板紙市場の低迷や需要の変動に対応するため、国内での一貫生産体制の強化を志向した。国内生産の拡大により、低コストでの生産が可能になり、競争力を強化することができる。

環境規制の影響: 環境保護の観点からも、国内での原材料生産を増やすことで、輸送時に生じる環境負荷を減少させることができる。また、より環境に配慮した製造プロセスを導入することで、持続可能な生産が可能となる。

これらの要因が、中国における木材パルプ増産の背景として挙げられる。国内での原料供給能力を強化することで、業界の安定性を高め、環境への影響を低減しつつ、国際市場での競争力を向上させることを目指している。

メキシコ政府;中国産輸入箱用板紙に対しアンチダンピング暫定課税を実行
メキシコ政府は、中国から輸入される箱用板紙(白板紙)に対して、アンチダンピングの暫定課税を実行することを決定した。これは、国内の段原紙メーカーであるProductora de PapelとCartones Ponderosaによる申立てを受けたもので、中国メーカーには1トンあたり370.2ドルのダンピング課税が課されることとなる。

この措置の背景には、中国産箱用板紙が廉価で大量に輸入されていることがある。メキシコの通関統計によると、昨年度の箱用板紙の輸入量は128万トンで、そのうち約40%の50万トンが中国から輸入されたものである。この状況が国内産業に悪影響を及ぼす可能性を懸念し、メキシコ政府は2025年2月にすべての輸出国を対象に調査を開始する意向を示唆していた。しかし、情報筋によれば、調査は主に中国を対象としてものであった。

この暫定課税の目的は、不公正な輸入によって国内産業が被害を受けることを防ぐことである。政府は、適時に適切な対策を講じることによって、国内企業の保護と公正な市場競争を確保する方針である。したがって、今回の決定はメキシコの産業を守り、健全な市場環境を維持するための重要なステップとなる。

北米市況(11月度)

[新聞用紙]1-9月累計の北米需要は(前年比▲15.9%)、昨年の減少率(▲14%)を上回るペースで進行中。最大メーカーのDomtarはGrenada工場(▲23万㌧)を9月に生産停止した。他にも数社が一時的な休止を一斉に行ない、供給はタイトとなっている。11月以降で$50の値上げを発表した。
[上質紙] 輸入関税の発動を前に、ブラジル等からの輸入は増加したが、8月以降輸入は急速に減少している。一方北米メーカーの荷動きは堅調で、IP(Georgetown)/Pixelle(Chillicothe)の生産削減により供給はタイトとなった。市況は概ね堅調だが、年前半に積み上がった在庫が十分にあり、北米メーカーは市況に未だ慎重な姿勢を崩していない。北米メーカーは積極的に値上げの意向を示しておらず、静観して輸入品メーカーに対し圧力をかけている。
[コート紙]雑誌印刷・広告需要が景気の低迷から依然として振るわない状況が続いている。相互関税の発動で、市場の先行き懸念が再燃して、輸入紙の手当ては更に減少した。欧州・韓国等中心の輸入紙メーカーは7-15%、北米のメーカーも3-5%の価格修正を発表したが、印刷加工のユーザー等への価格転嫁は現時点で進んでおらず、値上げの進捗が市場に表れるのは、早くても年明けになると予想される。
[中質紙]2Q以降は1Qで積み上がった在庫の調整が目立ち、1-9月累計の需要は、前年からのマイナス幅が、6月時点よりも広がっている。輸入への依存度は相対的に低く、需要の低迷に伴い、北米メーカーの稼働率自体も上がっていない。今後は欧州を中心とする輸入紙から北米品へのシフトも予想されるものの、需要は依然として低迷していることから、需給バランスを計りながら、生産削減が続けられていくことになろう。
[段原紙]3Qの米国段ボールの実出荷数量は、前年同期比▲1.4%となり幾分回復してはいるものの、3Qまでの累計では同▲2.0%となり、依然として低調に推移している。今後年末需要の盛り上がりが期待されるが、本年度の実出荷は同▲1.4-2.0%と予想され、これは2015年以来の低水準となる見込みである。今年2月以降9月までに、IP、Smurfit Westrockなど主要メーカーが合計340万㌧(全生産能力の9%)の大幅な生産削減を行なった。生産環境は急速に引き締まりを見せており、来年度にかけて堅調な市況で推移することが期待される。

欧州市況(11月度)

[新聞用紙]新聞用紙価格は、一部で値引き取引が見られるが、英・仏など主要市場では概ね安定で推移した。供給過剰と生産コストの圧力で、欧州のサプライヤーは苦戦が続いている。カナダからの売り攻勢は、北米メーカーの生産削減から、このところ弱まってきている。
[中質系印刷用紙]4Qの印刷用紙価格は広く下落となった。LWCは英国市場で、案件毎の価格見直しが行われた。SC紙の供給過剰は特に著しく、契約途中でも一部価格の見直しが見られる。このような状況でKabel Premium、UPM/Kaukas、Sappi/Kirkniemi等、12月までに計92万㌧が生産停止となる(中質紙生産能力の約25%)。
[非塗工上質紙]10月の価格は一層下方圧力が強まった。印刷・コピーのいずれの用途も需要低迷・供給過剰で、4Q突入を機に▲€30-40程度下落となった。パルプ価格(LBKP)の上昇で、サプライヤーは採算の悪化が懸念される。
[塗工紙]同様に塗工紙も、需要の低迷と供給過剰で苦戦しているが、今夏は上質紙ほどユーザーの要求に敏感に対応しなかったため、逆に激しい価格競争からは逃れることができた。これによりサプライヤーは、4Qの価格交渉は幾分強気な姿勢で臨んでいる。
[段原紙]TLBは、大手メーカーが10月に突如打ち出していた€130-の値上げは全く受け入れられず、再度値上げを窺う様子も見られるが、今年は新マシンの稼働が続いており、少なくとも来年度初めまでは、価格修正は難しいと考えられる。KLBはTLBの価格動向次第であるが、ユーザーのKLB離れ、北米品の流入は続いており、状況の会以前は更に厳しくなっている。

中国・香港・東南アジア市況(10月度)

[印刷用紙]
中国市場では、10月度のコート紙および上質紙の価格が続落した。出版関連の入札遅れや需要の低迷が原因だが、在庫レベルも依然高水準であることも要因である。しかし、11月以降は出版入札が開始され、メーカーもパルプ価格の上昇を背景に値上げを行なっており、市場価格には反転の可能性も出てきた。但し、供給過剰は依然解消されておらず、メーカーの意向通り値上げができた場合も、その値上げ幅は極めて限定的と予想される。
12月になると年末の駆け込み需要と、販売店の在庫調整を目的とした値引き販売が見込まれ、価格は再び下落の可能性がある。1月までの価格動向は非常に不安定で、反発と下落が交錯し、一定の方向が望めない局面が続くと見られる。

香港市場では、中国の主要メーカーが11月以降注文の分に対し、$30⁻の値上げを発表した。パルプ価格の上昇、秋需の影響が要因として挙げられるが、実需には回復の力強さが見受けられず、大幅な値上げは期待できないとの見方が多い。コート紙も値上げがアナウンスされたが、生産調整を継続しながら値上げの環境が整うのを待つことを余儀なくされている。旧正月を控え、香港市場では今後荷動きは鈍化が見込まれ、値上げはやはり限定的なものとなることが予想される。
      
[板紙]
中国市場の10月の段原紙は、夏以降の原料古紙価格の高騰と、10月になって突如導入された、再生パルプの品質規制による供給懸念から、原紙の価格は急騰している。川下の段ボール加工会社は、更なる原紙価格の値上がりを懸念し、先物買いを集中的に進め、在庫の積み増しを行なった。原紙メーカーの在庫も減少し、メーカーは価格攻勢を強めている。
11月は原料コストの高止まりと在庫の更なる減少で、大手メーカー中心に、値上げの意向は依然強く、原紙価格は更なる上昇が見込まれる状況である。

【統計】9月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2025年9月の紙・板紙合計輸出は15万5,335トン(前年比1.2%減)、輸入は6万4,576トン(同4.6%減)となった。国内需要は156万2,989トン(前年比0.1%増)となった。
板紙が内需増に寄与した。

リンク Japan Pulp and Paper Apparent Consumption | Tableau Public          (ブックマークをお薦めします)

【統計】9月 中国紙・板紙輸出入

2025年9月の中国紙・板紙合計輸出は65万8,079トンで前年同月比5.6%増となった。同輸入は69万4,636トン(同12.0%減)となった。段ボール原紙の輸入が大幅に落ち込んだ。

紙類紙類海外動向レポート
2025年第8号 2025年11月

Contents
海外動向トピックス
北米市況(10月度)
欧州市況(10月度)
中国・香港・東南アジア市況(10月度)
【統計】8月 「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)
アジア紙パルプ会議

海外情報トピックス

※Stora Enso/Oulu工場6号機(フィンランド) 箱用板紙への転抄マシン ユーザーへの供給を開始

Stora EnsoのフィンランドOulu工場6号機は、2020年以降停止していたが、コート紙の生産から消費者用包材白板紙(FBB、CUKなど)への生産転換を進め、2023年3月に稼働を開始した。持続可能な紙製包材の需要が高まり、プラスチック包材の代替として白板紙の生産が進められた。当初は永続的な生産停止が予定されていたが、冷食やファストフード、飲料向け包材の生産へと方針を転換し、2027年までにフル生産を目指す。Stora Ensoの増産は成長戦略による方向転換であるが、欧州市場では既に供給過多の懸念がある。Metsa BoardはフィンランドのTaco工場でFBB生産を停止し、市場ごとに方針が異なる。米国の追加関税によりアジアからの安価な製品が欧州市場に流入しており、市況は軟化している。Stora Ensoも当初米国市場をターゲットとしていたが、現在は欧州市場を主戦場としている。


※中国上海先物市場/非塗工上質紙の先物契約取引を開始

上海証券監督管理委員会は、国内外で生産された非塗工上質紙の先物契約取引を承認し、上海先物取引所は9月10日から取引を開始した。契約仕様は、米坪65/70/75/80gsm、白色度80-85%、1ロット当たり40トン、取引通貨は人民元。値幅制限は前日価格基準で上下4%以内。取引可能な企業は、年間20万トン以上の生産能力と一年以上の安定生産、さらに中国の「十環認証」(公式の環境ラベル認証)を取得したグリーン企業であることが条件。現時点で承認されたメーカーは、岳陽紙業、山東銀河瑞雪、山東太陽、山東華泰、Asia Symbol(Shandong)、Asia Symbol(Guangdong)、山東博匯、ナインドラゴン(北海)、聯盛、僕陽龍峰などである。


山東晨鳴紙業グループ 寿光工場でほぼすべての紙パルプ生産を再開

山東晨鳴紙業は、長引く市況の低迷と過剰生産による財政悪化から、昨年11月にその多くの生産停止を余儀なくされていたが、9月には基幹工場である山東省寿光工場での生産をほぼ全面的に再開した。具体的には、上質紙(101万㌧)や上質コート紙(80万㌧)、ティッシュ紙(計12万㌧)、パルプ(100万㌧)の生産が再開されている。昨年11月には、国内5ヶ所の工場のうち4工場合計700万トン相当の製品の生産が停止したが、今年初頭に一部再開され、3月(寿光工場 上質38万㌧、南昌工場上質17万㌧、機械パルプ17万㌧)と7月(吉林工場、寿光工場のパルプ)でさらに再稼働が進んだ。しかし、吉林工場や広東省湛江工場での生産再開の予定は未発表。コートアイボリーについては供給過多と市場価格の低迷が続き、再稼働の見通しは立っていない。


※インド/紙コンバーターが改正GSTによる税率の是正を要求

インドの紙板紙コンバーター同業界は、改正GST(物品・サービス税)により決定された原紙及び加工製品における13%の税率差につき、インド政府当局へ是正を緊急に求めた。この改正は、本年9月3日に発表され9月22日に施行されたが、原材料に対する税率が最終製品よりも高くなる「逆転構造」となっており、混乱が生じている。具体的には、段ボールの税率が12%から5%に引き下げられた一方で、クラフト紙・段原紙の税率は12%から18%に引き上げられた。これにより産業界は資金調達の困難に直面し、業界団体のみならず地域の小規模な業界関係団体も、首相府や財務省に介入を求める書簡を提出した。特にノート・帳簿などの製造企業では、これらの製品はGSTが0%であるが、原材料である非塗工印刷用紙は18%の税率が適用される。このため、コンバーターは原材料に対する仕入れ税額控除を請求できず、また還付には複雑な手続きを経る必要があるが、それには2~3か月の期間を要すると指摘されている。更に輸入業者が異なるHSコードを使用することにより、国内メーカーを不当な輸入競争に晒しており、ASEAN協定によりアジアから輸入されるノートなどは0%のGSTで販売可能となっているが、これに対抗すべき価格の引き下げは非常に厳しくなっているのが現状である。

北米市況(10月度)

[新聞用紙]
需要は1-8月で前年比▲15.2%減、生産、出荷も同程度の減少となった。更なる需要減少の予想に加え、昨年来輸出も減少しており、少なくとも約50万㌧程度の生産削減は必要と見込まれる。White Birch/Krugeは操短を延長、Domtar/Grenada工場は無期限の生産停止ととなった。これを受けDomtar/White Birchは、$50の値上げを発表、他メーカーも海外市場を含めて価格修正を検討している。

[上質紙]
2Qの上質紙市場は、関税交渉の影響で鈍化し、膠着状態となったが、8月以降の関税発動を懸念した輸入の前倒しが再び進み、需要は安定が保たれたかたちとなった。供給面では、IPやPixelleの工場停止で供給が引き締まり、値上げの動きが出始めた。8月以降、ブラジル等主要輸入国への高関税により、北米メーカー品へシフトも予想されるが、現状は輸入品の十分な在庫があり、当面追加購入の必要は必要がない。生産削減で供給環境は引き締まっており、在庫の適正化が果たされたのち、来年初以降、市況は堅調に推移すると予想される。

[コート紙]
上質コート紙の1-8月累計需要は132万㌧(同▲6.9%)。景気の低迷で、特に企業向けの需要は低調である。8月以降、相互関税の発動で市場の不透明さが予想され、2Qも輸入は減少が続いた。郵便料金の値上げにより、今後の需要への影響が懸念されるが、秋需への期待、在庫補充の時期なども重なり、今後荷動きは若干回復を見込む。欧州・韓国等主要メーカーは、関税分の一部を価格へ転嫁、北米メーカーも追随した。末端ユーザーまで価格浸透には時間を要す可能性もある。実需は改善されておらず、輸入関税が主要因の価格修正となっている。

[中質紙]
2Q以降在庫調整に入り、1-6月累月の需要は前年比▲2.6%減。今後欧州から輸入の減少も予想されるが、カナダからの供給は余力もあり、安定している。新聞用紙の生産削減と値上げにより、中質紙への需要シフトもある。稼働率は72%と依然として低調で、価格の維持には、更なる生産削減が必要である。

[段原紙]
輸入関税問題の影響によるインフレ懸念から、上半期の段ボールの出荷は、同▲2.3%と減少した。さらにKLBの輸出は、1-7月累計で同▲11.1%減少しており、米国段原紙の需給バランスの重荷となっている。本年2月以降、主要各社が相次いで生産停止を行ない、全生産能力の8.5%相当(約340万㌧)が削減されるため、今後生産稼働率は、90%台後半へと改善が期待される。生産削減により供給が引き締まり、今後の市場価格も、需要次第で値上げが期待できる。

欧州市況(10月度)

[新聞用紙]
四半期・半年契約が多く、9月の価格は横ばい。需要は低迷し、紙の消費量も減少している。カナダ品の低価格も、一部欧州メーカーが価格対応を行っており、カナダ品の優位性は薄れている。

[中質印刷用紙]
中長期契約が多く、SC紙の価格は横ばい。需要も低調で、UPM/Ettringen(独)の工場の閉鎖は労組との協議が継続中。中質コート紙も、価格は前月から横ばいで、一部ではスポット取引も見られる。フィンランドでは、Metsa Board/UPMなど生産能力の削減が発表されているが、供給過多の解消には未だ不足している。

[非塗工上質紙]
9月の上質紙の価格は安定しているが、印刷用で上限が€20ほど下落。9月の需要は脆弱で、回復は遅れている。価格上昇と利益率改善には、生産能力の更なる削減が必須。

[塗工紙]
7~8月にも価格は大幅に下落、9月は上質コート紙が横ばい。需要は依然低調で、生産能力が需要を常に上回り、価格の下方圧力がかかる。4Qの価格交渉に、メーカーから値上げの動きは見られない。

[段原紙]
TLBは概ね€20~35下落。英国は比較的安定だが、10月以降下落の可能性もある。10月で大手メーカー4社が最大€120の値上げを打ち出しており、KLBの動向にも影響が出ると予想される。KLBは仏・独で6月に実行された値上げ(€40-)も、9月までには€30程度下落となった。南欧市場は、北米からの安価な輸入品で、依然下方圧力が強くなっている。米国品は他の欧州市場にも価格の下落圧力を与え始めている。

中国・香港・東南アジア市況(10月度)

[印刷用紙]

9月の中国の印刷用紙市場では、供給過剰と低調な需要により、価格は下落基調を辿っている。コート紙は4.13%、上質紙は約2%、前月から価格が下落した。生産調整のため停止していたマシンが、8月半ば過ぎから再稼働したことで供給は逆に増加しており、在庫は増大しはじめた。商業印刷の不振、出版分野における入札の遅れなどが影響し、需要の下落に拍車をかけている。チェンミンは主要工場での生産再開を行ない、上質紙は各社で生産能力の増大により、供給過剰は更に悪化している。サプライヤーはシェアの維持に注力しており、市況は今後も軟化が続く見通し。パルプ価格底入れを受け、サプライヤーは値上げのタイミングを模索している。

コート紙の需要低迷は、上質紙以上に深刻で、特に米国向けの案件では、米中関税交渉の影響が長引いており、回復の見込みが立たない状況。欧州向けもEUDR規制の開始が一年延長となるとの見込みから、新たな対応が必要である。10月中下旬から、出版向けの入札が本格化するが、低価格での落札が予想されており、価格は一時的に更なる下落が見込まれる。11月以降は出版注文の納品開始、年末のわずかな需要増で、価格には小幅反発が見込まれるが、供給過剰から、値上がり幅は限定的と予想される。


[板紙]

アイボリー市況は底入れの兆しが見られる。供給過多が続く中、サプライヤーは採算性の回復を図るため値上げを実施している。白板紙も古紙価格の高騰を背景に、価格修正が進行中である。段原紙市場では、古紙価格の高騰により大手メーカーによる値上げが行われた。供給面では各工場で生産調整が続けられている一方、需要面では年末需要を期待した荷動きも見られ、8月以降は価格上昇が続いている。原料古紙には供給の回復が見込まれ、コスト圧力が軽減される見通し。今後は、年末商需を背景に11-12月は需要が堅調に推移し、段ボール価格にも段原紙の値上げが

徐々に浸透し、小幅ながら価格上昇が期待される。全体として、市場は緩やかな上昇基調での推移を予想。

【統計】8月「出荷・輸出入・国内需要状況」(日本)

2025年8月の紙・板紙合計輸出は12万5,202トン(前年比17.5%減)、輸入は5万9,072トン(同10.0%減)となった。国内需要は139万1,617トン(前年比7.9%減)となった。
印刷用紙・板紙とも内需が前年比減。

アジア紙パルプ会議

2025年10月16日、グランドプリンス高輪において「第8回持続可能な発展のためのアジア海パルプ会議」本会議がおこなわれた。アジア各国から179名が参加した。
各国代表によるアソシエーションレポート、基調講演、カーボンニュートラル、サステナビリティのセッションがおこなわれた。
次回は2027年に中国で開催される予定。